スバルのスモールオーバーラップの秘密
スバルは最初の段階からIIHSのスモールオーバーラップ衝突で良い成績を残していた。2013年モデルのレガシィが『A』ですから。そして現在販売している車種は最高評価の『G』ばかり。しかし! 「衝突でブツける左前しか対応していない」とは「簡易対応だ」など、批判する声も多かった。
ここ数年、スバルは現場の技術者をメディアの前に出さなかったため、確認出来無い状態でした。取りまとめ役や、役員レベルだと詳細を聞いても納得いく答えは返ってこず、疑心暗鬼になるばかり。閑話休題。山口県の試乗会にIIHS対応のボディを担当した技術者が来ており、ジックリ話を聞けた。
まずボディ構造の内容から。左メインフレームの左側前にスモールオーバーラップのバリアに当たる構造物を設けている。その構造物はバリアに当たるとメインフレームを右側に折るような形状をしているという。折れたメインフレームは、エンジンを右側に押す。その反力で車体も右に押す。
これで3つの対応が出来てます。メインフレームを折ることによりサスペンションアームも折れるため、トヨタなどが大いに苦しんだ前輪の動きを見事にコントロール出来る。さらに強固にマウントされたエンジンを動かすことにより、衝撃を吸収する。その上、車体をバリアから離そうという動きが加わります。
こら素晴らしいアイデアだと感心しきり。他のメーカーは最低20kg。重いメーカーだと80kgに達する車重増を9kg以下に抑えている。もっと驚いたのは2013年式のレガシィが何の対応もしていなかったこと。何と! ノーマルのボディでAを取れる安全性を持っていたと言うことですから。
右側を対応していないのは、構造物を付けると補機類を動かさなくちゃならため、という理由の他、ハンドルの無い助手席側はそのまんまで『G』評価が取れると考えているからだという。この技術者のアイデアによりスバルはアメリカで高い評価を得ている。「金一封は出ましたか?」と聞いたら「いいえ」。
2つ上の動画は対応ボディの2015年モデル。スモールオーバーラップでGを獲っているモデルの中でも明らかにボディ変形が少ない。普通のオフセット衝突みたいだ。四苦八苦しているメーカーも居れば、技術者のアイデアで余裕のクリアも可能。これが技術の面白さです。
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