大森実さんの訃報
大森実(おおもり・みのる)さんという偉大なジャーナリストが亡くなった。享年88歳。大往生と行ってよろしかろう。大森さんは毎日新聞在籍中、特派員としてベトナム戦争に行き、精力的に活動。ボーン国際記者賞も受賞してます。しかしアメリカにとって厳しい内容になったためライシャワー駐日大使から非難され、結果的に退社。
第一線を勇退されてから南カリフォルニアのラグナビーチに居を移し、アメリカから見た日本をテーマに活動されていた。フリーランスになって1年目のこと(25年前です)。ベストカーガイド編集部員時代の上司であった正岡局長は、私にとって初めてとなるアメリカ取材の際、大森さんを紹介してくれたのである。
正岡局長は週刊現代の編集長時代に大森さんと一緒に仕事をしており、強い信頼関係にあったという(大森さんに聞きました)。ラグナビーチを訪ねると、なぜか大森さんは私のことを気に入って頂いたらしく、短い期間だったものの多くのことを教えてくれた。今になって思えば、大森さん63歳。円熟の時を迎えていたののだろう。
大森さんが話すことは全て新鮮で、かつ強い示唆に富み、インパクトもあった。特にアメリカに嫌われ退社を迫られたのに、なぜアメリカで余生を過ごす決断をしたのか、といったあたりの話を聞いたときは、アメリカの奥行きの深さに感嘆したのを昨日のことのように思い出す。夢のような日々でした。
現在私がアメリカのことを大きく間違えることなく評価できるのは100%大森さんのおかげだと認識している。加えて「ジャーナリストとは何か?」をゼロから教えて貰ったと思う。あの『集中講座』を受けていなければ、おそらく今ごろ「ポルシェ凄い! ベンツたいしたもんだ!」みたいなヒョウロウンカになっていたことだろう。
ベトナム戦争を見た大森さんが語るアメリカの魅力はホントに説得力あった。大森さんは今でも私の仕事のスタンスの基本になっている。迷った時は大森さんのことを考えるほど。奥様と過ごされたラグナビーチの自宅は素晴らしいロケーションでした。偉大なる大先輩である大森実さんのご冥福をお祈りします。
本当にありがとうございました。
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御大の心棒は大森実さんだったんですね。御大が本物な訳です。
嫁の父親の訃報の為、この一週間全くPCとご無沙汰でした。