”地域おこし”に有効なWRCを日本で開催へ!

毎日新聞などが「WRC誘致へ。トヨタ、2020年めどに」と伝えた。記事によればWRCフィンランド優勝後の記者会見でGazooプレジデントの友山専務が「WRC開催がトヨタの悲願だ」とある。この動き、トヨタがWRCに復帰すると発表した時から始まっており、開催に向かって準備も進んでいるようだ。最新情報をお届けしたい。

WRC開催には2つの条件がある。1つは開催地。レースと違いラリーは広い地域で行われため、地元の準備が必要。例えば中部地域で開催しようとするなら、愛知県だけでなく岐阜県や静岡県くらいまで使うことになるだろう。一方、海外の例など見れば、広域の「町おこし」「村おこし」が出来ると言うことで大きな経済効果も。

2つ目はモータースポーツの国際機関であるFIAの認可。WRCの場合『WRCプロモーター』という組織がコントロールしており、ここの査察を受け「開催してもよい」という認可を受けなければならない。WRCプロモーター側としては安定して開催出来る国を求めており、過去のWRCジャパンの二の舞は避けたいと考えている。

興味深いことに「どちらが欠けてもダメ」という2つの流れは、現在別個に進んでいる。開催地は準備を進めWRCプロモーターに認可申請しようとしているし、WRCプロモーター側は、独自で調査をすすめているのだった。そんな状況の中で突如「WRC誘致へ」というニュースが流れたのだから大騒ぎ。今や様々な情報飛び交っている。

以下、事実関係のみ。まだ報道されていないものの、すでにWRCプロモーターは電通と日本でWRC開催するにあたっての交渉契約を締結している。正式な開催契約でなく、日本で開催するなら電通と組みましょうという内容。電通が「やめた」と言うまで有効だ。前述の通りWRCプロモーターとしては安定した開催を望んでいるワケ。

この件、先日WRCフィンランド取材に行った際、直接WRCプロモーターから聞いた。私は燃料電池自動車『ミライ』でWRCドイツの前走車として走った時から懇意にして頂いている。その際「電通は福島を中心とした東北や新潟の佐渡などを提案してきているがどうか?」と意見を求められたので「とても難しい」と答えた。

「愛知を中心とした地域で準備をしているグループがあります」。続けて競技区間やサービスパークなどの情報を伝えたら、とてもポジティブな反応。そして「電通とそのグループの関係はどうですか?」。WRCフィンランドの時点では「まだ本格的な話し合いが出来ていないと思います」と答えて終わった。

その後の新聞報道である。昨日、WRCプロモーターから連絡あり「どうなってますか?」というので「混乱しています」。WRCプロモーターの日本開催を担当している人は『ネマワシ』という言葉も意味も知っている日本通。交渉権を持つ電通と、準備を進めている地域で上手く話を進めて欲しいと考えているようだ。

大局的に考えれば、素晴らしい速度で話が進んでいると考える。認可を出すWRCプロモーターはとても前向き。準備を進めている地域も、十分な体制を持つ。トヨタが開催を望んでいることも友山専務の発言で解った。WRカーの圧倒的な速さとカッコ良さを見て貰うことで、クルマの素晴らしさを広められたら素晴らしい。

参考 WRC=世界ラリー選手権。一昔前のサッカーと同じく日本での認知度が低いものの、観戦者数で比較すればF1より多い世界No1人気モータースポーツ。一般道を舞台に市販車ベースの車両で競うため、競技車両の技術が市販車の開発に役立つ。欧州で絶大なPR効果を持っており、復帰したトヨタは急激に販売を伸ばしている。

 

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