ミライ、WRCドイツラリーで走らせます
やっと全て調整が済んだので御報告です。ラリーカーに仕立てたミライですけれど、8月20日から始まるWRCドイツラリーの前走車をやることになりました。発端は4月くらいにミライを競技車両にして全日本ラリーの最終戦に出ようと思っている、とWRCの日本代表の方に話をしたことであります。
それを雑談の時にWRCプロモーターに伝えたそうな。そしたら「ドイツで前走車をやらないかって言ってきたよ」。あらま! 脳天気の私だからして「だったら走ります!」と即答しちゃいました。ここからが大騒ぎ。ドイツラリーに間に合わせるには6月末までに船積みしないとならぬ。納車は5月25日。
徹夜続きのラリー車作りは日々是修行で書いた通り。さらにクルマ作りをしてる途中「水素は爆発するので船で運べない。運ぶなら完全に水素を抜き、証明書を発行して欲しい」。そんなの無理です。ラリー車作りに難航していることもあり、こら無理かな思った。というか10回は決定的な危機がありました。
ちなみに輸送の件は、各所に聞いてみたら1)キーをオフにしたら水素は絶対漏れない構造になっている。2)だからこそミライには高圧タンクのステッカーも貼っていない。3)安全確認は国交省が厳しい審査を行った上でのことで、少なくとも完成検査を受けたミライは、普通の自動車と同じ扱いになる。
といったような書面を作り、普通の自動車と同じくギリギリまで水素を減らした上で運んでくれることになった。実際、水素はガソリンよりも安全性高いし、そもそもエネルギー量が小さい。トヨタも輸出する際、船で普通のクルマと同じ扱いで運ぶとのこと。クルマとして認可されたら、相応の安全性は確保出来てます。
最後まで解決でなかったのが水素の充填。さすがの環境王国ドイツでもラリー会場の近所には700気圧の充填所無し。移動式水素充填車を探すことになったのだけれど、これまた難航。最後は「避雷針を付けなければならない」に代表されるドイツの法規をクリアしなければならない事態に。
前述の通り上手くいかなければダメという決定的な問題が下を見て10個。相当難しいというハードルに至っては100個以上ありました。まだまだ燃料電池車っていろんな困難か周囲に残っている。まぁこういった経験が出来ること事態、メディアの一員としちゃ大いに役立つ。お金出して苦労買うのも修行です。
どんな意義があるか? あまり考えない。技術王国であるドイツ人の前で、個人が買った燃料電池車を小さなガレージでラリー車に仕上げ、そいつを全開で走らせられれば本望です! そんなこと出来る国は日本しかないですから。日本にもマッドなクルマ好きがいると思って頂けたら嬉しい。
ちなみに20年後のWRCは相当の確率で再生可能エネルギーから作った水素を使う燃料電池車になると思う。その先駆けをになれるとしたら、こんなに素晴らしいことはないです。
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