「トヨタは日本を諦めつつある」という豊田章男社長のメッセージは真意か?

池田さんという気鋭の同業者が「トヨタは日本を諦めつつある 豊田章男社長のメッセージ」という記事をITメディアビジネスというWebに書いたところ、いろんな場所で有識者からトヨタに対しバッシングが起きているらしい。Yahooのコメントなぞ全く気にする必要無いけれど(忙しい社会人はコメントする暇無し)、発言力のある有識者達から批判されている点に問題あります。

発言力持つ人達の意見をまとめると「トヨタに代表される自動車メーカーは補助金で潤っている」とか「日本社会にケンカ売って国民や政府に何をしろって言うのか」等々。そもそも自動車がどんだけ税金を負担してるのか知ってるのか、と突っ込みたくなるし、政府には「時間的観念を持ってエネルギー政策をキッチリやって欲しい」と御願いしてるだけなんですけどね。

ただ内容を素直に読むと、トヨタが日本を捨ててアメリカとタイに拠点を移そうとしてる理解になってしまう。実は記事ネタを得た席に私も居合わせており、その時の内容をまとめたのが下の記事。話を聞いていて私は「モリゾウさん、日本が大好きだな」と強く感じた。日本を諦めるという意思など無く思えた。私も常時同じようなことを考え、同じような隔靴掻痒の気分になる。

同じ場所に居て書いた私の記事

タイが好きだというのは間違いないだろうが、話を聞いていてこれまた私と同じくらいの”沼”かな、と思った次第。そもそもタイの国情を知れば知るほどタイに軸足を移すことなど考えられない。タイの名誉のため多くは書かないけれど、そんな簡単な国じゃありません。アメリカについちゃ軸足を置くというより、すでに置いている。これ以上重心掛けたらリスクが増えます。

むしろ「真剣に考えてくれないと日本好きの私だってグレちゃいますよ! 解ってるのかなぁ。我が国は」くらいの雰囲気でした。モリゾウさんが現在進行形でやりたいのは日本脱出じゃなくウーブンシティに代表されるサバイバルだと思う。ウーブンシティの中は基本的に工場の中と同じ。大上段で言えば公序良俗をキチンと守り、日本国憲法を遵守していればいい。

地下の利用も自由

小さい”国”みたいなもの。車検無しのクルマを走らせたって問題無し。自動運転も可能。エネルギーの自給自足だって実現出来る。今後さらに収入差が出て困窮による犯罪など発生するだろうけれど、ゲートの中ならそういった心配無し。子供や女性が安心して歩けるし、泥棒だって居ない。規模の大きいウーブンシティが各地に出来たら住みたい人は多いんじゃなかろうか。

ある意味、日本を捨てるより日本政府に与えるインパクトは大きいと思う。政治や行政の否定ですから。おそらく今後、治安の悪化した国で当たり前になっているゲートテッドコミュニティ(塀を巡らせた街)が増えて行くだろう。私の場合、ウーブンシティには入れてくれないだろうから、自然発生的に安全なコミュニティ作られている雰囲気の良い島に住みたいです。

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10 Responses to “「トヨタは日本を諦めつつある」という豊田章男社長のメッセージは真意か?”

  1. みついき より:

    池田氏はある例を拡大解釈して全体に当てはめて大きな批判をする、というスタイルの記事が多いので国沢氏が気にする必要はないと思います。ライターとしては人気があるらしくいろいろなところで記事書いていて、熱心な読者もいるようですが。

    そういえばEUをブラック魔王(昔のアニメの悪役らしいですが自分は世代じゃないのでわからず)に例えて環境政策を批判したことがありますが、あれは明らかに国沢氏のブラックサタン批判を意識したものでしたね。

  2. Nobutsuna より:

    この記事、私も読みました。
    国沢さんもこの席に居たはずだようなぁ、意見聞きたいなぁと思っていたところです。
    あれだけサプライチェーンを含めて産業界の維持と愛を語っている豊田社長が「日本を捨てる」と言う意志を持つものなのか?と言う疑問を強く持ちました。
    工業会の会長としての発言や、数年前からトヨタ労組が連合と距離を置き与党への影響力を強める動きをしている事も含めて、今回の発言は日本政治への強いメッセージを帯同したメディアにも共有して欲しかったのでは無いかな?、と言うのがわ私感です。

  3. 奈良県人です より:

    私は長年の国沢web愛読者ですが、池田さんのブログも熱心な読者でして、お二人の現状認識に違いはないと思っています。つまり、トヨタは日本を重視し愛しており日本から本拠を移す考えは本心では無いが、日本最大の産業であり納税者・雇用主である自動車産業を日本政府が環境政策などの面でしっかりサポートしないと、最悪は日本から出て行ってしまいますよ、と日本政府に危機意識を持つようにゲキを飛ばされているという理解です。
    そういう書き手の真意を汲もうとせずに、記事のコトバを表面的に理解しただけの批判が、最近は財界人や報道にも多いのが残念です。

    私もタイに仕事で駐在したことがあり好きな国ですが、あそこに本拠を移すなんて考えられません。あくまで、基幹産業である自動車産業に非協力的な日本政府に対する、当てこすりでしょう笑。

