日産の再建計画、歯がしびれるほど甘い。1つでも存続の危機になる4つの大きなリスクを完全無視! 

本田技研工業(ホンダ)と日産自動車(日産)の経営統合に向けた協議の破談が両車から正式に発表された2024年2月13日、ホンダはそのことだけを伝えるために会見を開き、また日産は2024年度第3四半期決算発表のなかで事実と経緯を伝えた。その会見を見たモータージャーナリストの国沢光宏さんはどのように感じ、何を思ったのか? 早速リポートしてもらおう。

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ホンダと日産の取締役会があった2月13日の夕方に、三部さんと内田さんは記者会見を行った。両方見た印象を書くと「どっちもこりゃダメだ!」。ただ日産はホンダの50倍くらいの酷さである。ホンダから三行半を突きつけたのも無理ない。今の日産が抱えるリスクを全く無視して、バラ色のような再建計画を出してきた。日産のリスクは4つある。順に説明していきましょう。

その1:売れるクルマを作れるか

内田さんの再建計画を聞くと、新型車を出せば業績は回復すると主張している。単に「出します」だと信用してもらえないと思ったのだろう。今後数年で出す新型車を具体的に紹介した。「新型車を出せば売れる」のなら、今までなんで出さなかったのだろう? 理由は簡単。出しても売れるかどうか自信なかったからだ。けれどこれから出すクルマは全部成功するらしい。

記者さん達は話を鵜呑みに聞いているらしく「売れる確証は?」とか「今までなぜ出さなかったのか」的な質問出ず。出すクルマ全てがヒットすれば確かに大幅利益をもたらす。特に高額車であり、販売奨励金も不要であれば儲かる。そんなクルマを作ってこなかったら苦境に陥ったのだ。内田さんの話を聞くと「出せば売れる!」。どこから超楽観論が出てくるのか不思議でならない。<続きを読む>

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3 Responses to “日産の再建計画、歯がしびれるほど甘い。1つでも存続の危機になる4つの大きなリスクを完全無視! ”

  1. アミーゴ5号リボーン より:

    クルマに関する重大案件は、実際の会見を動画配信で確認するようにしています。ただ今回の記者会見については、ニュースで見ただけでも、建前まみれの取り繕いまみれ、質問も上滑りまみれと分かったので、スルーしておりました。

    そんな中、日産の経営課題をわかりやすく因数分解して頂きありがとうございました。

    はっきり言って、ホンダは日産と手を切って良かった! もっと言うとホンダの子会社案は、ホンダがリスクを承知の上で判断した最大限の譲歩であり、日産らしさを維持できる最後のプランだったと思っています。

    だってですよ、
    他人事&お気楽まみれで無責任&大マヌケな日産経営陣にしがみつかれたら、日産だけでなくホンダと三菱まで、赤字まみれの血の池地獄に引き摺り込まれたと思いますもん。それを承知で、それでも一緒にやろうと手を差し伸べたのだから、ホンダは偉いと思っています。

    個人的には、日産の自力再生は諦めました。労組まで骨抜きにされてますし、現経営陣が残れば残るほど、事態は加速度的に悪化していくと思いますので。

    それでも日産の籍を日本に残すなら、もはや国有化しかない! 
    それがダメなら、ホンハイやアップルの受託生産会社として、頑張るしかない! とあらためて実感しました。

    最後に一番心配なのは、三菱の行く末デス。日産の取締役会は、また何かやらかしそうな予感がしますので。。。

  2. アミーゴ5号リボーン より:

    ところで、気になる動画を見ました。

    何でもトヨタのモリゾウ会長が、ホンダの夢追い社長を訪問して、「自動車産業において、エンジンを絶やしてはいけない。協力してほしい。」と要請したとのこと。

    その際、夢追い社長は「うちは、EV全振りで行きますので!」と力強く答えたそうです。

    そもそも噂の域を出ないし、時期もよく分かりません。でももし事実だとしたら、ホンダ夢追い社長は、日産役員に負けず劣らずリスクヘッジができない「凡暗」デス。そして次世代ハイブリッドを開発・公開した研究所は、スーパーファインプレーを繰り出したと痛感した次第デス。はい。

  3. アクシオム より:

    決算会見は見ましたし、決算資料もひととおり目を通しました。
    正直、とっとと出せたでしょう的な新車投入計画でしたね。
    ローグPHEVはどう見たって三菱アウトランダーのOEM供給バレバレのシルエットでしたし、ローグe-POWERはやっぱり不評だったマイナーチェンジ後のフロントフェイスを再びリニューアルしている。大型ミニバンは次期エルグランドなんでしょうが、いまさら2026年度ってどんだけ待たせるのやら。2025年度投入の軽自動車って、どうみてもサクラシルエットでしたから、これ次期デイズなんですかね。あと、キャシュカイのe-POWERがなぜか次期リーフのシルエット。これ誤植なのかホントに次期リーフのe-POWER版として出そうとしているのか微妙なところ。
    こういう商品計画で挽回できるところは、恐ろしいですね。2年前にやっているべきことでしかないですね。
    これで株価が高くなったそうですが、サプライヤー、販売店は当分頭を抱えそうなレベルでしたね。

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