低温時のECOタイヤ
ECOカーアジアで「冷間時のタイヤは転がり抵抗が大きい」と紹介した。この件、私自身、何となく感じていたものの、確証を持てず。ECOタイヤ(というか低燃費を追求したクルマ)を知らない多くの人にとっては「そんなことあるかぃ?」だったと思う。タイヤの構造やメカニズムって案外理解されていないのだろう。
ベストカー次号で「実燃費とかけ離れた日本のモード燃費」の特集をやっているのだけれど、依頼された原稿の中にこの件を紹介したら「間違いでは?」と聞かれたほど。専門誌の編集部員だって知らないことです。ここまで読んで「なぜ冷間時は転がり抵抗が増
えるのか説明して欲しい」と思うんじゃなかろうか。
以下、概要を。言うまでもなくクルマの重量を支えているのは空気の圧力だ。気体なので
260kPa/2,6kgくらいの圧力で車重を支えようとすると、当然ながら”たわむ”。走っている間中、タイヤは接地部分で変形し続けるワケ。このときに発生する熱を可能な限り抑えエネルギーロスを減らしたのがECOタイヤだ。
普通のタイヤの空気圧を上げると転がり抵抗が減るのは、タイヤの変形を抑えられるから。変形量を少なくすれば発熱を抑えられるという寸法。しかし2,6kPaあたりから空気圧を高めても転がり抵抗は減らなくなっていく。高圧にしても”たわむ”からである。そこでECOタイヤは、たわんでも発熱しないうようになってる。
ECOタイヤを単体で見ると、
驚くほどサイドウォールが薄く、柔らかい。空気入ってないと「薄さ勝負のゴムかぃ?」と思う。ラリータイヤなんかスンゴイですから。ロシア製か? 冷間時の話だった。ECOタイヤのゴムと言えども温度下がると硬くなってしまう。ここまで読めば聡明な読者諸兄なら「なるほど!」かと。
”たわむ”時に硬く、抵抗になってしまうのだ。イメージとしちゃ連続して緩い勾配を昇るようなもの。本来の柔らかさになるまで踏んづけてやらなくちゃならない。
当然ながらここで熱(抵抗)を発生する。気温にもよるけれど5kmくらい走ってやれば暖まり、通常のECOタイヤになる、という寸法。以上でございます。
・ECOカーアジアは「マツダCX-5の価格続報」
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……!??。何だか今までの常識が覆された様な話ですが簡単に理解しようとするならば、便宜上「転がり抵抗」と「グリップ力」を分けて考えればいいのですね?(←あんまり自信ありませんが)。言い換えれば冷えてるECOタイヤは図らずも「走りに必要なグリップ力」にはならない「単に邪魔なだけの抵抗」を生じる構造になっちゃってる、て事ですね(←これも自信ありませんが(笑))。
しかし「非クルマ好き&非クルママニア」が大勢を占めると思われるECOカーに装着されているECOタイヤのサイドウォールがそんなに薄くて柔らかいってどうなんでしょう? 今や「重いスペアタイヤなんか必要なし!」がクルマ界のスタンダードになっちゃってますが、サイドウォールの損傷はパンク修理キットでは直せない「致命傷」ですよ!? それってどうなんでしょう…? なんか不安です。究極の理想はタイヤの性能に頼らない「どんなタイヤでも超燃費を叩き出すパワーユニット」なのでしょうが…。
PS:なんでタイヤのパンクについてこんなに語るかといえば…実はまさに今日の午前中、高速走路を走行中に「故障車あり。注意」て電光掲示が出てたので「事故?」とか思いながら走ってると…いましたいました! 今や懐かしいボンゴフレンディが右後輪タイヤをバーストさせて路側帯で救援待ちしてました。それを見た直後にこのコラムだったので、普段以上にタイヤの安全性について敏感になってたのでした。
…ちなみにボンゴフレンディといえばマツダ車。マツダといえば広島ですね…(笑)。
エコカーアジアの「電費低下結論」にもコメントを投稿しましたが、低温時に燃費(電費)が低下するのはタイヤが荷重を受けて変形する際のエネルギー損失(ヒステリシス・ロス)は温度が低いほど増加するので、転がり抵抗が大きくなるためと考えられます。 (損失したエネルギーは熱として発散される)
eco(低燃費)タイヤを作るためには、①ヒステリシス・ロスの少ない(変形→復元時の発熱量の少ない=反発力の高い)ゴム材料の開発とシリカなどのコンパウンド材の配合技術、②トレッド面のゴムを動きにくくするパターン・デザインやサイド・ウォールのたわみを少なくするため充填する空気圧を高める(高圧タイヤ化する)ことが必要です。
一方、ecoタイヤのマイナス面として、
①転がり抵抗を少なくすると、一般的にはグリップが悪く(wet制動距離が長く)なる。 → ecoタイヤのラべリング表示に転がり抵抗係数(RRC)とwetグリップ係数(G)の等級が併記されるのは、このため。
②ゴム質により走行時、タイヤ自体の発熱量が少ないため、冬季・低温時の転がり抵抗増加が一般タイヤより大きい。 → 冬季は燃費(電費)への影響が、特に寒冷地では大になる。
③充填空気圧が高いため、ショック吸収性が落ちる。 → サイド・ウォールを薄く、柔軟にすることにより対処している。
以上は、私が考える一般論であり、実際には各タイヤメーカーの技術者の方が日夜、マイナス面とプラス面の最適バランスを見つけるべく、努力されているものと思います。
主観的な推論も含みますので、誤解や異論がありましたら、ご教授下さい。
いつも興味深い話題を提供頂きありがとうございます。
低温時はタイヤの影響もちろんあるでしょうが、駆動系のオイルやグリスはどうなのでしょう?