日本のエンジン技術、盤石な撤退戦略を立ち上げた?
9月24日に突如「MBD推進センター」という団体が発足した。委員長はマツダのエンジン技術を引っ張ってきた人見さんです。MBDとはモデルベース開発の略で、運営企業を見ると国内自動車メーカーが5社(スバル、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、マツダ)。サプライヤー5社(アイシン、ジヤトコ、デンソー、パナソニック、三菱電機)になっている。
第一報を聞いた時は「オールジャパンで世界と戦っていくためのチームか?」と思ったけれど、委員長が超を5つ付けたいくらいガンコで持論を1mmも曲げない人見さんとなれば、前向きとは思えない。人見さん、何度か紹介した通り「第2次世界大戦の日本の優秀な頭脳はプロペラ機で音速を超えられないという論文ばかり書いてきた」という逸話を現代に蘇らせたような人です。
頭脳明晰。突破力ある。日本を代表するエンジン技術者と言って間違いなし! ただ競技用エンジンに代表される「必ず優劣付く」ような第一線での勝負はした経験を持っていない。マツダのエンジン、技術レベルで見ると素晴らしいけれど、ビジネスという戦いの場じゃついに戦闘力を持てなかった。そしてMBD推進センターの発表記者会見を見たら、最後まで目的が解らず。
いろいろ探ってみると興味深いことが解った。どうやらこの団体の取り扱い技術は、環境関連パワーユニットだとエンジンとミッションになるようだ。というかエンジン以外の話は出てこない。MBD推進センターのホームページのイラストもエンジンしか無い。もしかするとエンジンの撤退戦略を進める団体なのかもしれません。そう理解すると全てのことに納得する。
どのメーカーもエンジンが無くなるということは覚悟したと思う。となればエンジン技術に掛ける開発コストを削減したい。けれどバッサリ切ってしまえば技術レベル低くなる。さらにはエンジンが復活する可能性だってあるだろう。そうなった時の『保険』を掛けておかねばらならぬ。そのために団体を作ろうとするのなら、日本有数のエンジン技術者である人見さんの委員長は適任です。
おそらく新しいことは何も出来ないだろう。ホンダのエンジン技術者が人見さんの指示を聞くなど考えられない。いや、燃費じゃマツダに勝っているトヨタや日産あたりも人見さんの下で新しい技術にチャレンジすることなど想像することすら出来ません。それくらい大切かつプライドのある技術分野なのだった。けれど撤退戦略になれば、全ての技術を解析出来る人見さんは素晴らしいと思う。
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