中国車、世界規模で関税上乗せが始まる。日本はノーハンデで勝負すべき

アメリカ、欧州に続きトルコのような”中進国”でも中国車に対する関税上乗せが始まった。また、タイに代表される新興国の中には、数年以内に自国に工場建設をすることで一時的に輸入関税を低くしているケースもある。いずれにしろ中国車は輸出可能な国がジワジワ少なくなりつつあると考えていいんじゃなかろうか。興味深いのは我が国です。

今のところ中国車に対する関税ゼロ。国の補助金こそ少し減ったものの、他の国と比べたら緩い。そんな状況を見て日本も中国車に対する”防波堤”を作ったらいいという声も出ているけれど、むしろノーガードでいいと考えている。なぜか? いつも書いてきている通り、自動車産業は国の援護など不要。保護された産業って、必ず競争力を失っていく。

幸い日本の自動車市場は中国車に対し心理的なリミッターが強く効いており、多少頑張った価格を付けてきても売れない。このあたり、安ければ買う人もいるアメリカや欧州と全く違う。中国政府としても、文句のつけようがありません。「売れない理由を挙げろ」と言われたら、中国政府が日本人に嫌われることばかりやってるから当然でしょ、と答えるのみ。

素晴らしい文化や歴史を持つ中国ながら(何度行っても美術品や文化遺産など見ると感嘆します)、日本に対する態度はホメられたモンじゃありません。未だに反日教育をやっているので、今後何十年も改善しないだろう。良い意味で考えると中国政府が日本の自動車産業に対し、逆ハンデを付けてくれている。となれば「今のうちに中国車対策を急げ!」だ。

何度も書いている通り現時点で中国車のストロングポイントは200万円以下の電気自動車である。幸い、中国の人は気づいておらず、高い車種から日本導入を始めている。2年くらいの猶予をもらったようなもの。この感に電気軽自動車の量産体制を構築したらいい。200万円の日本製電気軽乗用車と200万円の中国製電気自動車がガチで勝負したら、日本じゃ日本車の勝ちだと思う。

さらに日本で勝てたら海外でも有利な勝負に持ち込める。直近で押し込まれているのタイ市場ながら、おそらくイッキに電気自動車へ行かないと思う。3~4年のタイムラグがあるだろう。この間に日本勢が電気軽自動車を鍛えれば、同じアーキテクチャーを使った新興国モデルも作れると考えます。それには中国という強いライバルが必要。戦いにハンデはいらない。

 

<おすすめ記事>

5 Responses to “中国車、世界規模で関税上乗せが始まる。日本はノーハンデで勝負すべき”

  1. アミーゴ5号リボーン より:

    中国の状況を見て、かつて日米自動車戦争と言われた、米国による日本車への関税や締め出し政策を思い出しました。

    日本メーカーは、国内生産を海外生産に切り替えて、現在の繁栄を築いた。日本は国土も人口も資源も少ない中、逆に弱みを強みに転換して活路を見出したことに、あらためて凄みを感じます。

    一方中国は、国土も人口も資源も日本とは比較にならないくらい潤沢。自国の雇用を生む国内生産と輸出を優先せざるを得ない訳で、自国の雇用を生まない海外生産は、やりにくいはず。

    また中国メーカーが海外生産に取り組むとしても、これまで中国が他国メーカーを誘致する際に強要した折半出資や技術供与等のえげつないやり方が、今度は他国が中国メーカーにやり返すことになるでしょう。

    もっとも欧米が企てたEV戦略自体が、現時点の技術とインフラでは、実用に耐えられないことが世界中にバレた今、HVやPHV需要次第では中国車が引く手あまたになるかもしれません。

    いずれにしても、HVとPHVに強い日本メーカーのチャンスであります!

  2. JUN より:

    国沢さんの仰るように、中国に対しノーハンデを続け、中国国民に対し「欧米は中国車に多額の関税障壁を設けたが、日本は一切関税を掛けていない」と宣伝すべきかと。

    業界は違いますが、某米リテール企業バイヤーに話を聞いた時「数年前から中国産を排除し始め、今では完全に排除している」と言っていました。環境問題&人権問題を重要視する企業の場合、この傾向が強いように感じます。

    日本の周辺国ですが…電気料金が国策で日本の半分以下とも言われる韓国の場合、この半年は中国産テスラにBEV市場を荒らされています。

    https://www.bloter.net/news/articleView.html?idxno=618710
    「今年上半期テスラモデルYの国内販売量は1万41台で現代車アイオニック5(7128台)と起亜EV6(5305台)より多い。モデル3の上半期販売量は7026台だ。今年上半期テスラの全体販売台数は1万7380台で前年同期比179.9%増加したが、現代車の場合54.7%減少した1万6842台を売って対照的な姿を見せた。」

