欧州委員会、二酸化他炭素削減に向け着実に進む。自動車はEV。船舶と航空機は代替燃料ですね

日本にいると「カーボンニュートラルへの動きは鈍くなってきた」的な報道に多く接する。特に自動車は「ざまみろ。ハイブリッドの勝ちだ!」みたいな状況。実際、欧州の自動車メーカーを見ると電気自動車に見切りを付け、ハイブリッド車に注力し始めた。石油大好きなトランプ大統領の就任も「電気自動車は遠ざかった」というイメージ加速させている?

そんな中、欧州委員会がカーボンニュートラルに向けた1兆円規模の予算を決めた。欧州委員会は24カ国から構成されており、予算も分担。欧州の流れを決めるというイメージ。各国独自の予算はここに含まれない。内容を見ると興味深い。乗用車やトラックについちゃ電動化。船舶や航空機は代替燃料である。欧州、カーボンニュートラル戦略の方向性が定まってきている。

ちなみに日本にいると自動車関連の話が多くなるものの、欧州委員会の中で自動車メーカーを持っているのはドイツ/フランス/イタリアの3カ国のみ。その他の国の場合、欧州以外のメーカーであっても工場を建ててくれて雇用が生まれればなんら問題なし。すでに中国の自動車メーカーが続々と工場進出を計画している。中国や韓国の電池メーカーも工場建設を始めている。

欧州委員会の話だった。今回決めた予算を見ると、日本だと未だ普及が進まない150kW級の急速充電器(日本は50kWが主役)を1000基。日本じゃ間もなく実用化という段階の350kW級を2000基! 350kWを使えば10分で35kW(200km走れる)の充電が可能。さらに大型トラック向けの1000kW級を500基以上導入する。1000kW級を使えば5時間分走れる電力を30分で入れられる。

トラックの場合、日本では4時間毎に30分の休息が義務づけられている。急速充電で5時間分(450km)走れるなら電気トラックだって運用可能ということになります。その他、高速道路を中心に38カ所の水素ステーションを展開する。急速充電器と水素ステーションのバランスなど考えると、とりあえず欧州はトラックの電動化を進めていくことが予想出来る。乗用車どうなる?

前述の通り今回は欧州全体の方針(主として物流)ということから、トラックがメイン。EV化は乗用車よりトラックの方がハードル高い。そいつを推進している。乗用車についての欧州委員会の姿勢は揺らいでいない。ドイツとフランス、イタリアがなんと言っても、中国の自動車メーカーであっても欧州に工場を作ってくれれば、2050年のカーボンニュートラルに向かおうとしている。

今回の欧州委員会の予算で興味深かったのは船舶。メタノールに代表される代替液体燃料の使用を肯定する方向になってきた。ただ停泊中はエンジンを止め、陸からの電力供給装置を作るなど可能な限り二酸化炭素の排出量を減らそうとしている。航空機と船舶に限り液体の代替燃料を認める方向だと思う。代替燃料もメタノールなどすでに生産コストが低いバイオ系になる?

トヨタを見ると流れを読んでいるように見えます。EVの普及タイミングに2~5年の幅を想定した上、工場もプラットホームも電池もレアメタルも準備を進めている。トヨタの社是は「顧客第一主義」。EV化に出遅れたんじゃなく、EVを必要とする顧客がいないと判断したからだ。トヨタ以外のメーカーを見ても、欧米勢と違いEVの準備を着々と進めている。

遠からず日本政府も抜本的な二酸化炭素削減策に向け動かざるを得なくなるだろう。

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