ベントレーミュルザンヌ
先日乗ったベントレーについて。ベントレーというメーカーは1919年に始まる。新興メーカーながらル・マン24時間レースに出場(このときにベントレーボーイズという敬称が出来た)。1924年からの7年で5勝するという大暴れをした結果、ロールスロイスに目を付けられ1931年に買収されてしまう。
ちなみにタイヤは21インチ!
黎明期からロールスロイスとベントレーって同じ会社だったワケ。日産とプリンスの関係をイメージしてもらえばよかろう。ロールスロイスは、自社ブランドをショーファードリブンのクルマとしてラインナップ。ベントレーをスポーティな走りを持つオーナードライバー用のクルマという位置づけにした。
実際、ロールスロイスを持っている人の最も歴史ある組織は『ロールスロイス・オーナーズクラブ』。ベントレーの場合『ベントレー・ドライバーズクラブ』である。日産がR34までスカイラインを特別待遇してきたようなもの。いや、も少し正確に書くと「プリンス」というブランドもキッチリ残し続けてきたような感じ。
割と可愛らしいレタリング
1998年にロールスロイスはVWが買収。やがてロールスロイスをBMWに。ベントレーはVWグループに属すことになった。この時から両ブランド共に強烈な「先祖帰り」を始め、原点に戻ろうとする動きになる。結果。ロールスロイスがファントムを作り、ベントレーもコンチネンタルGTという2ドアを世に出す。
さて。ベントレーといえば網目のフロントグリルである。ベントレーのマネをして網目のグリルを採用するモデルも多い。この網目、単なるデザインじゃない。ル・マン24時間レースで大暴れした頃の路面は、小石が普通に落ちていたという。そいつからラジエターを守るために強固な網目構造のバリアを作った。
もちろん金属製
歴代のベントレーを見るとモチや魚を焼くような単なる網目じゃない。高速走行中に小石が飛んできてもキッチリとガード出来るよう、奥行きある。正確には網じゃなく格子に近い。樹脂製の網目風グリルをデザインアイデンティティとしているクルマは、日本車をパクッた中国車と全く同じレベルかと。
搭載されるエンジンは伝統の6,75リッターV8。このエンジンがベントレーに搭載されていることを見ると、いわゆる「ロールスロイスの本体」ってVWにあると解る。VWもロールスロイス解体後、自社製のW12気筒エンジンをベントレーに搭載したものの、ミュルザンヌはV8でございます。
512馬力。今でも「必要なだけ」ですね
とはいえ最新の技術を投入し徹底的にモディファイされており、ツインターボでパワーアップ。エンジンの内部抵抗を徹底的に減らし、気筒休止システムを取り入れ、GM製の古い3速ATも8速ATに進化。結果、100km/h巡航なら10km/Lという望外な燃費を実現するようになった。
驚くのが板金部品。この複雑かつシャープな構造のアルミ製フロントフェンダーは、いくつかの部品を溶接したのかと思いきや一体成形だという。500度に熱したアルミを空気のチカラで曲げるそうな。聞けば航空機の部品を作るときの技術らしい。イギリスってこういうノウハウの宝庫だったりして。
一体構造のフロントフェンダー。高そう
価格は3380万円。安くないけれど、同じ価格のフネと(下の写真は夢の島マリーナだとカローラ級となるヤマハSC-30。3200万円。必要な装備を付けるとプラス200万円程度)比べれば圧倒的に豪華だし技術的にも凝っている。両方とも馴染みのある人なら「クルマってお買い得ね」と感じます。
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自分はこのベントレーのレタリングが
ずっと前から好きなんです。
高級車然としたクルマに
このマーク。
かっこよく、そして、ちょっとお茶目。
この燃費、いいですね。
意外でした。
アイドリングの時はどうですか?
自分が前に乗っていたメルセデス・ベンツのV350は
3.7リッターV6でしたが、
こんな夏にSA等でアイドリングさせたまま
エアコンをつけていると
みるみるうちに燃料計の針が下がってましたが。
今後の人生、どのように立ち回れば涼しい顔してミュルザンヌのハンドルを握れるようになれるだろうか?なんて考えちゃった就職氷河期世代です。
エコじゃない、とか高級車が買えない言い訳をしようものなら腐る程有る昨今。そんな自分に苛立ちや恥ずかしさを憶えて働き方を変えたら月収が約二倍になりました。でも、中古のタスカンですら買うのを躊躇う現状。
軌道に乗れるように頑張ろうと思いました。
>両方とも馴染みのある人なら「クルマってお買い得ね」と感じます。
貧乏サラリーマンには一生わからない感覚でしょうね〜。(苦笑)
それを言っちゃぁおしめぇよ!ですが、田舎ならマンション買えますもんねぇ…
ベントレーの詳細を読んで、いままでは全く縁が無いと思っていましたが、なんか身近に、この高みを目指してみることもアリなんだ、と感じました。こんな記事が読めるのもココだけですね。夢があって楽しいです。
レベルは違いますけど、新車価格で450万円のものがどちらも身近にあるので、そこで内装やエンジンを比較してしまうと、ボートはウ〜ン(゚ー゚;・・・ですよねぇ。比較対象が合ってないのでしょうけど(笑)
小生自身、恥ずかしながら現在の所有車の一つ「レクサスIS350」を購入する時の絶対的動機が0-100km/h=4.54sec!!!!!と「ベントレー・コンチネンタル・フライングスパーの5.2secよりも速い」というものだったことを白状します(笑)。
たかだか3456cc自然吸気の分際でそんなベントレー・コンチネンタルの5.2sec、同ミュルザンヌの5.3secを上回る4秒台後半の加速タイムを実現したトヨタ2GR-FSEエンジンの底力ひいてはトヨタ/レクサス技術陣の壮挙に溜飲せざるを得ないのは事実である一方で、このIS350という奴はダンパーとサスの間に減衰の不協和が見られ、凹凸の種類によっては細かい周期の微振動を伴うのは安普請な上旧世代トヨタ流の煮詰めの甘さを感じさせて由々しき問題ではないでしょうか。
かくいう小生は一生逆立ちしてもベントレーに似合う乗り手にはなれないのだろうなと思わされるのと同時に、現状のレクサスIS350とて日本の交通事情の中では時速10km/hの自転車のお付き合いをする破目になって宝の持ち腐れであることを再認識させられる寸法です。
結論から言えば「無理なく使い切れ、回せば相応に速い」メインの足=2004年式ヴィッツ1300U-L/89415km走行こそが小生の生活スタイルにマッチしているにほかならず、「クルマはどこまで良くなればいいか」に対する一つのヒントを出しているのかも知れません。何ならこの87ps/11.8kgmのコンパクトカー、それでも0-100km/h=11.3secとVWニュービートルの2.0/116psやルノーメガーヌGTライン(2.0L/140ps)に勝るとも劣らない性能を持ち、1980年代前半のロールスロイス・シルバースピリット/ベントレーミュルザンヌ(自然吸気)の6750cc/198ps(←同数値はドイツの車検機関の測定値)の性能データとも互角以上となっております。
PS
小生の場合、レクサスIS350の大パワーを堪能し、メインの足たるヴィッツ1300U-Lが十数万kmに達して老朽化したタイミングを見計らって向こう数年後には両車をまとめて売却して次はダイハツ・イースを考えております―かくもロールスロイス/ベントレーの文化圏とは180度かけ離れた「小市民」であることを思い知らされます。