  4. Rotarycoupe より:

    発言力のある有識者って…テレビに出て決められた時間を埋めているだけの人達に、国沢師匠が反応することもないのでは。そもそも現役世代はテレビを観ていませんから。いや現役を退いた人達も選挙で同じ1票なのが問題なのか…申し訳ありません、話が逸れました。

    後編ではニュアンスを変えていますね。
    https://www.itmedia.co.jp/business/spv/2301/03/news012.html

  5. アミーゴ5号 より:

    数日前かな、この記事を読みました。まことしやかに書いているけど、無責任な愉快犯に近いと思いましたヨ、ホント。

    実際のところ、モリゾウ社長も日本政府の巨大な馬さんと鹿さん振りには、辟易していると思います。だってホントに酷いもん、日本政府は。

    それでもですよ、
    モリゾウさんが、日本自動車業界500万人の仲間を捨てて、他国にトンズラするわけがない。

    ということで、
    この記事については、言及する価値すらないと思っています。

  6. natumenatuki より:

    タイでは、「月夜の晩ばかりではないから、気を付けろ!」と言う言葉が、平気で交わされています。

  7. よしの より:

    EV系の記事もそうですが
    そもそもトヨタはそんな発表してないのに
    ライターが憶測で書いた事を何故が読者がトヨタが公式発表したみたいな受け取り方をしていて
    不思議でしょうがないですよ。。。

  8. CX-60 より:

    なるほど話を聞いてみると、水素社会への取り組みはタイのほうがやりやすそう。
    この記事は読みましたが、日本を捨てるとしても(笑)タイは無いんじゃないかと。すでに軸足を置いているアメリカならいつの間にかそちらに重きをと思うことはあります。

    ただ、トヨタの日本離れの一端を、直近の納車の遅れとKINTO対応に垣間見たような気がしました。
    新しいプリウスは275万円から。
    あまり上昇していないように見えますが、これは営業車グレードです。買おうと思っても数年待ち。KINTOがありますよと紹介されても、こちらは本体車両価格ほどのお金をつぎ込んでも永遠に自分の手元には残らない。
    私の7年落ちのプリウスも買取に出すと70~80万くらいになるそうなので、売り払えば7年間実質200万で済んだことになるんですが、KINTOは5~7年で300万ほどつぎ込んで車は自分の物にならない。
    ホンダ車が高くなる一方で、トヨタも腑に落ちない対応をするなと思います。そうでもしないと、日本ではお金にならないのか。

  9. z151 サンバー愛好者 より:

    私の率直な印象は「失敗した伝言ゲーム」です。
    「坊さんが京都で説法してた」と伝言したら「坊ちゃんが今日道端でキス(接吻?!)してた」と回りまわって耳にした気分です。
    国沢さんの記事を読んでいたから笑い話のひとつもしたくなりますが、これがなくて池田氏オンリーの情報だったらと思うとちょっと身震いしますね。

    私も妄想は得意な方なのでよくします。
    モリゾウ氏がバブソン大学で卒業式のスピーチを3年前にしましたが、タイの方程式を当てはめると「トヨタはアメリカに軸足を移したがっている」ことになりますし、中国の清華大学のスピーチを聞いても「トヨタは本拠地を中国に…」といくらでも書けてしまう。

    そこに共通するのは各国に対する深い理解と畏敬の念です。
    アメリカではドーナツ、中国では臭豆腐と身近な食べ物や文化に触れ、タイではプーパッポンカリーから入る。
    日本人向けの外国人の講演者が「おにぎりとみそ汁にいたく感動して毎日食べていた。驚くほど安いのにジャパンクオリティだった」と持ち上げられたらイヤな気はしないはず。
    誰もが誇りに思っている自国出身の偉人を「私も尊敬しています」と云われたら「アンタは間違っている!!」と恫喝するのは、大きな悩み事があるか余程カルシウムが足りていない人です。
    尊敬と共感が理解を生むと解っているからこそ、スピーチには順序がある。

    地球って宇宙から見ると国境線なんてないし、空気を汚すと最終的に地球全体が汚くなる。
    ただ国境線は見えないけれど、自動車工場ってトヨタとかだと世界中にあって、人材も日本にだけ集約している訳じゃない。
    国や地域によっては日本より数倍開発スピードを稼げる可能性もある。
    だったら世界中のアイデアをできるだけ実現させましょうよ、タイではこうです、の方が余程納得がいきます。

    池田氏ちょっとヤキモチ妬いちゃったんでしょうかね?

  10. miyabi より:

    いやはや、最初に記事の概要を見たときは「え!?」と思いましたが、記事を読んでいる途中、「タイかアメリカに本拠地を置く」的な事を書かれているのを見て、一気に冷や汗が止まりました。
    国沢さんが書かれている通り、タイに本拠地を置くなんて考えられないです。アメリカならまだわかりますが…。アメリカに本拠地を置いたとして、日本が一番生産台数が多いのに、「そんなに簡単に本拠地を移す事ができるのか?」と思いました。おまけに、トヨタにとってはアメリカ政府の政策の方が息苦しいでしょうし。

    本当、びっくりしましたよ^^;

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