ホンダのロケット技術、凄い! ただアシモと同じくどうやってビジネスに(実用化)するのか読めぬ
JMSは日本モビリティショーなので出展対象をクルマだけに限っていない。ホンダはホンダジェットと先日着陸に成功したロケットを持ち込んだ。順番待ちのホンダジェットについちゃ通常ツインリンクもてぎに置いてあるモックアップのため、行けばいつでも乗れます。ロケットは実物を展示してあり、開発を担当した技術者も解説員として近所にいる。いろいろ話を聞きました。
驚いたことに挙動のコントロールは噴射口のベクタリングだけで行っているとのこと。イカのヒレのような装置は横風状態を作り出すため(試験日は無風)、あえてバランスを崩そうとしているそうな。失敗することは考えなかったのか聞くと「失敗しないようたくさんのシミュレーションをしました」。液体燃料ロケットの出力コントロールは難しい。凄い技術力だと思う。
興味深いのは「どう役立てるか」です。今回の実験は高度100~150mまで上がって降りるというもの。本来なら宇宙から”大気圏再突入”をする。つまり突入時マッハ20以上になった後、逆噴射だけで減速しなければならない。それにはエネルギーが必要。H2Bの場合、300kmの低軌道へ19トンの”荷物”を運ぶため、500トン程度の燃料を使う。大気圏突入後、着陸までに使う燃料はどのくらいか?
正確に計算したワケじゃないけれど、100トンじゃ済まないと思う。ロケット本体+100トンの燃料となれば、打ち上げ時にH2Bの5倍の燃料を使う必要がある。ムダを嫌い大気圏に突入する飛行物体は、可能な限り軽く作り重い燃料は搭載せず、空気抵抗を使って減速(もの凄い熱が出る)。最終的にパラシュートか、スペースシャトルのようにグライダーとして帰還する。
ということでホンダロケットの技術は凄いけれど、宇宙にモノを運ぶモビリティとして考えると成立しない。これ、アシモと同じ。2足歩行型ロボットは20世紀中に実現出来ないと言われていたのにホンダが作ってしまった。ただホンダは使い方を考えておらず、開発を終了している。ホンダに刺激されて開発を進めた海外勢は、忍者のような動きが出来るロボットを作り進化中。
アシモの実用化を考えていれば、今頃福島第一で燃料デブリの処理に使えていたかもしれません。ホンダロケットも同じ。今のままだと単に「凄いですね!」で終わってしまう。どんなビジョンを持っているのか? JMSで説明員に聞いてみて欲しい。私はビジネスに結びつけて欲しいと強く思います。
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