日本車の牙城危うし

ほぼ市販車状態の現代『ソナタ・ハイブリッド』が2日目に突如展示されてました。いろんな意味で仕上がりの良さに驚く。

●ソナタ・ハイブリッドの詳細は『av ECO&ECO』で。

アメリカもダウンサイジングの波がやってきている。実際、ホンダは初代フィットを開発するにあたり、販売会社であるアメリカホンダに伺いを立てたところ「こんな小さいクルマなんかいらない」と一蹴されたという。だから左ハンドル仕様は開発の初期段階で諦めたそうな。しかしフィットが発売されるや状況は一変。

アメリカのユーザーから「フィットを売ってくれ」という声が出る。開発部門は猛急でアメリカの衝突案件をクリアし、ミッションもCVTから5ATに変えた。発売してみると大ヒット! 今やフィットもアメリカホンダの重要な稼ぎ頭となってます。ちなみにCR-Vも同じ。これまたアメリカのSUVのベストセ
ラーになった。

その後、トヨタもヴィッツをアメリカに輸出したところ、これまた予想以上の売れ行きとなってしまう。といった状況をアメリカのメーカーも虎視眈々と見ていたのだろう。最初に動いたのがフォード。ヨーロッパで開発した『フィエスタ』を発売。1,6リッターエンジンを搭載しているためか動力性能もなかなか。1万3千ドル台からの価格戦略で大ヒットの兆しが出ている。

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ソツなくまとまってます

そしてGMも動いた。韓国の大宇自動車と共同開発し、しかもアメリカの工場で生産するという。アメリカのメーカーは伝統的に「小型車なんか儲からない」と、積極的じゃなかった。日本のPCメーカーが5万円級のPCに参入してこなかったのと同じ。さすがのGMも財政破綻で「強気のままだとアカン!」になったのだろう。デトロイトショーで『ソニック』を発表したのだった。

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なかなかの仕上がりでした

これまでフィットとヴィッツの2人勝ちだったコンパクトカークラスも(日産は一回り大きいティーダを爆安で売っており人気)、強力なライバルと向き合わなければならなくなった。さらに韓国勢あたりが入ってきたら、一段と厳しい戦いになること間違いなし。デトロイトで見ていると、日本車は全カテゴリーで防戦一方というイメージ。

加えて「攻める道具」を持っていない。日産なんかクエストの後継モデルとしてエルグランドの兄弟車をアメリカで売るという。早くも「こんなクルマ売れるか」という声がアチコチから出ている。日産はデトロイトショーを欠席してるので実車を見ていませんけど。日本のメーカーって日本人ジャーナリストの扱いも冷淡。

1990年年代のデトロイトショーは日本人プレス向けの取材時間なども取ってくれたモン
です。いろんな意味で夢や希望が持てなくなりつつある。熱意だけでなく心の余裕も無くなって来ちゃったのか? なぜか幸いプリウスαもシビックの開発担当者も1時間くらい話をする機会が持てたので、キッチリとレポートします。 

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3 Responses to “日本車の牙城危うし”

  1. 小林 英弘 より:

    私が中古トルネオ君の前に乗ってた新車初代フィット君もCVTじゃなくてアメリカ版の5ATが良かった! 信号待ちからのゼロスタート時のモタツキはどんなにチューニングしても(ハイカム入れてプーリー替えて給排気系総取替えして減車合わせで燃調取って…)どうしようもありませんでした…って半ば諦めててたら新型フィットは何と基本CVTなのにゼロスタート用にトルコンATを載せてる!? で試乗してみるとまるで別のクルマ(笑)。思わず「インチキ!」と言ってしまいましたがいいんです、今は青ヘッドDOHC-VTECのトルネオ君が戦闘機の様な加速をしてくれますから。でも公道ではスピードは控え目にしましょう、免停になりますので(笑)。…GMのソニックってカッコイイですね。右ハンドル仕様なら欲しいですね。何で外車メーカーは左ハンドル車を日本で売るんでしょうか? 昔から疑問に思ってます。

  2. 真鍋清 より:

