中国でPHVが売れ行きを大きく伸ばしている。競争力のあるPHVを持たない日産やホンダにとって厳しい状況に

中国でPHVの売れ行きが大幅に伸びている。もはや純エンジン車はもちろんハイブリッド車のシェアまで奪い取ろうとしているほど。そんな状況を見て「PHVを得意とする日本車にとって大チャンスだ!」と思う人も多いんじゃなかろうか。どっこい! シェアを伸ばしているのは中国勢だったりする。中国勢にPHVを作れるのか、と考える人もいることだろう。これがこれが!

BYDシール

今や中国勢で一番の勢力となったBYDも電気自動車だけでなくPHVもラインアップしている。間もなく日本導入となる『シール』というモデルは当初電気自動車だけだった。しかし電池搭載量を3分1程度にしたPHVを追加。価格は電気自動車より10%近く安い。しかも中国の「新エネルギー車」に含まれるため、都市部での購入制限無し。純エンジン車やハイブリッド車より実質的に安い。

PHVを作る技術は難しいと思っている人もいるだろうけれど、中国勢からすれば全く問題無し。考えて頂きたい。電池とモーター、インバーター、回生制動の技術力は今や中国が強い。シールの電気自動車なんかブレーキ回生で100kWくらい発電してバッテリーに戻している。ARIYAもbZ4Xもそんな大きなエネルギー回生なんか出来ない。電気自動車の電池を3分の1降ろして発電機積む。

発電機の技術もお手の物。モーターと同じ構造ですから。エンジンの熱効率はトヨタや日産に届かないものの、基本的に電気で走っていれば遠出の時くらいしか燃費は気にならない。電気自動車の技術を持っていたら、エンジン駆動の発電機を積めばいいだけだから超簡単だ。メーカーによっては後輪をモーターで。電気なくなったら普通のエンジンで前輪を駆動して走る簡易型PHVも。

ここまで読んで「プラットフォームはどうする?」という専門家もいるだろう。私も気になって中国製のPHVをチェックしたら、驚くべきことに外皮同じでプラットフォームが違う(!)。ホンダのN-ONEが外皮同じで中身を換えた。同じ認識でいいと思う。シールの場合、外皮を共通とし、プラットフォームが電気自動車用とPHV用で違うのだった。日本にはN-ONEを除き無い発想だ。

以前も書いた通り中国は国産品を買う行動が日本のように強くなってきた。BYDに代表される人気ブランドはアフターサービスだって文句無いほど良いという。PHVが人気と聞いて日本勢有利かと思った人からすれば残念ながら、逆に中国勢のシェアを伸ばすことになっていく。むしろ純エンジン車とハイブリッドしかない日本勢にとって最悪の状況と考えるべきだと思います。

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4 Responses to “中国でPHVが売れ行きを大きく伸ばしている。競争力のあるPHVを持たない日産やホンダにとって厳しい状況に”

  1. アミーゴ5号リボーン より:

    ミイラ取りがミイラになる、という諺があります。よくよく考えるとスゴイたとえ。

    ろくな根拠もないままに、EV至上主義を世界世論に仕立て上げた欧州勢が、まさにミイラ取りに感じる今日この頃。

    過剰生産になる中華バッテリーを買い叩こうしていたと思われるけど、ウクライナ侵略と中国発リン酸鉄バッテリー、そして中国車の高性能化で、EV征服のあてがハズレた?

    もっとも内需を持たない日本が、一番ヤバイかもしれませんが。

  2. おーつか より:

    世界初の量産PHVだしたのがBYDですからねぇ(2008年)

  3. syoukwh より:

    安くてスライドドアの PHV が欲しい。

  4. トヨタ車ユーザー より:

    PHVのシールの写真がマークラインズの記事に載っていて、フロントグリルがついていました(笑
    PHEVが売れているのなら、プリウスPHVを持って行くか、bz3をPHEVに仕立ててさっさと売ればいいものを、トヨタですらそう簡単にはできない。そういったところは中国恐るべしですね。
    これで信頼性とかからくるリセールバリューみたいなものがついてくれば、ベンツに勝てるかもしれません。
    シールのデザインは電気自動車としてはおとなしいほうでフロントが長くトランクが短い古典的なもので、ガソリン車のちょっと高いDセグ車ぽいところがあります。ベンツのツルツルとした樹脂にスリーポインテッドスターが埋まっている疑似グリル(変に「電気自動車ってこんなもんだろう~」と言いたげなベンツ)より、カッコいいかもしれません。

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