デトロイトショー

10日からデトロイトショーが開幕したが、昨年以上に寂しい状況となってしまった。ビッグスリーの一角であるクライスラーは新型車を1車種も展示できず、フィアット500を2台並べたのみ。昨年出展を見合わせた日産もブース構えたものの、ワールドプレミア無し。新型車はリーフだけ。

長い間、GMの陣地だったサーブとサターン、ハマーのスペースはEVの特別展示になっている。ここで中国のBYDが「今年中に330kmの航続距離を持つEVを350万円程度で販売する」とブチ上げたけれど、中国や韓国、日本の記者に注目された程度。肝心のアメリカの反応はイマイチだったそうな。

何度も取り上げてきたBYDながら「安全で信頼性の高いリチイムイオンバッテリーを生産する技術」と言う点で極めて怪しい。サンヨーのバッテリー工場はクリーンルームに近い状況で、さらに人間が目をこらしながら品質を確保しているという。微細な異物や僅かな品質のムラも許されないそうな。

液晶パネルならドット欠けがあっても品質落ちるだけ。大容量リチウムイオンバッテリーの場合、1つのセルに問題あるだけで耐久性や全体の性能に影響を与えてしまう。試作品から量販品へのハードルは想像以上に高い。新しいリチウムイオンバッテリーを発表した日立も、当面はサンプル出荷。

大量生産に移行出来る技術レベル(信頼性、という意味)を確率出来るまで下を見てし2年。さらにコスト競争力を持たせようとすると、さらに2年は掛かる。中国人がイメージする信頼性とアメリカのユーザーの考える信頼性って、二桁くらい違うんじゃなかろうか。技術の評価は冷静さが必要。

また、トヨタは「2012年からEVを千台以上売る」とコメントし、ニュースになっているが、こらもう新しい情報じゃない。カリフォルニア州の規制をクリアしようとすれば、2012年から販売台数10万台あたり300台程度のEVを売らなければならないのだ。40万台売るなら1200台です。

だからこそホンダもトヨタも昨年の東京モーターショーでEVを出展したワケ。20年前からアメリカ市場で要求されるパワーユニットは規制を分析すれば簡単に予測出来る。

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