    小生自身は勿論の事、その周辺でも「アメリカ車」といえばそれ自体一種禁句といおうか「不可侵領域」のように見る節があり、「外車」と聞いて真っ先に「メルセデス/BMW/アウディ/ポルシェにVW」或いは「プジョー/シトロエン/ボルボ/マセラティ」の欧州勢が出て初めて正常な感性を持っているのでありその点「GM/フォード/クライスラー」そして「シボレー/ダッジ/リンカーン」如きの「世界の中心にあるとは言い難い国」の記号ばかりが浮かぶ人間を「おつむの軽い、知性に問題がある人間」として白眼視をしてきた節が正直言ってありました。どうです、十分にへそ曲がりでしょう?笑いたきゃ笑いなさい(苦笑)。
    かくも「国際競争の最前線から外れた地域」だったアメリカ車が、しかしながらリーマンショック由来の経営危機以後恐ろしい牙を剥きつつあるのは我々としても大真面目に警戒せざるを得まい。曰く418psの5.0L/V8にして0-400m=11.84sec!!!!(日産GT-Rも真っ青!)の空前絶後の怪力と10.6km/l(BMW335iや日産フーガ3.7並み)の平均燃費を両立させたフォードマスタングGT、同じくマスタングの3.7に至っては309psをレギュラーガスで発揮の上平均13.6km/l、ベスト値はヴィッツ/フィットもご用心の20.56km/lの驚異的燃費―どう見てもオーバー300psマシンの数値ではありませんね。
    この他ニュル最速セダンベスト5に入る新生GMのキャデラックCTS-V(564ps)並びにシャーシーレイアウトを共有するキャデラックCTS3.6/3.0、こちらもメルセデスやBMWに対するシリアスなライバルの出現を示唆する「警鐘」たりうる存在に相違ありません。
    彼らビッグ3は以上の通り、中大型車分野では見る見る持てる力を発揮していることが伺える一方で、シボレー・ボルトやテスラ(こちらはやがてパナソニック/三洋系の18650リチウムイオン電池の採用が濃厚で、今後が恐ろしい!)に代表される電気自動車の開発、ついには「(利益率が少ないと)あれほど継子扱いをして嫌がっていた」小型車部門にもフォードはフィエスタ(欧州フォードとの共同開発だが)、GMは大宇とオペルのノウハウを駆使してシボレー・ソニックというミサイルを投入し、我が国のヴィッツ/フィット/ヴァーサ(日産ティーダ)/デミオ連合軍を撃破すべく攻勢に出たあたり、今や日本車の本当の敵はドイツ車ではなく「アメリカ車」と「韓国車」という時代に入ったのだ、いやはや恐ろしい!
    これら両国の業界はダンパーであれ何であれ「良いものは世界から盛んに使う」そして「自国製パーツ/コンポーネンツ開発の良き参考にしよう」という謙虚な姿勢が見えて我が国のように驕り高ぶった部分がないだけでも大きく違うのではないでしょうか。そして綿密なコスト管理・生産性のバランスでヴァリューフォアマネー度では世界有数の存在となっている辺り、日本の二十年あまり前と同じ道程を辿っているといえばそれまでですが、彼らは自分の業界ひいては国家を正面きって考え、綿密に策を練ろうとしている、ところが我が国は政界に見られるように内輪もめの派閥争いにうつつを抜かし、世界的規模で見た自らの立脚点についてどうも理性的に見つめていない節がある気がしてなりません。
    そうした中でもホンダのフィットハイブリッド、トヨタの新型ヤリス(日本で言うヴィッツ)とその姉妹車としての新ハイブリッド車の開発など、一時期ガラパゴス化の閉塞状態だった我が国もようやく落ち着きを取り戻しつつあり、本来の力を発揮しつつあることは伺える一方で何事も「確たるビジョン」で「的確なタイミング」を逃さないことは非常に大切なのではないでしょうか。
    日産のエルグランド・ベースのミニバン「クエスト」も北米にあっては「遅れて出てきた青年」ともいうべき「今さら」感が否めませんし、リーフにしても充電インフラの整備や航続距離の改良など今から行うべきことはたくさんあるのではないでしょうか。
    と何かと一筋縄では行かないこの国とその業界ですが、国沢さんも記事に書かれているように当初「初代フィットに全く興味を示さなかった」北米市場が今やSUVやミニバン等からのダウンサイザーを取り入れつつおびただしい量のフィットを買い、需要に生産が追いつかないとの説すらあるという現実、感銘させられるのと同時に確かな目を持っている証左ではないでしょうか。

  3. さね より:

    余裕ないんでしょう悲しいけど。コストダウンと電気関係に日々追われてるうちに気がつけばまわりも追いついちゃいそうだし、まだまだ主流になる内燃機関や、シャシー、サスペンション、トランスミッション安全性や品質などの基本が遅れてきたことに危機感があるんでしょう。でも危機感が本当にあればいいけど、ただ単に情熱ないのかも。だとしたら悲しいですね。

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