リン酸鉄リチウムを頭ごなしに否定していた日産のガンコな技術者がついに折れた

日産が北九州市とリン酸鉄リチウム電池(以下LFPと略)の立地協定を締結したという。驚くのは「電気自動車用の電池工場」じゃなくLFP電池を明記したこと。何度か書いてきた通り日産と言えばLFPを徹底的に馬鹿にしていた。今までことある毎に「LFPは考えないのか?」と電池開発担当に問うてきたものの、そんなモン話にならないという反応。古い技術と言い切る。

中国は15年以上前からLFPを磨き続けてきた

かくいう私も2008年あたりに年中国のモーターショーでLFPに接した時は「鉄電池」などと少し下に見ており、そんな書き方をしていた。けれど2010年時点で「可能性大きいのでは?」と書いている。もちろんこの時点で日産の技術者と論争になってます。つまり中国の電池メーカーって15年以上LFP技術を磨き続けてきたのに、日産は10年間あえて無視してきた。

私は2010年にLFPの将来性を紹介してます

そんな日産が次世代電池工場でLFPを作ると発表した。あれほど下に見ていた電池ながら名指しです。10年以上続けてきた論争を考えると感慨深い。ただ生産開始は3年後の2028年。その時点で中国のLFP技術はさらに進む可能性あるし、さらに安価なナトリウム電池まで出てきた。というか、日産が2028年まで以下の規模をキープ出来ているかどうかすら怪しい。

参考までに書いておくと、ホンダの電池開発担当者とも2012年くらいからLFPの話をしてきた。反応といえば日産と同じく「そんなモン古い技術で乗用車用としちゃ使い物にならない」。もちろんトヨタにも話をした。当時は同じような反応だったものの、中嶋CTO体制になりガラリと変わっている。守旧派の技術者がオモテに出てこなくなりました。日産も世代交代か?

ここにきて何度か書いてきている通り、日本の優秀な技術者は自分がやってきた技術のみ「是」とし、中国や韓国や自動車評論家の話は否定から入る。もう少しワイドに物事を考えるか、自分は否定から抜け出せないのなら5%でいいから別の人間に可能性を探らせるべきだと思う。トヨタが早いタイミングでLFPに舵を切れたのは5%があったらからだという話を聞きました。

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4 Responses to “リン酸鉄リチウムを頭ごなしに否定していた日産のガンコな技術者がついに折れた”

  1. 昔のベストカー読者 より:

     国沢さん 良い仕事して来ましたね 
    自分が最初に国沢さんを知ったのは 徳大寺師匠のコラムで老舗鰻屋の~と紹介されていて知りました
    今でも本棚に文庫本サイズの外国車個人輸入の仕方みたいな単行本があります この本、自分が最初に購入した国沢さんの書下ろしでした。
     あれから時が過ぎ 自分の見ていたクルマ雑誌も
    カーグラ ベストカー navi エンジン ここまでは
    購入して読んでました どの媒体にも国沢さんの記事が載っていました。 
     最近で一番大変だったのは VWのディーゼル詐欺の時でしたね それにしても国沢さんはメンタル強いです
    これからも引退なんて考えないで マイペースで仕事して下さい。
     

  2. アミーゴ5号リボーン より:

    15年前の鉄電池の記事に、コメントしている自分を見つけました。結構まともな妄想してたりして!?

    こちらの記事で初めて「鉄電池」の存在を知り、強く印象に残っていました。でも、あれから15年も経っていることにビックリ!

    それにつけても、「技術」って不思議です。どんなに優れていてもコスト高では普及しないし、レベルが低くても古くても周辺技術の向上で脚光を浴びたりするのですから。

    そういう意味では、人はもっと技術に対して謙虚になるべきなのでしょう。もちろん「技術で世界一を目指す!」「技術で世界を変える!」位の気概がなければ、画期的な発見や開発などできるはずがありません。

    でも少なくともですよ、
    「技術の日産」とか言って、自己主張・自己満足してちゃあかんのだと感じました。

  3. nbkt より:

    嬉しい情報、ありがとうございます。
    でも今更です。遅すぎます。
    我がLEAFは今秋バッテリーの保証が切れます。
    それまでにLFP車に乗り替えたかったです。
    いや昨年秋の3回目の車検の前に乗り替えたかった・・・

    2028年までどうすればよいのでしょうか。
    初代LEAFの時と違い8年目が近いのに1セグも欠けず、
    まだまだ乗れそうなので延長保証などあれば安心できます。
    保証もされず交換できたとしても現実的ではない価格なら、
    スズキの「e VITARA」を待つしかなさそうです。
    LFPならBYDという手もありますが、ねぇ・・・・・

    確か2~3年前に、
    ニュージーランドだったか「EVs Enhanced」とかいう企業が、
    LEAF交換用のLFPユニット(40kWh)を出す出す言ってた様な?
    バッテリーの温調システムまで付いてました。
    あの話、その後どうなったのでしょう。
    最近全く耳にしません。
    横浜の方のBATTレトロフィットできるショップでも、
    その当時は取り上げてましたが今は記事ごと削除みたいです。
    南関東でLEAF乗る分にはBATT温調は無くても何とかなるので、
    温調なし簡易版として安く提供してくれれば助かるのですが。

  4. KUMA より:

    いちエンジニアとして、『日本の優秀な技術者は自分がやってきた技術のみ「是」とし・・・』は耳が痛い限りです。
    先日、長岡の山本五十六記念館に行ってきました。そこに展示されていた山本五十六の手記には、かなり早い時期から「飛行機の進歩は目を見張るものがあります」と書かれていました。
    今のSNSのEV否定勢を見ると、大艦巨砲主義を彷彿してしまいます。現在を、タモリさんが「新しい戦前」と表現していましたが、いろいろな意味で戦災とならないよう、努力したいです。

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