不正とされた8項目全て概要が判明。ユーザーは安心してクルマに乗って頂ければ、と思う

新たに「不正」とされた8項目のうち、4項目は状況が判明済み。心配しているユーザーの方は安心して乗って頂ければと思う。残る4項目だけれど、概要分かりました。下のリストから前回の4項目を除く1)3)5)6)についてです。まず1)の「別の試験で使用済みのFrバンパーを使った」件から。『歩行者脚部保護試験』は歩行者の足を想定したダミーを使う。

何カ所かに当てるのだけれど11km/hのため、基本的にバンパー壊れない。そこで1回使用したバンパーは、変形していなければ証明して他の場所にダミーを当てる。不正とされたのはトヨタ側で変形していないことを確認しているものの「変形していない証明を国交省に提出していなかった」。前回の不正項目に含めなかったのは「海外認証分のためリストに挙げなていなかった」。

・不正とされた8件のウチ、4件はコチラ

3)の「規定と異なる積荷ブロックを使った。量産と異なるシートロック機構を使った」は『衝突した時の積み荷で後席にダメージが及ばないか』という試験内容。”規定と異なる積荷”の内容は、同じ重さ&形状ながら承認を得ている”積荷”じゃなかった。シートロックの件は積荷試験用でなく、海外で必要な追突試験対応。したがってシートロックの件と日本仕様は関係ない。

5)の「量産と異なる部品でテスト」は、内装部品で乗員にダメージを与えないかどうかの試験項目での不正。開発時間の関係で衝突時のエアバッグ展開試験を試作パーツのナビパネルを付けて行っている。ナビのパネルのため乗員の保護性能に影響なく、衝突試験もクリア済み。この項目だけ日本で提出された認証項目である。なぜ前回分で漏れたのかは「認識が甘かった」ようだ。

6)はフロントドア内部のブラケット。量産パーツが間に合わず、同じ形状の試作品を使ってポール側面試験を行った。この件のみ少しばかり異質ながら、CADなどを使ったデータを国交省側に提示し「安全上の問題はない」と判断されたという。意外な事に今回国交省側は新たに判明された8項目全て「問題無い」と判定済み。したがって出荷停止などの指示もなし。

複数の関係者に話を聞いてみると、国交省の現場とトヨタの現場は噛み合った話し合いをしているようだ。というか、以前から書いてきている通り、現場は適度の緊張感を持ちながらしっかりやっていると思う。ここにきてトヨタ側は国交省側に「申し訳ない。今後はさらに密な意見交換しながらを認証の手続きをします」と言い、国交省側も「おねがいします」。

だからこそ新たな8項目は出荷停止指示無し。加えて国交省側も「安全性に問題は無い」と言明している。じゃなぜ前回と同じく「新たに悪質な不正が発覚」というリリースになったのかといえば、ここは私も歯切れが悪くなる(笑)。原因を追及して改善する事案と、全く解決しない事案がある。今回は後者かと。国交省もずいぶん叩かれたと聞く。双方、厳しい修行をした。

AIで「トヨタと国交省が前向きの話をしている」と入れたらこんなん出た

何度も書いてきている通り、自動車メーカーと国交省は同じフネに乗っている仲間だ。「国民の安全と国益は両者の共通目的」だと思う。騒ぎになった結果、ADASなど新たな項目が入ってくる前に、様々な意見交換も行われるようになることだろう。改めて書いておくと、ユーザーは安心して乗って頂きたく。2ヶ月ほど続いた不正騒ぎは収束していくだろう。

今回一番前向きに考えたいのは、騒ぎになったものの、お互いの主張をしっかり行ったということである。本来ならメディアが様々な情報や判断材料を伝え、受け手に判断してもらうことだと思う。残念ながら「大本営発表を鵜呑みにするメディア」ばかりになってしまった。猛省すべきはメディアだ。いずれにしろ様々なことが解る良い機会になったと思う。得をするのは国民です。

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3 Responses to “不正とされた8項目全て概要が判明。ユーザーは安心してクルマに乗って頂ければ、と思う”

  1. アミーゴ5号リボーン より:

    詳細なレポート、ありがとうございました。
    m(_ _)m

    トヨタが頭を下げておさめようとしているコトが、よくわかりました。

    それにつけてもですよ、
    トヨタとモリゾウ会長が、ここまで名誉を毀損されるまで踏ん張っても、国沢さんが最初から指摘している認証制度の構造問題まで、メスが届きそうもないのが残念無念。

    今回の騒動を受けて、トヨタが日本向けの車種を絞っても、トヨタに文句は言えません。

  2. ミノルオヤジ より:

     今回の件は、国土交通省の愚かな役人(上のほう)による大局観(国益)無き、権威を振り回し自己利益追求(天下りや自省の存在意義を高める)の為だけの”非国民”的行動だったことが、親方の解説で理解できました。
     いやいやながら、国土交通省と和解させられたトヨタは無念だったでしょう。 
     99パーセント非があるのに、表向き引き分けに持ち込んだ国土交通省役人のずる賢さや、こういった形を取らなけらばならない監督官庁に縛られている企業、そういったあいまいな解決を図りがちな日本人、全くすっきりしませんし、これで日本の未来が大丈夫なのかと心配になります。
     
     

  3. youcat より:

    まぁ確かに、現場の担当者やその責任者レベルくらいまでは割と友好的かつ適度な緊張感を持ったやり取りをしていることでしょう。
    大袈裟な大本営発表、それに乗っかる左派論壇のオールドメディアが今回の騒動を大きくした原因ですかね…。うーん、まぁ確かに「正しい手順じゃない」=「不正」というのは「言葉の意味としては」間違ってはないのですがねぇ…。語弊がね…。フラットな目線、ニュートラルな視点で事実を正確に語弊なく伝えるのがメディアに求められるリテラシーだと思います。

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