新興国で電気自動車は普及するかと聞かれたら「バイクを除き超難しいでしょうね」と答える
ほとんど報じられていない新興国(タイ)の電気自動車インフラを紹介しましょう。急速充電器は約1000基と案外多く,一方電気自動車の数も現時点で8千台程度で少ないため、利用率はかなり低いようだ。どんなタイプかといえば、最近の主流は欧州規格のコンボ。欧州でよく見られるタイプですね。2024年にはBYDが15万台規模の工場を立ち上げるため、コンボ主体になると思う。
日本勢は日産が2018年からリーフを輸入して販売しているものの(約800万円)街中で見かけることは皆無といってよい。トヨタが60周年記念イベントでハイラックスの電気自動車を登場させたけれど発売の日程などは公表されておらず。テスラは販売しているが、これまた伸び悩んでいるようだ。やはり一般的なタイ人からすればカーボンニュートラルという意識は高くないかもしれません。
200Vの普通充電器も設置されているが、バンコクから100kmくらい離れた場所と言うこともあり写真を見て解る通り1年以上使われた形跡無し。上の急速充電器のカプラーもしばらく使われていないように思う。考えてみたら平均気温高いタイのような国だと電池にとって厳しい。バンコク市内なんか酷暑の上、大渋滞する。加えて年中洪水を起こすため,充電インフラの確保も難しいかと。
急速充電器用の大容量電力を使うためには、キュービクルという電圧変換機器が必要。これが洪水で埋まったらオシャカになってしまう。地下の電線も洪水だと厳しい。ネズミだって多いから、電線は絶えずリスクを抱えてます。じゃタイの人はどうやって電気インフラを作っているかと言えば、洪水に強い空中電線。ごちゃごちゃでどうなっているのか電気会社も解らないらしい。
日本と似たような風景なのだが、電線の数からしてハンパ無し。写真は郊外のため比較的シンプル。面白いのは屋台などここから勝手に電気を引いていること。電力会社は使われ電力の少なからぬ量を無断で使われていると言われてます。実際、空中電線から下に引っ張られているケースを多く見かける。ここからが面白い! もし電気バイクが普及したら電力を盗まれると思う。
電気バイク側からすれば、ガソリンはお金出さないと買えないが電気なら普通にインターセプトできる。これ、タイに限らないと思う。おそらくバイクの電動化はタダのエネルギーで走らせられる可能性あるためイッキに進みそうな気がします。クルマの方は車体価格が高い上、3元系リチウムイオン電池は高温劣化に悩まされると思う。そもそもエンジンの方が便利だし。
日本はカーボンニュートラルを国際公約にしている上、二歩酸化炭素を排出して作った製品を海外輸出する際「二酸化炭素税」を取られる方向になってきた。先進国からすれば電気自動車の普及はマスト。タイのような国だと国際的なプレッシャー無く、遮二無二カーボンニュートラルを目指す必要もなさそう。普及してもしなくていいから、電気自動車に注力していればいいかも。
<おすすめ記事>
時々思うのですが、EVにするかどうかはあくまでCO2削減の方法ですので、EVでもいいし他に効率的にCO2を削減できるならそれでいいと思います。
効率的に…というのは、その地域や国々によって変わります。公害を避けたいという願いは、どの国の人も一緒でしょう。用意できる効率的なエネルギーはいろいろあるので、電気より液体燃料が便利ならHEVという方法が良い、という風に決まっていくと思います。
トヨタは先進国から新興国まで車を輸出していますから、全方位で行くと言っていますし、それは正しいと思います。
逆にEVしか作りません、EVが絶対ですというのは正しいようで、新興国を切り捨てるように聞こえてあまりいい感じはしないです。
中国はEVの保有台数が3割以上と大きいですが、絶対的な台数も多いので7割以下のエンジン車の数も多いです。