トランプ大統領で日本の自動車産業どうなるか? まず気になるのが前回は105円前後で安定していた為替
次期米大統領がトランプさんになった。私は「世の中の流れからすれば環境派のハリスさん」と思っていたけれど、ガザの虐殺やウクライナ侵攻を止められなかったバイデン政権の副大統領だったハリスさんの評価、低かったです。じゃトランプさんなら止められるのかとなれば、全く解らない。というか、いろんな分野の予想が出来ない感じ。自動車産業どうよ?
円安か円高か? 前回のトランプさんの時代の為替は1ドル105円を挟んだ状態で安定していた。トランプさんになって「日本に儲けさせているんじゃねぇ!」となり、円高に振れるようだと自動車産業の利益は激減する。1ドル155円を想定レートにしている日産など巨大な赤字決算になるだろう。マツダとスバルも決定的に厳しい。ホンダは強く、トヨタもしのげる。
メキシコの特恵関税 現在、メキシコ工場で生産している日本車はUSMCAと呼ばれるアメリカ/メキシコ/カナダの三カ国で特恵関税協定を結んでいる。前回トランプさんが大統領になる前はNAFTAと呼ばれる三カ国協定があり、メキシコで生産したクルマは”ほぼ”無条件で特恵関税を受けられた。そいつをトランプさんが破棄し、アメリカの部品を使わなくちゃならないUSMCAに変えた。
アメリカ向け新型キックスもメキシコ工場
それでもメキシコ工場の方が生産コスト低く、マツダの場合、米国で販売しているマツダ車の3分の1がメキシコ製。日産も新型キックスなど多くの車種をメキシコ工場で生産している。本来ならメキシコ工場をぶっつぶすために作ったUSMCAなのに、期待通りになっておらず。この状態を快く思っていないだろうから、必ず何か制限を掛けてくるだろう。
カナダとの関係 以前書いた通りなぜかホンダの三部さんは電気自動車用の電池を生産するためカナダに巨額な投資して工場を立ち上げる。当然ながらアメリカで販売される電気自動車にも搭載されるだろう電池です。このニュースに接した時「なんでアメリカに作らなかったのか」と書いた。日本車嫌いのイーロン・マスクにチクられたら相当厳しい。95%の確率で圧力掛かります。
環境問題 オレが大統領になったら化石燃料を掘りまくると豪語していたトランプさんだけに、間違いなく積極的な環境派じゃありません。電気自動車の販売義務化など、最大で4年遅れる可能性出てきた。現在「う~ん!」とアタマを抱えているのは電気自動車一直線だったホンダ。おそらくプラットフォームの大幅変更を強いられる。PHV無しじゃアウツです。
でも結果オーライだったかもしれない。1年後だったら取り返しの付かない&変更出来ないほど投資をしてしまっただろう。今なら最悪の事態にならずに済む。三部さんは大損をさせることになる株主への責任を取って貰いご退席願い、新しいTOPで頑張るしか無い。もしかしたらトランプさんの大統領就任はホンダにとってカミカゼだったかも。
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トランプ氏の大統領当選のニュースと同じころ、日産の大きな減益が報じられました。日産が為替を155円と想定していたのなら、かなり計算が狂うだろうなあと想像できます。
今の相場観なら105円なら円高過ぎに見えると思います。ホンダはBEVに想定していないエンジンを載せるだけで済みそう(?)ですが、日産は大きなHEVを現状ですら持っていないので存続の危機かもしれません。
トランプ氏が前回大統領になった時は「アメリカファースト」がかなり特異に聞こえましたが、アメリカ国民の「インフレを抑えてほしい」「何で異国の戦争を支援するのか」という声に、トランプ氏の政策はごくまっとうなものに聞こえたのかもしれません。不安定な世界情勢が落ち着くなら(トランプ氏は俺なら戦争を止められると言っている)、日本にもいいことはあるのかもしれません。
ただ、環境保全派が言っていた「トランプが大統領になったら今までの努力が水の泡」というのも事実ですね。
アメリカ人にとっての「本音」トランプと「建前」ハリスの戦いは、バイデン民主党の左派寄り過ぎた政策と、カリスマ性のまったく無かった(女性&マイノリティ)ハリス候補者では、”アメリカ”を体現したようなトランプ勝利も十分予想出来たんですよね。
共和党としては輸入品に安易に関税を掛けてしまうとインフレを助長することになりかねないので…。
アメリカの現状は、インフレによる価格高騰に中産階級もついていけなくなっていて、移民&不法移民取り締まりを強化すれば、低賃金の不法労働者も減るのでこれもインフレを助長させる可能性が。
まあトランプは、自分へ投票してくれた人たちが数年後にハイパーインフレで苦しみ続けていたとしても、別に何とも思わないんだろうけれど。