マツダ、直近2年はラージが伸びなければ厳しい。果たして商品力を高められるか?
マツダが2023年度(2024年3月まで)の決算を発表した。日本での生産比率が大きいマツダはスバルと並び空前の円安ドル高の恩恵を最大限に受けている。次世代車の開発で遅れを取ったマツダにとって神風のような追い風と言って良かろう。決算発表の際、興味深い将来の情報がいくつか出てきた。まず次世代主力電気自動車は2027年になること。
アメリカで要求されるスケジュール感なら2026年としたいところながら、おそらく2~3年は遅れるだろう。2027年で問題ないと考えます。ただ気になるのはPHVをラインナップするかどうか、だ。トヨタは先日の決算発表で電気自動車にPHVが含まれると軌道修正した。トヨタの場合、何度か書いてきている通り電気自動車プラットフォームでPHVも作れ、比率を柔軟に変更できる。
一方、ホンダの電気自動車はPHVを想定していない。発電用エンジンを搭載するスペースを持っていないのだった。電気自動車の普及が伸び悩んだ時に厳しい。マツダで興味深いのは独自のハイブリッドを開発すると言う点。電気自動車ベースのハイブリッド(eパワーやホンダの2モーター式)であれば、電気自動車とPHVとハイブリッドの共用化が可能。
北米市場に於けるCX-70&90の競合車はグランドチェロキー
喫緊の課題はラージプラットフォームの熟成だ。最初に登場したCX-60の評価はお世辞にも高いと言えない。4月の登録台数を見ると473台で48位。昨年4月の22.5%に止まっている。発売1年半で極端に落ち込んでしまった。アメリカ市場向けのCX-70も立ち上がりは順調ながら、ここにきて日本と同じような課題が出ているという。CX-60だって発表から1年近くは売れてましたから。
ラージの課題は2つだと思っている。パワートレーンの滑らかさに欠けることと、乗り心地の質感の低さ。CX-60、マツダの文法通り発売後に何度か改良を受けている。パワートレーンについてはリプロで対応。乗り心地もリアダンパーの改良など行ったそうな。現在販売しているモデルを広報車に入れ込んであるというので試乗してみた。すると確かに初期型より良くなっている。
ギアがつながるときの「ガツン」は感じなくなった。乗り心地も40km/h程度までのタウンスピードまでに限り、普通のクルマのようになっている。ただトルコンATと比べればVWのDCT(ツインクラッチ)に代表されるイナーシャ(アクセル戻した時にエンジン回転がすぐ落ちない)など残す。DPF再生の時のアイドル回転数上昇も、他のディーゼル車と比べたら顕著。
速度上がった時の乗り心地は、というか車両の挙動はCX-60の車格を考えると相変わらず落ち着かない。ムダな上下動が多いのだった。インテリアの質感や、そもそものクルマの質感は十分高いのだけれど、走り出すと絶えずクルマがピョコピョコしてる。カタイというんじゃありません。逆にパワーユニットの滑らかさと、ドッシリした走り味が出せたら魅力的なクルマになると思う。
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何だか今になって円安の恩恵をマツダ・スバルの日本企業が受けられてよかったなと思います。日産よりもパワートレイン開発の夢が描けて良かったと思います。
ラージのFRは無用の長物だと思っていましたが、チェロキーを迎え撃つなら必要かと思いました。スバルもアセントをもっといい車にできてほしいです。
ラージFRはアメリカで売るなら排気量が小さすぎると思います。ガソリンV6で4Lとか6Lでなきゃアメリカ人の琴線には触れないでしょうね。かといって日本で売ろうにも今度はサイズはデカすぎる。いったいどのあたりをターゲットにしてるんだか。
いい加減ラージFRにこだわらずに唯一売れてるCX-5の後継車を早急に作るべきじゃないんでしょうか?
CX60が国内で初期だけに終わったのは以下3点に集約できると思います。
①リコール等品質問題の数
②価格帯に必要最低限の乗り心地不足
③ディーラー対応の悪さ
同じことが米国でも起こってればマツダはアウトだろう。
③については米国ディーラーがそうなのかかどうかはわかりませんが、①と②は程度の差こそあれ起こっているのではないでしょうか。程度の差が今年のマツダを決めるのだと思います。
国沢さんのフラットなご意見をいつも参考にさせていただいております。
日産についてもそうですが、自動車メーカーの今後を占ううえで決算発表はなかなか興味深い視点を提供してくれますね。
ぜひ他のメーカーについても考察いただけますと幸いです。
勝手ながら楽しみにお待ちしております!