マツダ、タイヤで乗り心地を改良しようとし、タイヤメーカーから「ウチはパス!」と言われた?
CX-3のマイナーチェンジにあたり、マツダはタイヤメーカーへ厳しい注文を出したという。結果、トーヨーだけがマツダの言うことを聞き入れ、専用タイヤを作った。話を聞き「そこまでやるのか。マツダ凄い!」という記事も出回ってます。この件、多くのメーカーの技術者は口を揃え「この道はいつか通った道ですねよね~」。かくいう私も「またですか」と思う。
確かにタイヤが乗り心地やハンドリングに与える影響は大きい。専用タイヤを作りたくなる気持ちもよ~く解る。されど新車装着のタイヤって、事実上購入出来ない。タイヤ交換、良くてディーラー推奨ブランド。基本的にカー用品店やタイヤ専門店に行き、純正タイヤと違うブランドを選ぶことになる。したがってどんなタイヤを履いても調子良く走ってくれる方が良い。
もっと言えば、タイヤメーカーだって技術の進歩がある。低転がりタイヤはドンドン良くなっていくし、静粛性だって上がって行く。タイヤの内側に吸音材を入れるタイヤすらあります。タイヤメーカーからすればコスト縛りのある純正タイヤより、より良い製品を出そうとしているワケ。自動車メーカーはコスト含めたバランスを重視し、タイヤメーカーは個性を伸ばそうとしている。
つまり自動車メーカーには自動車メーカーの理由があり、タイヤメーカーも自動車メーカーに振り回されないぞという「理念」(プライド)を持つ。おそらくマツダの試験部門はそういった流れや歴史をあまり考えないのだろう。一点の性能だけ追求しちゃうんだと思う。自動車作りで最も大切なのは「奥行き」。どんな状況でも納得の出来る性能を確保できなければアカン。
追求しちゃうと、スイートスポットをハズしたら全てバランス崩す。エンジンが好例。高回転域でしかトルク出ないエンジンは、スペック的に勝っていても扱いづらい。タイヤとサスペンションのマッチングだって同じ。一定の条件でのみ性能を発揮するように作ってしまったら、ダンパーの劣化や摩耗度合いで乗り心地が悪くなってしまう。解りやすい言えば「視野が狭い」。
考えてみたらマツダの試験部門は「ダイアゴナルロールを作り出す!」と言い切ってます(下の記事のダイアゴナルロール派はマツダのこと。当時は少し歯に衣を着せています。笑)。ブレーキ掛けながらハンドル切れば、どんなクルマだって外側前輪が沈み込むダイアゴナルロールになっちゃう。WRカーだってしてる。そこだけ見てクルマ作りをしたら、全体のバランスを崩します。
昨今のマツダを見ていると、日大のアメフト部によ~く似ている。理事長のような役割の人と、前監督のような役割の人、そしてコーチのような役割の人が見事に揃ってます。今後、ドンドン脱線していくと思います。外野から見ているとそれなりに興味深い。「道がクルマを作る」とは反対の方向なのだった。
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