VWがドイツ国内の工場を閉める=日本の方が厳しいし、全部無くすワケじゃないのになぜ騒ぐ?

VWがドイツ国内の工場を閉めるとニュースになっている。報道を見てるとドイツの工場を全て無くすと受け止められるけれど、そんなことありません。ドイツ国内には大きな工場だけでも本社に隣接する『ウォルフスブルグ工場』。そして電気自動車を作っている『エムデン工場』。同じく電気自動車の主力工場という位置づけとなる『ツヴィッカウ工場』と三つある。三つとも閉める?

VWの象徴でもあるウォルフスブルグ工場

本社工場を閉めるなんて話は全く出ていない。というか考えられないです。トヨタで言えば本拠地の元町工場を閉めるようなもの。一方、主に電気自動車を生産するツヴィッカウ工場とエムデン工場は稼働率が上がらず苦労している。加えてVWも海外に工場をたくさん持っており、そちらを減らすことは難しい--という問題は日本だって抱えてる。ドイツ以上に工場を閉めてます。

日産で見れば30年前の1984年は250万台近く国内工場で生産していたが(日本で生産し海外に輸出)、積極的な海外工場進出戦略を取った1994年までの10年で150万台まで落とし、さらに2023年度は72万台になっている。日本の場合、工場移転と言っているため大手メディアは全く気づかないけれど、日産で言えば座間工場や村山工場、荻窪工場など多くの工場を閉めた。

九州工場など新しい工場も立ち上げたものの、生産効率や立地の問題出たためであり日本国内の生産台数を見ると大きく減らしている。ホンダも同じ。新しい工場を立ち上げているが、絶対的な生産キャパシティは大きく減らしてます。はたまた軽自動車の生産を委託していたのに、それをホンダ本体の生産に切り替えるようなこともやっている。これまた実質的な工場閉鎖だ。

自動車工場は大きな規模の雇用と税収をもたらす

自動車産業は現地化がマストになっているため、国内の工場を減らさなければならない。その流れに乗っただけ。海外工場を閉めようとすると、トヨタのサクラメント工場やホンダのスウィンドン工場を閉める時のような大反対を受ける。地域の雇用が無くなるためだ。同じ理由でVWは「ドイツ工場を閉めると検討している」と報じられただけで大きな騒ぎになってます。

工場を閉めるのに大きな社会問題にならないの、日本くらいと言って良い。実際、工場無くなると地域の活性落ちます。工場で働く人達が地域の落とすお金は大きい。従業員だけで5千人規模。商店や食事を出す店、不動産まで影響出る。周辺の下請け工場だって無くなるのに、地域からの反対は起きても規模が小さい。日本のメディアは悲観論好き。VWを心配するなら日本を考えて欲しい。

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5 Responses to “VWがドイツ国内の工場を閉める=日本の方が厳しいし、全部無くすワケじゃないのになぜ騒ぐ?”

  1. AKIO より:

    その逆でTSMCの工場が来た熊本はすごい好景気になっていますね。

  2. トヨタ車ユーザー より:

    自動車でなくても工場が閉鎖になれば、そこで働いていた人は問答無用で解雇になるか配置転換になります。これは普通の働き人とその家族からすれば人生設計を変えなければならないほどの出来事で、それを自分に置き換えて考えてみれば「大変なことだ」と騒ぐのは分かります(世の中に一番多い勤め人として)。

    全部無くすわけじゃないから…というのは経済ニュース上の話であって、そこで働いていた人にとっては大きな出来事です。

    若い人なら配置転換先に一人で引っ越せばよいかもしれないが、家を買った人だと単身赴任か?解雇なら家のローンを返せるか?という話になります。
    自分の古い勤め先も工場再編とかあったので、そこで働いていた人の事を思うとつらいし、こういったことは経済活動上避けられないとしても、無いほうがいい・大変なことだと騒ぐのは分かるような気がします。

  3. よしの より:

    これは自分も感じてましたし
    VWはドイツ国内の工場を創業から一度も閉鎖をした事がなかったと言う方が驚いたくらいですからね。

    日本は自動車メーカー、他の製造業も容赦なく工場閉鎖しているし
    閉鎖して泣いている従業員を見ても、周りは「しょうがない」の一言で終わらせているくらいですからね。
    海外企業の工場閉鎖の検討を大々的に報道するくらいなら
    日本の製造業の工場閉鎖についてもっと深刻に考えて報道すればいいのにと思いましたよ。

  4. マツモト より:

    今回の原因は高騰したエネルギーと高い賃金と没個性化したBEVから来ているよう。
    その背景にある脱原発政策やEU特有の労働時間の短さに加えて平均所得が高い状況が変わらないと国内工場閉鎖の話はどんどん進んでいくんじゃないかな。
    BEVでドイツ車を選ぶと言う選択肢は全く見えない。直列6気筒FRのような魅力が欲しい。

  5. おーつか より:

    工場廃止、地域では問題にはなりますが、けっして国政マターには上がってこないというのは、ソ連とかフランスとか中国とか日本とかの中央集権国家ならありがちな話です。ドイツとアメリカは連邦制国家で、州が独立国家みたいなものですから

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