4WDでも後輪へ駆動力を伝えないことがあるので御注意を!
私のサポーターの皆さんは相当のクルマ通で、掲示板に出てくる疑問や質問を見て「なるほど」と思うケースが多い。そんな中「ビスカスカップ式4WDの軽自動車に乗っているのだけれど、登り坂でスリップした際、後輪を駆動している気配がありません。スリップするとトラクションコントロール稼働し、パワーを抑えるからだと思います。そんな時はトラコンをカットすべきでか?」。
ビスカスカップ式4WDの場合、前輪と後輪の回転数差で駆動力の伝達量が変わる。すなわち、1番伝達量大きいのは前輪激しく空転している状況。逆に回転数差無いと伝達出来ない。トラコン(横滑り防止)を「ON」している状況だと、前輪の片側滑った時点で、滑った車軸にブレーキ制御入れる。すると反対輪に駆動力伝わって反対軸がスリップ。その時点でブレーキ制御、の繰り返しになる。
つまり前輪左右が交互にスリップしているだけで、前輪と後輪の回転差は”ほぼ”無し。結果的に後輪に駆動力を伝えることが出来ない事態になってしまう。もちろん自動車メーカーはこの状況をキッチリ認識しており、そのため「トラコンオフ」のスイッチを付けている。多くの人は「なんで付いてるんだろう?」と思うだろうけれど、基本的に雪道のスタート用なのだった。
具体的な使い方を。まず登り坂や深雪、段差などで発進時にスリップしたとしよう。その時点でトラコンをオフにする。この状態だと前輪の片側が滑ってもパワー落とす制御はしなくなるため、前輪と後輪の回転差が明確に出る。するとビスカス効果で後輪にも駆動力伝わるのだった。車速50km/h程度になると自動的にトラコン機能はオンになり、安全性は担保されるのでご安心を。
電子制御4WDでもダメなシステムはビスカスと同じように後輪へ駆動力を伝えられなくなってしまう。これまた対応方法は同じ。トラコンオフである。4WDでずるっと滑って動かなくなったら、まずトラコンオフにしていただきたい。優れた4WDを持つスバルや最新型マツダの4WDシステムでも、最悪の状況になったらトラコンオフを試してみてください。イケることが多いです。
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