30%の読者諸兄は3年以内にクルーズ船に乗る、と断言します
1970年代に登場した圧倒的な大きさを持つB747で1席あたりの運行コストは大幅に減り、それまで限られた人のみ許された海外旅行がイッキに普及した。クルーズ業界見ると、飛行機業界の1970年代と全く同じ流れになってます。乗客数2千人を超え、荒れた海でもほとんど揺れなくなった300m級/10万トンクラスの登場により、世界的規模でクルーズ人気が到来したのである。
最大級のクルーズ船は360m!
多くの日本人は「クルーズ」と言えば、引退したお金持ちのためのもの、といったイメージを持つだろう。実際、旧来のフネを使うクルーズは、今でも人生の先輩方が金持ち自慢しながらの食事や、お茶&お酒飲むくらいしか楽しみがない。しかも200mに届かないフネのサイズだと、少し荒れただけで大揺れ。船内のアトラクションなど少なく、若い世代からすれば全く魅力を感じない。
スポーツジムやプールなども
今や世界的人気になっているカジュアルカテゴリーのフネは、前述の通り全長300mに達し、揺れない。加えて朝から晩までイベントが組まれており、全く飽きさせないのだった。しかも毎晩行われるショーの文化レベルは極めて高い。今回のクルーズも1)ジャグリング。2)ミュージカル。3)オーストラリア人の歌手。4)オーケストラ。5)アイスショー。6)マジックショー等々、毎晩違うタイプ。
船内に3階建ての劇場
これだけ多くの文化を子供見せようとすれば、都会でも苦労する。子供を育てるときに最も重要なのは「様々なカッコ良い大人を見せる」ことに尽きると思う。そういった大人をTV画面の向こう側でなく実物で見せてあげられるというのは素晴らしいこと。そして楽しむ大人の姿も見る。少し大げさに感じるかもしれないが、子供は一度クルーズ船に乗せることにより人生変わるかもしれない。
夕食時など子供を預かってくれます
30~40歳代の人からすれば、価格が魅力的だと思う。ちなみに今回の6泊7日のクルーズで最もリーズナブルな窓無しの2人部屋(元気な子供が居ると窓無い方が安心です)を中学生の子供2人と使って4人で32万円。以前も書いた通り、この中には食べ放題の3食が含まれる。メインダイニングのフルコースなど、アメリカやヨーロッパのレストランで食べたら1万円近い内容。
メインダイニングは1700人収容の3階建て
親子4人でフルコースのディナーを毎晩なんて旅行、少なくとも私が若かった頃は夢のようでした。あまり贅沢しなくたって連休に親子4人で海外に7日間出たら、一人10万円はミニマム。ちなみにメインダイニングの食事内容や、食べ放題ブッフェの内容は(今回のフネはあまり味のレベル高くなかった)、窓の無いベーシックな料金クラスでもバルコニー付きの高いクラスでも全く同じ。
麺類を除けば美味しい
50歳以上の夫婦だって存分に楽しめます。毎晩のように行われるパーティで掛かる曲は、基本が1970年代のディスコ全盛期のファンキーぶり(世界的に同じ傾向)。夜のバーで生演奏される曲も、ビートルズから始まり、アバや、クイーン、ビリージョエル、カーペンターズ等々。フラダンス教室もクルーズ船の定番メニューです。地方に住んでいる人なら毎晩お祭り騒ぎのようなもの。
ライブをやってるバーが数カ所
という情報が、おそらく皆さんの回りでも聞こえてくると思う。大げさでなく読者諸兄の3分の1程度は3年以内クルーズ船に乗ることになるだろう。5年スパンで考えれば半分以上かと。ただ旅行業界は相変わらず「正しくて適当な情報」が期待出来ない。となれば出番か? ボート・オブ・ザ・イヤーの選考委員を受けていることもあり、出来れば年に1~2回乗り、評価してみたい。
小腹が空いた時のスナック。これも食べ放題
ちなみに『マリナー・オブ・ザ・シー』の評価だけれど、食事は11階のブッフェレストランについちゃ「火を入れたらマズくする天才料理人」がいるらしく、中華風料理を筆頭的に徹底的にダメ。パンとサラダと洋食が少しイケる程度。メインダイニングは麺類頼むと絶望的ながら、オースドックスな西洋料理なら全て美味しい。サービスのレベルも高い。私は2日目からずっとメインダイニング。
中華系は全てマズイ。小麦粉系と野菜美味しい
船内の雰囲気はお客が作る。3500人も乗ってると、日本の縮図だ。30%はヨレヨレのTシャツや、ジャージなど着たマナーもお洒落もヘッタクレもない人達。一方、30%くらいは人柄良さそうな人で、振り返りたくなるような粋な人だって少なくない。ディズニーランドで鍛えられた人達が増えたせいかショーも大いに盛り上がる。日本人比率99%のフネは安心して乗れます。
我が国もノリがよくなりましたね~
JTBの仕切りは酷いモノでした。那覇の下船順もフネ側が決めた時間帯を勝手にご破算にした結果、大混雑してしまった。レベルの低さに驚くばかり。お年寄りには辛いです。ただ一つだけ評価するとすれば「クルーズを国際価格にしたい」という旅行屋の『夢』を感じること。なんたって今までの連休クルーズ価格からすれば、3分の2くらいの価格設定です。
つまり「国際価格にしなくちゃせっかくのクルーズ人気も日本を避けて通る」という旅行代理店としての肌感覚だと思う。だからこそネットで販売する「旅物語」という商品にしたんだろう。これは高く評価したい。だったらJTBで仕切ろうなんて考えずノウハウはフネ側に任せたらよかった。今回だってホンの少しキャパシティを増やすだけで上手く行ったことだろう。
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