福岡で発生した女児2人死亡の事故、ワゴンRスマイルの後席シートベルトはコスト重視のELRだった

追記・警察がNHKの取材にこたえ死因は腹部に強い衝撃を受けたことによるものだという。腰骨でなくお腹がELRタイプのベルトと衝突したということ。大人にも言える事ながら、柔らかい腹部に腰ベルトが掛かっていたら厳しい。ただ子供にキチンと座らせるのはある程度の教育を必要とする。警察はこういった事故を受け、シートベルトの着装だけでなく着装の仕方も啓蒙したらいい。

福岡県で発生した路線バスと車線をはみ出したワゴンRスマイルが正面衝突し、運転していた母親は左足の腱を切るという命には関わらない怪我。7歳と5歳の女児が亡くなるという痛ましい事故になった。この事故、見解を書いて欲しいという意見多かったので、中身のない警察発表と報道だけしか情報ないものの、これまでのバックボーンなど含めて解説したいと思う。

事故そのものの原因は明らかに母親の運転ミスである(動画からすれば昼間なので居眠りというかスマホ注視に代表される脇見の可能性が最も高い)。警察の仕事は悪い奴を特定して検察に送るだけ。女児が死亡したのはチャイルドシート未使用だったためということになるんだろう。7歳の女児はチャイルドシートの使用は義務づけられていなものの、このあたりは触れないようだ。

死因は失血だという。車両の壊れ具合から考えると、運転性の母親はクルマの衝突安全性ギリギリだったと思う。リアキャビンの変形無し。シートベルトをしていたということなので、シートベルトで腹部を強打か頸動脈を切ってしまったということだと推察される。というか、それ意外は考えにくい。5歳の女児は座高からすると、ちょうどシートベルトが腹や首の位置になるため危険。

ワゴンRスマイルのシートベルト

7歳の女児も結果的に危険な位置にシートベルトが当たったということだと思う。ということでワゴンRスマイルのリアシートベルトを見ると、コスト最優先のELRタイプ。衝撃受けたら数cm伸びてガツンとロックされる。運転席と助手席のシートベルトを見たら、プリテンショナーと可変フォースリミッター付き。車体に衝撃を受けたら緩みを巻き取り、さらに体重掛かったら少し緩める。

逆に考えると、こういった安全対応ベルトを付けなければ衝突基準をクリア出来ないと言う事になる。リアシートと言えば国交省の認証基準ではELRだけで問題なし。とはいえN-BOXのリアシートをチェックしてみると、リアシートにも衝突と同時に炸薬でシートベルトの緩みを瞬時に取るプリテンショナーが付く。つまり子供には車体の潰れ代を減じたピークの低いGが掛かると言う事。

一方、ELRだと子供がシートベルトに当たるのは、車両が潰れてからになる。衝突した速度のままシートベルトに腹部や頸動脈がぶつかるということ。これ、決定的に違うからスズキも衝突基準のある運転席+助手席に採用している。つまり母親は安全性を担保したシートベルト。女児2名といえば、付いていればOKというコスト重視のタイプだった。このあたり、警察は全く考慮しない。

でも自動車関係者なら、子供用のシートを使っていなかった5歳児はドライバーに瑕疵あるとしても、7歳児は救えなかったことについて考えなくてはならないと思う。自動車メーカーは販売する際、顧客に対しリアシートの安全性は前堰より劣る事を説明し、私らメディアは試乗レポートや車種紹介する時に明記すべきだと考えます。5歳児は当該車両でも子供用シートあれば命を救えただろう。

タクシーなどやむを得ず子供用シートがない時は、写真のように肩ベルトを背中に回して着装させて頂きたく。リアシートで子供の体重であれば腰ベルトだけでも前のシートに接触しない。その場合、腰骨で支える位置で。航空機のベルトよりずっと安全性を担保出来る。子供用シートの使用義務のない年齢であっても、肩ベルトが首の位置にきている場合は対策を考えて欲しい。

<おすすめ記事>

12 Responses to “福岡で発生した女児2人死亡の事故、ワゴンRスマイルの後席シートベルトはコスト重視のELRだった”

  1. ol より:

    FNNプライムオンラインのニュースでは、腹部出血がひどいとなっていたので、腹部帯の締め付けによる内臓出血かと思ったのですが、外部出血するものなのでしょうか?

