動物が限界コーナリングする時は後輪操舵。それに近い挙動といえばニシボリックサスですね
動物の俊敏な動きを見ていると、ハンドル切っているのは前足じゃなく後ろ足だということが解る。ターンのきっかけは前後同時に見えます。右に曲がろうと決めた時点で前足は右に搔き始め、同じタイミングで後ろ足は左側に振り出し、身体全体をバンクさせ、バイクのパワースライドのような姿勢に持ち込む。コーナリング中はずっとフラットトラックレースのバイクと同じ。スキーで言う「ウェーデルン」ですね。最近のバイク、そういう方向。
面白いことに家の中のツルツルな床で限界を試すコーナリングしている動物を見ると、左右のスタンスをワイドに取っている。スリップした時に転ばないようにするためなんだと思う。そして外足荷重だ。これ、スキーのターンとそっくり。重心はキッチリと外足に乗っている。グリップが一定の路面で速度域上がって行くと左右のスタンスはナローになり、2輪車と同じようなライントレースになります。ただ後輪操舵であることに変わりなし。
4輪の挙動を動物に当てはめられるか? 外側2輪の操舵&駆動でいえば、本来ならハンドル切った直後は後輪を逆相にしてテールを少し振った状態にしてやるのがベストだと思う。ここまで読むと「おお! 昔いすゞがやってたニシボリックサスペンションだ!」。その通りでクルマ全体の制御方法としちゃ正しいかもしれません。ただ不安定感が出てしまう。人間、テール滑ると楽しさと不安感が交差する(笑)。積極的なら「楽しい」。消極的だと「怖い」。
ニシボリックサス、気合い入れ&サスペンションに信頼を置けば楽しい乗り味でした。おそらく動物も人間も、スイッチ入った時と平常時の「感性」が大きく異なるんだと思う。平常時は「安定」。そしてスイッチ入ると「不安定を作り出し運動性能を向上させる」ということ。スイッチ入った時の挙動を平常時でも作ってしまうニシボリックサスは、やはり乗用車用としちゃ厳しかったということです。最近の4WSは正しい制御だと考えます。
前後輪の駆動力コントロールはどうか? これまた平常時とスイッチ入った時で違うんだと思う。三菱自動車の4WDは前後輪の駆動力配分を積極的にコントロールしようとしている。おそらく平常時はそうなんだろう。でも先日グラベルで全開して走っていた増岡さんによれば「こんな走りをしようとすれば前後ロックですね~」。おそらく操作に忠実な反応を示してくれることが重要なんだと思う。電子制御すると人間と操作とケンカしちゃう。
電気自動車の時代になると様々なコントロールが出来るようになる。高電圧系を使う大出力モーター使うことでサスペンションのアライメント変換も瞬時に出来る。燃費や騒音を改善するため細めのタイヤを履かせ、直進時は最小限の接地面積&転がり抵抗にしておき、急ブレーキや急転舵、スポーツ走行するときは前後アライメントや操舵量、駆動力など変化させるようなクルマ作りが出来るようになるかもしれません。遠からず新しいアイデアが出てくるだろう。
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FFジェミニ懐かしい!!
イルムシャーターボとか流行ったなぁ。
CMが秀逸でした。
https://youtu.be/5dNmAyVjcM0?si=9jmy6wIi3FsasXEL
サスペンション開発担当の西堀さんの名前を冠してニシボリックサスペンション。
マクファーソンストラットの「マクファーソン」も人名。
成功していたら歴史に名を遺したかも。
当時我が家は父がFRジェミニ~ビッグホーン~2代目ビッグホーンといすゞを乗り継いだので、数回代車で乗ったことがあります。(免許年齢じゃなかったり、取りたて過ぎてハンドル握る機会はなかったですが)
先輩車の飛鳥(アスカ)もそうですが、いすゞのFFセダンってスルメみたいなクルマが多かったなぁと思い返すことがあります。
頭文字Dで主人公・藤原拓海の父、藤原文太がクルマを速く走らせるのには「ドアンダーが正解」とする節があって。
常識的にはニュートラルステア或いは弱アンダーステアがハンドリングの理想とされるのでしょうが、深い意味で考えると、主人公(や伝説の元ラリードライバーの父)のような自在に慣性ドリフトできてしまう能力者には、ドアンダーくらいの安定挙動をベースにしてのアレなんだろうなと。
素人なので正確なことは判りませんが、プロのレーサーが読み込んでも「走行理論的破綻がないマンガ」だそうで。
増岡氏の「ここまでやるなら前後直結」で思い出しました。
西堀さん懐かしいですね。
今はいすゞを辞められていますね。
コンセプトカーヴィークロスの車両設計をされた方でもありましたね。
ニシボリックサスを採用した最後のジェミニをベースに、直噴ガソリンエンジンを組み合わせた4WDに、中村史郎さんがベルギーの欧州スタジオ駐在時にロータスから移籍したサイモンコックス氏のデザインしたエクステリアを組み合わせて1993年の東京モーターショウに出品していましたね。
西堀さんにビークロスの本を製作する際、取材しましたが、ヴィークロスの原点はどこでも走れるスポーツカーでありながら、走る携帯電話というのが裏コンセプトであったようです。
サスペンション自体は、4輪ダブルウィッシュボーンで、ニシボリックサスは採用していませんでしたが、前後のデフを確か下に配置せず、上にして、ドライブシャフトを上にして、最低地上高をかなり稼いだ設定にしていましたね。
なかなか面白いアイデアがあって、取材していて面白かった記憶があります。
ご本人は、市販車に至ったヴィークロスのエクステリアデザインに難色を示したそうですが、モーターショウに出展して反響が大きかったのにはびっくりしたそうです。
当時のニシボリックサスは賛否両論でしたね。
いまでもそれに通ずる(?)リアタイヤのステア技術は残っていますが。限界時のリバースステアみたいな挙動がいいものか、滑らせて曲げる意図があるのかと(理想はグリップで速く)、話題になっていましたし、間違いだらけの~でも議論されていました。
いまのように、工作・製造精度が高ければ、個体差もなく意図したことがわかって評価されたかもしれません。
まあ、動物はつまずいても、おっとっと!で済みますが、車はそうはいきませんので(汗
話は脱線しますが、いつも不思議に思うのは、スバル360のリアタイヤが逆ハの時になっていることです。一人二人乗ると、まっすぐになるんでしたけ。。。
今でもまた乗りたい車ですね。この時代の中でとてつもなく曲がる車とイメージしてます。ただ1.6ターボは直ぐに熱ダレしちゃうのと、シフトがぐにゃぐにゃで。そこを対策すると楽しい車ですね。いすゞの乗用車、国内販売復活してくれればいいのに。
前期型デリカD5乗りですが、三菱お勧めのAUTOよりも、2WDか4WDロックの方が走りやすいとずっと感じていました。
要は操作に忠実に反応するかどうかなんですね。コンピュータが良かれとやってくれることが逆に気に障る場合もある。
電子制御と一心同体の境地に至ればニュータイプのガンダムでしょうが、オールドタイプは息が合わずギクシャクします。