トヨタは内燃機関を止める
興味深い! トヨタは14日に行った『トヨタ環境チャレンジ2050』で、2050年に販売する自動車から出る二酸化炭素の排出量を90%減らすと発表した。日本やアメリカ、欧州など先進国で走るクルマのほぼ全てが燃料電池か電気自動車になることを意味する。そのトヨタと提携を結んだマツダのパワーユニット担当役員は「燃料電池などお話にならない」と言う。
はたまたVWは「電気自動車に大きなウエイトを乗せていく」。いずれも「う~ん!」とウナる。トヨタの主張を鵜呑みにすれば、35年後の2050年になると原油を採掘しなくなっているか、今の90%減になることを意味する。原油を掘ればガソリンが出来てしまう。ガソリンの有効な使い道はガソリンエンジンくらいのもの。原油を採掘しなくなるとは考えにくいです。
マツダは逆で「原油を採掘するなら内燃機関が最も熱効率良い」というコンセプト。原油から電気を作るのも水素を作るのもナンセンスだと言う。これまたバランス感覚に欠けるような気がしてならない。太陽光発電を使えば電気自動車は原油から精製するガソリンより安くなる可能性あるし、水素だって多くの人が研究開発することで新しい技術も出てくるだろう。
VWに至っては電気好きの人が会長になったため、とりあえずの一手というイメージ。大きな企業として考えればもう少しバランス感覚あってよいと考えます。トヨタ社内にだって異論あるハズだ。マツダの社内にも「電気をやった方がよい」という人が少なく無い。したがってどこの企業も極めて小数の「声の大きい人」がこういった戦略を立てているのだと推測する。
今回のVW不正の際、私はNOxについて何度か書いた。これに対する反対意見は数多。例えばハイブリッドの父と呼ばれる八重樫さんのブログである。八重樫さんは素晴らしいエンジニアでトヨタ在職中は様々なことを教えて頂いた。そういった意味では日本の物作りの凄さの原点であり、尊敬していた次第。きっとトヨタ内部にも支持者は多いかと。
その八重樫さんは現在トヨタを御卒業され、コーディアという技術コンサルタント会社をやっておられるそうな。ブログを読むと「モータージャーナリストのコメントに、今回の事件に関連し、不正はいけないけれど、影響はそれほど多くない、人が死んでいるわけではないとの論評を読みました。これは、理解不足、ミスリードです」。人が死んでないと書いたの私だけです。
ブログを読むと中国でNOxとPMにより年間160万人も死んでいるという。ただ私が書いているのは中国のNOxではありません。そもそも中国の場合、自動車以外から排出されるNOxの量たるや膨大。というか数字を全く掴めない状態。中国で160万人死んでいることと、今回の件は離れすぎている。中国は大至急NOx対策すべきだ。
一定の濃度までは大きな影響なく、それ以上になると健康被害が出るという物質はいくらでもある。繰り返すがVWの問題の本質は不正を行ったこと。トヨタはBMWからテストモード以外で規制値以上のNOx出すディーゼルを買っているし、SUV用にディーゼルを開発した。そう遠くない時期に電気自動車だって必要になってくることだろう。
目標を立てるのは重要だと思う。されど柔軟な考え方も必要だ。「もっと良いクルマを作ろう」くらいでいい。トヨタやVWといった規模の企業になれば、様々な選択肢を確保しておくべきだ。
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