    私見ですが、テスラのブランド力&挑戦的価格設定に加え、韓国市場独自の「BEV火災への不信感」が、LFPバッテリーを採用する中国産テスラ人気の一因かと。
    BEVバス市場では、既に約半数が中国産とか。韓国は、産業構造上中国産BEVに対し関税を設ける事は出来ないので、補助金で多少対応しています。来年から中国BEVの本格的進出が始まるとも言われており、戦々恐々のヒョンデは、必死に愛国心に訴え「世界で認められているヒョンデ」を演出しています。では、長年韓国市場を独占してきたヒョンデは、韓国国民から信頼されているか?となると、微妙なようです。

    BEV人気が伝えられるタイですが、最近BYDが一部車種の大幅値下げを発表し、既存顧客から反感を買っているとか。

    https://www.thaich.net/news/20240704gh.htm
    「BYDが最大で34万バーツの値引きを行う販売プロモーションを発表したことで、既存顧客の間で大きな怒りを引き起こしています。」

    BYDとしては、販売が低迷し始めたモデルのテコ入れと現地生産時の価格へのつなぎとして値下げに踏み切ったのでしょうが、タイ人の車に対する価値観に配慮が欠けていたのかも知れないですね。逆に言えば、一般中国人の車に対する考え方も、日本人がAndroid フォンを購入する時のような使い捨て(?!)感覚なのかも。言い過ぎかな。

    2月に家族とバンコク旅行に行った際には、BYDやテスラ、MG, その他知らない中国ブランドの見た目の良いミニバンBEVなど、多くのBEVが街を当たり前のように走っていました。ただ、レンタカーでBEVを探したのですがBYD atto 位しか無く、違和感も感じていました。取り敢えずEV祭りは終わった、と言った感じかな。

  3. W201 より:

    タイなどの東南アジアに今後行く予定がある人への注意喚起の動画

    国際法を無視したC国の新たな「法律」のため、タイなどで拘束されるリスクが出てきたという指摘あり

    下記YouTube動画の後半30:55~1:03:30のうち、特に43:10~47:58の部分↓

    「極左が牛耳る欧州と世界の混乱 / 中国のやばい法律兵器」

    https://www.youtube.com/watch?v=3QEt9QLH78Q

  4. トヨタ車ユーザー より:

    中国のBEVが乗り込んでくる…セダンのBEVは確かに欲しかったけれどちょっと高い。500万円となるとBEVではないがCセグの魅力的なドイツ車と完全にバッティング。うーん(悩
    BYDはシールやATTO3でそのセグメントのBEVの、ボトム価格を狙ってきましたが、BEV・ガソリン車を問わなければ輸入車の激戦区の価格です。
    古い話ですが、中韓アジアのメーカーを聞くと初めてヒュンダイが日本に来た時を思い出します。何とか1県1か所くらいの専売店ができ三菱のお店でも売っていました。一番安い車にヒュンダイTBがありましたが売れませんでした。ちょっと安いアジアンカーでは国産のスターレットやマーチには勝てませんでした。
    評判の悪い日産ディーラーでもあれだけサクラを売ることができたのだからきっとサクラは魅力的な車なんだと思います(笑 
    そこにシーガルがやってきても…
    ちなみに宏光EVは輸入されませんでした
    初代スマートKはそこそこ売れました。ベンツが軽自動車を作ってもあんな感じだったのです。
    日本の消費者は自動車のいろいろなところを見てから買いますからね…。

    BYDがせっかく拠点まで作っているというのだから、適当な車が無くなりつつあるタクシー会社にSEALを供与してはいかがでしょうか。LPガスのスタンドはなくても大丈夫ですし、耐久性の証明にもなります。やっぱりコンフォート/セドリックのようなセダンのほうがやりやすいというから、いかがなもんでしょう。

  5. JUN より:

    私見ですが…現在のタイで共産中国の影響で逮捕されることは無いとは思います。今年初めだったか、タイの政治家が中国からの観光客の勧誘目的(中国人は金を多く使うとか)で「パタヤに中国の警察官を常駐させて、中国人観光客に安心してもらう」と発言し、当然ながらタイ警察の大反対で取りやめになったことが。
    周辺国ではラオスやカンボジアだと、中国の影響力は強大で可能性は多少はあるかも。

    ちなみに、友人のカナダ人やアメリカ人は、中国渡航も控え始めていますし、中国本土や香港空港のトランジットも避けているかと。結局、中国政府は自分たちで自分たちの首を絞めているんですよね。

コメントを残す

このページの先頭へ