過剰
ケーブルTVを見ていたらブガッティ・ベイロンを徹底的に掘り下げた番組をやっていた。基本的なことは知っていたつもりだけれど、ラジエター類の数に驚く。1000馬力エンジンの冷却を行おうとすると、大小取り混ぜて10個以上のラジエターが必要らしい。プリウスなんて小さいラジエターすら暖まらないのに。
400km/hという最高速で走った時の燃費は0,8km/Lで、100Lタンクが12分でカラになってしまうという。つまり80kmしか走れないワケ。一昔前なら素直に「凄いなぁ〜」とか「カッコいいなぁ〜」となったかもしれない。でもTV見ながらハッキリ認識しましたね。高性能車って今や「キワモノ」でございます。
ランボルギーニが新型車に搭載する新しい12気筒を発表した。6,5リッターで700馬力。最高速350km/hの0〜100km/hが2,9秒。おそらく多くのクルマ好きが「興味あまりなし」かと。一度くらい乗ってみたいな、と思うだろうけれど、乗っている人を見て「うらやましいな」という感覚は持たないハズ。
「3年目にして本物になった」と言ってる日産GT-Rの0〜100km/h加速は3秒で、最高速も310km/hに届くそうな。このくらいならうらやましさを感じるだろうか? ベイロンやGT-Rの高い性能をフルに活かせる場所が舞台があれば、おそらく憧れの対象になるだろう。でもそんな状況はない。
フネと付き合うようになって目からウロコの連続である。全長8m(26フィート。大雑把に言って1000万円)のフネがに乗っているとしよう。その上の9m級を買おうとすると、イッキに倍の2000万円になってしまう。でもフネに乗っている人なら、100人のウチ100人が無理してでも9mのフネに乗り換えたいと考える。
なぜか? たった1mの差ながら、荒れた海での性能が全く違うからだ。「厳しい」とか「揺れが違う」程度の差じゃなく、天候急変時なら生きて帰れるかどうかの違いになってしまう。そもそも行動半径からして2倍になる。8m級だと東京から名古屋までは行く気にならない。でも9m級なら「試してみようか」。
フネの場合、12mくらいまでドンドン性能は上がっていく。12m級のフネなら東京から沖縄に行くことだって冒険じゃない。それ以上のサイズになるとコストパフォーマンス的に成り立たなくなり(12m級で1億円くらいする)、熱烈なフネ好きでも24m級とか30m級の情報など見ないし、興味も持たないということ。
クルマならどうだろう。300km/hどころか250km/hも不要。個人的には180km/hで十分過ぎると考える(加速は良い方が好ましい)。大きさもプリウスサイズで何ら不満無し。私の数少ない自慢は「日本人のど真ん中の思考である!」というもの。多くの人が同じことを感じているんじゃなかろうか。
おそらく日本に於ける乗用車は、当分の間、上限が300万円。180km/hというコストパフォーマンスに
なると予想しておく。中心価格帯は200万円。スポーツモデルも実用性を兼ね備えた200万円級でワクワク出来ればマーケットあると考えます。ベイロンは
欲しくないし興味もないです。
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トップギアでも400キロ出せる道がないから、フォルクスワーゲンのテストコースで最高速度だしてました。
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ヴェイロンのようなクルマにあこがれるのは、蒸気機関車がイイ!と言うのと似ていますね。時代遅れで、煙を吐いて環境に良くないけれど、あの力強い車輪が、いかつい胴体がと言う感じ。そういう存在でヴェイロンがあるのは別に良いと思います。
一方、私たちの身近にはより性能が良く環境に良い道具が出てきます。汽車がなくなって電車になったのと同じように、不効率なガソリン車はHEVやEVに置き換えられていきます。
少し、残念な気はしますが、ランボルギーニやGT-Rはその最後の種となりそうです。
記念碑的にあるなら、まあ良いのではないでしょうか。そのかわりナンバーは付けないでおき、乗るときだけガソリンを入れてサーキットまでキャリアで載せてって・・・。
僕も興味ないです買えないし。でも世の中には金持ちで物好きな人もいるし、そこまでの性能もジョークだろうから、そうゆう車はあってほしいです。性能とインダストリアルデザインの芸術的な作品で、無駄を極めてる素晴らしい存在だと思います。
電気自動車に進化してもあってほしいです性能フルにだしたら3分しか走らないとか。 無駄って素晴らしいです。日本車も先生のゆう流れになったら、なりかけだけど本当に家電製品になってゆくような気がします。過剰な無駄を真剣に造る欧米車が日本車と違う一つの要素なんですね。 ちなみに日産GT-Rは無駄がなさすぎかな。速さで勝つのみ!ライバルより安く高性能…やっぱり普通の日本車かも
時間をお金で買える環境であれば良いのにね、車にも。
無駄の美学、爛熟の芸術…..ブガッティなりロールス/ベントレーを語るフレーズはこれを置いてない。
ただ一方で、500-1000psという天文学的パワーを持つ彼らはどう見ても我々の(特に日本の国情)実生活に必要な存在でないのも明白だ。もっとハードルを下げて、V8/V12搭載の各種メルセデスやBMW、フェラーリにポルシェにもそれは言えるのだ。
見て楽しむ、夢を売る存在として、技術的アドバルーンとして彼らブガッティ以下日産GT-Rの存在意義はあろう。
逆に言えばクルマとの付き合いが多ければ多いほど、自分にとって等身大の「使い切れて身体と一体で楽しめる」性能レベルが自ずから解ってくるのも厳然たる事実だ。現に小生にとっては「87ps/11.8kgmの小パワー」を身体と五感を働かせてフルに操るスポーツという点でヴィッツ1300U-Lの方が、併用しているレクサスIS350よりも何十倍も楽しめていることを強くお伝えしたい。
それ故、前記V8-V12の上級メルセデスやBMW、ジャガー等と比べてフランスのシトロエンC6やC5、プジョー607の3.0/2.7Lのディーゼルターボ、ルノーラグナクーペの3.5L/V6(※日産製エンジン)の方がはるかに超越したインテリジェンスが感じられてしまうのだ。
そもそも彼らフランス製高級車は昔から(税制や国民性の関係で)ドイツ車ではほんの「中級車」にしかならない2.6-3Lといった排気量でどれだけの熱効率や感性品質を実現するかの世界に類を見ないコンペの具現化であり、そうした知性がドイツ車に対するアンチテーゼとして粋人に支持されてきたのは否めなかろう。いわく古くはシトロエンDS〜CX、プジョー604、1980-90年代のルノー25や同サフラン、プジョー605にシトロエンXM等々、既成の常識を打破する説得力ある強さがそれぞれに感じられ、個人的にノックアウトされてきたのも事実だ。
実際、シトロエンC6/C5シリーズなどたった3.0LのV6、200ps少々のパワー(ガソリン版で215ps、最新のディーゼルでも240psに過ぎない)で1.7-1.8t(ジャガーXJ
5.0に匹敵)の自重を欧州のアウトバーンで延々と時速250-260km/h域(公表値はガソリン・ディーゼルとも230km/h内外)を保って延々と巡航したという報告までが聞かれるほどで、低速のスタートダッシュこそ緩慢な一方で総合的な(馬力あたりの)熱効率は世界有数の物であることが証明付けられているのは見逃せまい。
「クルマはどこまで良くなればいいか」、この永遠の課題に対してフランス車は「過剰の対極」に見事な回答を見せていよう。