VW、BMW、メルセデス、中国の売れ行き不振とアメリカのEV戦略失敗で日本勢以上のダメージか?

中国で販売台数を落としているのは日本勢だけじゃない。ジャーマン3と呼ばれるVWグループとBMW、メルセデスも厳しい。いや、VWなどは中国を失ったらガタガタになる--ということからVWは中国向けにリーズナブルな電気自動車を投入。エンジン車についちゃ驚くほどの値引き&値下げを行うなど、なりふり構わない販売促進策を導入している。

ID.7の中国価格450万円は欧州価格の半額!

賢明の努力が功を奏し、今年前半は台数をキープ出来ていた。しかしEUが中国車に対する割り増し関税を発表した途端、中国人は欧州車を厳しい目で見るようになる。中国に於ける6月の販売台数は、2023年6月に対し-20%と激減。電気自動車の投入が遅れている日本勢は-25%。EUよりさらに中国車追い出し戦略を始めている米国勢も-40%といった具合。

今年1月から6月の台数を2023年の同じ期間と比べた時の台数も、独-7%。日-15%。米-22%となっている。中国民族系メーカーを含めた販売シェアは2001年を見るとVWだけで51%という途方も無い数字だったけれど、今年1月~6月は欧州勢全て合わせて16%になってしまった。これから回復できる見込みは皆無と言っていいだろう。5年後は撤退を余儀なくされる?

また、メルセデスやBMW、ポルシェといったプレミアムブランドも中国は大のお得意さんだったものの、景気の悪化で台数を落とし始めている。加えてドイツ勢の高価格帯電気自動車は性能で中国勢に負け始めた。タイカンより速い中国車も珍しくない。中国の景気低迷の中、価格3分の1となれば売れ行きだって落ちていく。ドイツ勢、頼るのはアメリカ市場か?

911に代表されるエンジンで走るスポーツモデルは高くても売れる。でも生産キャパシティ小さく作れないのだった。これからライン増やしたトコロで、アメリカ市場の先行きは読みにくい。そして電気自動車が売れていない。実際、タイカンに乗っても「電気自動車ですね」。ヒョンデのアイオニック5Nのような面白さ無し。コストパーフォマンス、極めて悪い。

アタマの悪いお金持ちだって気づくと思う。折しもイタリアの公取委によれば45万円で販売しているディオールのバッグの製造原価が9200円だったと訴えられた。もちろん皆さんアタマの片隅じゃ解っていたことながら、こういった情報出てくると少しばかりアホらしくなる。なにより9200円のバッグに45万円出すのって、人間としてカッコ悪いです。

そうそう。現時点でEUは中国メーカーのEU域内工場進出に反対していない。EU域内の雇用が期待できるからだ。となるとトロイの木馬です。EU市場は安価な中国勢に席巻され、雇用は生じるけれど欧州系の自動車メーカーは左前になってしまう。EUは困るかと言えば、自動車メーカーで潤っているの、ドイツとイタリアだけ。この2ヵ国。EUでの発言力は高くない。

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2 Responses to “VW、BMW、メルセデス、中国の売れ行き不振とアメリカのEV戦略失敗で日本勢以上のダメージか?”

  1. トヨタ車ユーザー より:

    タイカンにN5のような面白さ無し、シャオミより遅いということからすれば、プレミアムメーカーは胡坐をかいていたことを見透かされてしまったんだと思います。

    あるいは中国人は日米のようにプレミアムだから…というより愛国心があって合理的に判断する人々だったということでしょうか。

    逆に合理的に車を作っているはずのドイツが何でそんなに中国に依存したのか(ロシアからの石油に依存していたことも)と思ってしまいます。

    それにしても、中国車が絶対嫌なアメリカ(メキシコルートはある)、工場作ってくれればの欧州、なぜか中国車を買わない日本人、日本は何の規制もないのに一番分厚い障壁があって面白く思います。ATTO3もSEALも内装をもっと日本車っぽくしてくれればいいのに・・・。うねうねしたインパネだけ何だか「中国」なんですよね。

  2. 猫まんま より:

    兵器を使わない経済戦争状態になってるんだから当然で中国VS自由主義諸国の戦いかと。この先もっと激しくなってくると思いますよ。ドイツ御三家は今までぬるまゆに浸かった状態で気が抜けてるんでしょうね。経済戦争状態なんだからこれからは中国も自由主義諸国の完全な締め出しを図ると思います。そうなればドイツ御三家は生き残れるんでしょうか?
    世界的に見ても自由貿易に近いのは日本ぐらいのものでどの国でも自国の産業保護でえげつないことは平気でやってます。ある意味日本はそれでも経済が回るようになってるから凄いのかもしれません。

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