プリウス、なぜ売れ行き低迷?

2015年12月に発売した4代目プリウスの売れ行きが低迷している。先代の場合、発売から2年間は「生産出来る台数=売れる台数」という好調さをキープしていたものの、現行モデルは発売1年にして対前年比で60%台という低空飛行になってしまった。なぜプリウスが低迷しているのか?

本来なら乗り換え客になるだろう2代目や3代目プリウスの乗っているユーザーや、プリウスを販売している現場に話を聞くと、どうやら三つの大きな要因があるようだ。1)奇抜過ぎるデザインと、2)変わり映えのない性能。3)そして高すぎる価格である。順番に説明したい。

まずデザイン。先代プリウスの場合、素直かつトラッドなデザイン&シルエットを持つ5ドアHBモデルであり、街中でたくさん見かけても飽きない存在だった。加えてタクシーとして使って乗客から不満の出ないリアシートの居住性を持つ。一方、新型プリウスのフロントデザインは奇抜。

目立つためのデザインなのかもしれないが、2代目や3代目プリウスのユーザーからすれば、魅力を感じないという。私も初代から3代目まで全てのプリウスを乗り継いできたものの、現行プリウスは見た瞬間に受け付けず、オーダーしなかった。また、リアシートもルーフが低く快適性で厳しい。

性能も大いに失望した。現行プリウスの開発チームに話を聞くと「燃費を追求しました。3代目より実用燃費で10%程度向上しています。動力性能は同等です」。3代目プリウスでも十分燃費で満足出来ていたため、ユーザーからすれば性能の向上などクルマとしての魅力を向上させて欲しかったところ。

開発陣に聞くと、燃費が3代目と同等でOKなら走る楽しさに直結する性能を大きく改善出来たという。性能向上を実現しなかった点についていえば、世界的に厳しい評価を受けている。同じ販売台数の低迷に悩むアメリカ市場も「もう少し元気良い走りを期待していた」という声が多い。

そして価格。デザインも性能も高い評価を得られていないのに、価格は実質的に10%程度の値上げ。驚くほどお買い得な価格設定とし、生産が間に合わないほどのバックオーダーを受けた3代目と対照的である。結果、値引きしないで売れるクルマの代表格だったプリウスながら、今や普通に値引きを行う。

以上3点はトヨタも認識しているという。年内にも行うマイナーチェンジでこの3点のバージョンアップを行うようだけれど、室内の狭さや絶対的な動力性能は小改良だと無理。フルモデルチェンジしなければ対応出来ない。盤石のトヨタといえども、失敗作を出してしまうあたりが自動車ビジネスの厳しさである。

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