  2. むつみ より:

    座高がまだまだ小さい子供の場合、スマートキッズベルトというものの安全性はいかがでしょうか。
    レンタカーやタクシーなどでは重宝していますし、理屈上は効果があるのは納得していますが、この事故をみて気になってきました。
    あまり取り上げられない商品なのでご意見を伺いたいです。

  3. まどか より:

    小さなお子さんが亡くなると言う痛ましい事故でしたね。私の地元では車外にお子さんが放り出されて車に轢かれた事故が高速道路で起こりました。慣性が働く以上、完全に無傷とはいかないのが事故ですね。とにかく自己防衛として安全運転に努めたいと思います。

  4. 還暦オヤジ より:

    今回の事件の件、スズキの車の問題と言うかスズキという会社の体質の問題なのでしょうか。
    しかし評論家の試乗記事やYouTubeを見ると殆ど全てと言って良いほど、走りや内装の見た目に関してばかりで安全性に関しての内容は見たことが無いですね。
    そちらに関して知識が無いのか、興味が無いのか、両方なのでしょうが。海外のAUTO CARなどの記事でも見たことはありませんから、古今東西そうなのでしょうかね。

  5. tanakahiroshi より:

    ニュースでは腹部の出血と伝えていますね、
    ELRだと腹部も危険?命救えないですね。。。

  6. やっぴぃ より:

    腰ベルトは骨盤を固定するもので、お腹に巻くものではありません。
    とくに子供の場合、ベルトで固定する位置をしっかり確認する必要があります。
    教習項目にも入れるべきです。

  7. トヨタ車ユーザー より:

    凶器となってしまう安価なシートベルト。かといって、しないでいれば車外放出でこれまた命があぶない。
    「軽」自動車=普通乗用車の代用なのだから…という考えもありますが、シートベルトくらいは普通車並みであってほしいでしょう。リア席のパワーウインドウやスライドドアの電動モータよりお金をかける意味があると思うんですけど。スズキがそのへんを考えを改めてくるのか、ホンダにはできていることです。

    それとも、もっと安いプリテンショナ・フォースリミッター機構を考えないといけないのかも。火薬を使うとか一回ポッキリとかコストパフォーマンスも悪い。
    または、軽ミニバンのリア席は大人に合わせたシートベルトをオプション、子供にぴったり合わせたものを標準にするとか考えたほうがいいと思います。

    ただ、今回の事故、軽の相手がバスで無かったら助かったのかなという気がします。車高の高いバスが、軽の低いバンパー裏のフレーム(エンジンを載せて衝撃吸収もする役)を空振りして、エンジンにぶつかり室内に押し込むようになっています。Aピラーの付け根が踏ん張ってお母さんは足のケガでとどまりましたが(それでも重傷)、衝撃を「吸収」された部分が見当たりません。本当にガワだけのボンネットやフェンダーの取り付け(細いステーで貼ってるだけ)、低い位置にある鋼材など少し見直すべきだと思います。

  8. たーすけ より:

    同じ7歳の子供を持つ親として気になったので簡単ですが調べてみました。

    もちろん、ジュニアシートしてます。

    どのメーカーも5人乗りの車は
    高級車や高額車であってもリアシートの真ん中だけは技術的なものなのかわかりませんがELRだったこと。軽自動車であれば生産元のダイハツ、スズキはELR。三菱、ホンダは安全重視だった。

    おもしろいのが
    ダイハツのロッキーは後席中央のみELR。同じ5人乗りのトールは後席すべてELR。

    各社ミニバン、2列目以降はいろいろあるので購入時には確認てください。

    正直、私もですか
    購入時にシートベルトのことあまり気にする人はいなかったんだろうなぁと思います。

  9. しんぶんし より:

    無知は人をも殺す

  10. マツモト より:

    今はスズキのエブリイJOINターボに家族4人で乗っているけど次はBEVにしたいのでホンダのN-VAN e:に後席ヘッドレストがついてほしいな。後席シートベルトは3点式なのかな?

  11. 暇人 より:

    後席シートベルトにプリテンショナー、フォースリミッターの設定がない軽ハイトワゴン → ワゴンR/スペーシア(スズキ)、タント/ムーヴ(ダイハツ)等。

    グレードにより設定がある軽ハイトワゴン → N-BOX(ホンダ)、ルークス(日産)等。

  12. コネカ より:

    車の評価、シートベルトの評価は分かりました。この事故で一番重要なのは、チャイルドシートやジュニアシートを使ってない事です。自動車メディアはチャイルドシート、ジュニアシートの使用の啓発活動をなぜやらない、広告収入がないと出来ないのか?情けない。

コメントを残す

このページの先頭へ