ホンダ、日産連合に三菱自動車が合流という報道……業界からは「当たり前でしょ!」

ホンダと日産連合に三菱自動車が加わるとニュースになっている。というか、こういったことをさも「たいへんだ!」と騒ぐこと自体、理解の他です。なんせ日産は三菱自動車の株を34%持っている筆頭株主。ホンダと日産連合に加わるのは当然の流れになる。この連合を報じるのなら、どういった協業をやるかについて探って欲しいのだけれど、その点について情報無し。

しかもルノー日産、三菱自動車の協業と同じく「800万台規模のグループになる」ときた。本当か? 客観的に考えてみよう。とりあえず可能なことは、OEM関係だ。次期型セレナをステップワゴンとデリカとして販売するとか、N-BOXをデイズルークスやデリカミニとして売る、みたいなこと。このビジネス、結果は見えている。OEM全滅です。

マツダは軽自動車を自社生産をやめ、スズキからのOEMにした。すると販売台数激減! スバルは軽自動車の自社開発をやめ、ダイハツからのOEMに切り換えたら台数激減。OEM供給、1+1+1=1.2くらいにしかならない。800万台が半減する戦略だ--ということはメディアと違いホンダも日産も三菱自動車を知っているので、OEM関係は「もうやめたい」という車種に限られる。

ということで一番の可能性は以前から言われている通り車載OSの共通化だ。もちろん現在販売されている車種や、今後発売されるエンジン搭載モデルは共通化無し。これから開発したって最短3年。いや、現時点で十分な話し合いが進んでいるという情報無し。上層部のごく一部で共有されているだけだと思う。常識的に考えると4年は掛かる。

ということは2026年に出てくるホンダ0やソニーホンダのアフィーラ、日産に2027年までに出てくる電気自動車群には間に合わない。2028年でやっとか? すると2028年までに出す電気自動車は、独自のOSを使うことになるだろう。何と! ホンダも日産も巨額を掛けて開発した独自OSをたった1~2年しか使わないということになってしまう。

そんなことするか? 考えられないです。OSを開発したら10年くらい使いたいところ。100歩譲り、とりあえず2026~2027年に出す電気自動車は互換性の高いOSにするという手もあるけれど、それなら今から動かなければならない。その時に必要なのが「どちらのOSに寄り添うか」だ。ホンダが開発中のOSにするか、日産のOSにするか、です。

これは簡単じゃない。お互い主張したい点はあるでしょうから。ルノーが筆頭株主だった時代の日産や、今の三菱自動車なら相手に対し譲るというチョイスもあったろうが、ホンダからすれば対等。相当モメると思う。加えて資本関係なし。もっと言えば、内田さんと三部さんの握りであり、2人とも1~2年で引退する。その時に継続するパワーってあるんだろうか?

3社の提携、資本入らない限りいつ解消してもおかしくない。

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4 Responses to “ホンダ、日産連合に三菱自動車が合流という報道……業界からは「当たり前でしょ!」”

  1. トヨタ車ユーザー より:

    OSの便利なところは、ハードウェアが抽象化(例えばどのメーカーのPCでも同じように見える・使える)できることです。
    もし共通のOSができたとしたら、現状3社3様のxEVの構成差を吸収して、構成差を気にすることなく車両制御のプログラムやソフトが書けるOSを作ることになる(?)のでしょうが、それって膨大な作業です。現状共通な構成は何もないわけですから。モーター・インバーターも違えば車載充電器も違う。
    なので、車載OSの共通化はOEMにとってメリットがあるのか懐疑的に思っています。サプライヤーにとってはメリット大でしょう。共通のOSの上で動く部品ができればどのOEMにも売れるから。
    OSというとパソコンのwindowsが例に出され、DELL、hp、DynabookどのメーカーのPCも同じように使えてアプリ開発もできて便利でしょと説明されますが、実はPC側ハードはどういう仕様で作ればwindowsが使えますと逆に決まっているんです。
    windowsマシンがかつてDOS/Vとか呼ばれていましたが、その当時のPCハードの規格がDOS/Vのような名前だったのです。
    となると、共通OSを載せるなら車側の仕様もあまり大きく差を設けられないことになります。三菱かホンダかといっても、hpかDellかぐらいの差しかなくなってしまう。あるは差を設けてそれを共通OSで使えるようにデバイスドライバ・APIを用意するのか。
    目下、単純に喜びだけでない3社連合が待っている気がしてなりません。でも、日本は規模に対してOEMの数が多いと言われているので(まあ、世界中で車を作っているわけでもあるのでそうなることはあるかも)再編されてスケールメリットがあってユーザーにフィードバックできるならいいと思います。

  2. アミーゴ5号リボーン より:

    国沢さんの言われるとおり、3社連合とやらですが、どう見てもうまくいく気がしません。

    協業・連合に向けた、強烈な目的や求心力、必然性がないですもん。

    自分的には、ホンダの夢追い社長と日産の他人事社長が、苦し紛れに外様勢力同士で手をニギニギしただけで、実務は開発現場に丸投げしていると勝手に妄想しております。

    この大事な時期にですよ、
    3社の開発現場は、意識や考え方、文化の擦り合わせからやらねばならない。そんなことから始める場合ではない。。。

    少なくともOSについてはですよ、
    中華対抗を最優先してですよ、
    トヨタを中心とした日の丸艦隊で纏まった方が、得策の様な気がしています。

  3. JUN より:

    ホンダと日産連合は、水と油って感じですよね…。どちらもプライドが有ってトヨタとの協業(共闘?)は難しそう。日産に関して言えば、あまり明るい未来が見えませんが…ホンダには、この荒波を乗り切って欲しい。
    本当は、こんな時の為の国交省なんだと思うんですよね。自動車会社間を取り持てと。まあ、そうなれば、国交省は鼻息も荒くなるんでしょうが…。

    ホンダ、GMと燃料電池車やBEVでは共同開発をしていましたが、BEVに関してはGMの技術では低価格化は無理と踏んだのか、GMから離れましたよね…。
    やはり、テスラの内情を良く知り研究してきたトヨタが、日本のメーカーでは一番期待出来そうではある。が、トヨタ製OSを搭載したホンダ車が魅力的に見えるか?と言われると…。ソニーとBEVを共同開発し、何とか独自性を確保したいホンダの気持ちは痛い程分かるんだけれど…やはり日産連合とのOS共同開発は、悪手に見えるんですよね。

  4. 三菱に期待! より:

    個性があるって点で、三菱は良い気がする。数が出る車じゃないけど、マニア向けではあるけど、アウトランダーもデリカもトライトンも評価は高い。値引き競争じゃなくて指名買いされる車だ。
    ホンダや日産にそんな車はない。かつては信者レベルのファン付いた車がたくさんあったけど…
    日産やホンダの技術を使える部分だけ活かして、既存車種のアップデートでも暫くは勝負できるのでは。

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