なぜ日本勢は電気自動車に対する熱意が薄いのか? アメリカ頼みです!
電気自動車の開発遅れは明白になるつつあるのに、日本のメーカーを見ると焦りの色など無し。むしろ「全て電気自動車になることなどあり得ない」という判断をしているように見える。なぜか? アメリカがどうなるか解らないからだ。最も解りやすいのはホンダ。OBから聞いたのだけれどホンダはマスキー法からずっとアメリカの動向をキャッチアップしてきたそうな。
GMとLGケムが共同開発するアルティウム
アメリカがクルマの流れを決める、ということ。ある意味、正しいと思う。実際、衝突安全性も2度目の排気ガス規制も全てアメリカの決定を受け、ホンダは躊躇わず実行に移している。結果、アメリカでは全てTOPランナーで規制を余裕もってクリアしてきた。同じ意味でスバルもアメリカ一本足打法だし、日産やマツダも欧州がガタガタになっている状況を見るとアメリカ頼み。
全世界で頑張っているトヨタですらアメリカ市場は大きい。逆に考えれば日本の自動車メーカーはアメリカで売れれば安泰だと皆さん思っている。そんなアメリカの電気自動車事情を見ると、イマイチ解らない。希望的観測で言えば、アメリカ人が大パワーエンジンを手放さないだろうと思っているし、トランプみたいな大統領が出てきたら電気自動車なんか関係ない、になると考えている?
半分当たっているかもしれません。ハイブリッドに代表される「燃費半分になるエンジン車」があれば、二酸化炭素の排出量削減目的なら、それで済む可能性ありますから。ただし! アメリカってクルマの趣味や文化レベルは地域よって大きく異なる。西海岸や東海岸に住んでいるような人って環境派が多い。海沿いの州はおそらく電動化路線をしっかりトレースすると考えます。
中西部に住む人は怪しい。けれど中西部の人って日本車の顧客筋じゃない。そしてGMもフォードもフルサイズの電気ピックアップをキッチリ開発しているのだった。ここに日本車は入って行くことなどできまい。海沿いの州は「2030年には半分を電気自動車にする」というバイデン大統領の約束を守ろうと頑張るだろう。そこに日本勢がどのくらい食い込んで行けるか。
日本勢、もちろんアメリカ戦略はキッチリ練っていると思う。例えばホンダで言えば、GMと韓国LGで共同開発したアメリカの『アルティウム』電池を2027年から搭載することになっている。トヨタもノースカロライナに2025年の立ち上がり時点で年産20万台規模の電池工場を建設中。日産は出資している『AESC』が2025年に年産30万台規模の電池生産を開始する予定。
次世代ハマーは電気自動車になる
2030年時点でのアメリカに於ける電気自動車の台数は400~600万台規模になると目されており、2025年時点で日本勢が40万台程度の生産能力を持つという計画は極めて納得できる。その上で燃費の良いハイブリッド車を売りまくれば十分勝てるという戦略。だからこそ日本勢の経営陣は急いでいないし、細かい部分はその都度修正していけばいいと考えているんだろう。
ただこの目論見には韓国勢や中国勢の猛攻が想定されていない。中国と距離を置こうとしている米国ながら、中国で米国車を売っていれば米国に中国車を受け入れなくちゃなるまい。韓国車についちゃアルティウムを作っているのがLG系だということを考えたら、いろんな意味でハンデ戦になるだけじゃなく、エンジン技術で売るホンダの優位性はほとんど失ってしまう。
何より現在進行形で販売している電気自動車の仕上がりは、すでに韓国や中国に負けている。2025年に突如勝てるクルマを出せる自信を持っているというということか? アメリカの消費者がパナソニックを見限ってサムソンのTVを買うようになったのと同じく、そのときは勝負付いているような気がしてならない。前述の通りホンダがアメリカで人気なのはTOPバッターホームランだからだ。
2027年に押っ取り刀でGMと同じ電池を使う電気自動車を出してきても、もはやリスペクトされまい。というか今までのホンダの戦略じゃ無いです。シビック50周年を祝うなら、今後50年のシビックをドカンと打ち出して欲しかった。メーカーの経営陣はぜひとも韓国と中国の最新の電気自動車と、自社の電気自動車を乗り比べてみて欲しい。おそらく試乗してないです。
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