B787のトラブル

羽田発サンフランシスコ行きJALのB787がホノルルに緊急着陸した。いろんな意味で「う〜ん!」の連続でございます。まず飛行ルート。下の航跡を見ると、9日は偏西風強かったのだろう。大圏ルート(羽田とサンフランシスコの最短ルート。地球は丸いため、もっと北を飛ぶ)じゃありません。

9日のJAL002便の航跡

このルートは最も緊急着陸用の空港が遠い海上を通る。いわゆる『ETOPS120』(エンジン1機停止で120分飛んで良い機体)だと飛べない空域であります。B787はETOPS180なので何とかOK。逆に考えると、エンジン1機停止状態で2時間以上飛ばなくちゃならない、ということです。

30分後にホノルル空港に着陸したと伝えるニュースもあるが、航跡を見たらホノルルから1800kmも離れた地点で変針してます。ここ、北東太平洋のド真ん中と言ってよかろう。1機停止すると飛行高度と巡航速度を下げなくちゃならないため、ホノルルまで2時間半くらい掛かったと思う。

実際、サンフランシスコに行くか、ホノルルに行くか迷ったことだろう。羽田〜サンフランシスコまでの飛行時間は3月8日の002便が8時間28分。9日の002便の羽田〜ホノルルの飛行時間といえば8時間2分ですから。そのまま偏西風に乗ってサンフランスシコに向かうというチョイスもあった。

けれど事態は深刻だったに違いない。詳細を公表していないが、センサーの故障という情報もないため、本当にオイル漏れしていたのだろう。1機停止中は生き残った1機の出力を上げなくてはならず、負担が増す(ETOPS180はその状態で3時間持つということ)。今回は全て規格&設計通り稼働したということだ。

という点からすれば飛行機は安全ということになるのだけれど、1万m以上まで発達している強い積乱雲に囲まれたり、緊急着陸先の空港の天候が悪かったりするとエンジン1機での対応は難しい。今のエンジンは基本的に「故障しない」ということが大きな前提になっているのだった。

ゴーアラウンドの動画

加えてB787の場合、バッテリートラブルという心配もしなくちゃならない。日本からヨーロッパルートなら火災になっても着陸出来そうな空港は確保できる可能性あるが、今回トラブル起こした空域だと緊急着陸まで2時間半も掛かってしまう。B787に限って当面ETOPS60の運航が望ましいと考えます。

<おすすめ記事>

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