トヨタ、スバルの株を20%取得。ナニを狙ってるのか?
トヨタがスバルの株を20%取得することになった。商法的には特に意味無し。スバルの経営にトヨタが介入することも出来ない。いわゆる「グループ企業」と呼ばれるようになる程度です。ではなぜ20%に比率を上げ、連結決算の対象にしたのか? 考えてみると、いくつか興味深い点が出てくる。日本にとって最も大きなメリットは「買収されなくなる」という点でしょう。
アメリカで高い収益率を持つスバルを買収すれば、アメリカや中国の企業からすれば十分に利益を上げられる。特に中国の企業からすると、アメリカ参入のツールとして最高です。今回トヨタが踏み込んで20%にした結果、他の企業からすると極めてハードル高くなった。トヨタにしてみても収益率の高いスバルを持っていたら、株主配当を得られるという点でデメリット無し。
スバルからすると有り難いことだらけです。スバル、環境対応技術で致命的に遅れを取った。もはやヨーロッパ市場(EU圏内)ではeボクサーしか販売出来ない。eボクサーのように高くて遅いパワーユニットなんかヨーロッパで売れると思えません。事実上の撤退と考えていいだろう。そもそもヨーロッパ市場は商社に任せているため、スバルにとって痛みも薄い。
日本市場と言えば、良くて現状維持だろう。国交省が決めた2020年燃費規制(CAFE)のクリアは無理! 日本の場合、ヨーロッパよりペナルティ緩いため、せいぜい1)モデルチェンジの時は今までより燃費を良くすること。2)新規車種を入れるならCAFEをクリアすること。3)スポーツモデルはダメよ! といった程度。インプレッサとフォレスター、レヴォーグを大切に売るしかない。
そして業績悪化したらトヨタに助けて貰える。トヨタからすればグループ企業が厳しくなると、意地でもテコ入れしなくちゃならない。ただそうなったら経営の主体はトヨタになりますワな。つまり業績悪化=主権を失うということになる。スバルとしちゃそうならないよう、頑張らなくちゃアカンです。スバルが元気ならトヨタは独自性を尊重しそのまま見守ると思います。
というタイミングでラジオ日本『ドライブ・ア・ラ・カルト』(土曜日21時。ラジコでも聴けます)のゲストはスバルの石井デザイン部長。石井さんになってからのスバルデザイン、個性的かつシャープで良いです。なかでもレヴォーグから姿となっていく「ヴィジヴ」というコンセプトは素晴らしい! 石井さん、何よりクルマ好きです。楽しい話なのでぜひ!
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