笹子トンネルだけじゃない?
中央道で発生したトンネル事故は、どうやら屋根を釣っている金属の根元が外れたようだ。メディアの論調は老朽化という結論にしたいようだけれど、もう少し複雑だし難しい問題だと思う。御存知のように我が国の国土は「地球時間」で考えれば新しい。岩石が潰れた破砕帯や、活断層だらけと言っても良かろう。
計5本ある笹子峠のトンネルも例外ではなく、硬い地盤と出水に悩まされたそうな。今回の崩落、支持ボルトの腐食なら損傷は10本や20本じゃなかったと思う。それだけ多くのボルトが同時に腐食することなど考えにくい。つまり腐食以外の原因か、同時に多数のボルトが腐食する原因を見つけなければならないワケ。
もしボルトの破断で無く、根元から抜けていたなら大問題です。個人的には日本のような国土に作る建造物は、航空機のような「フェイルセーフ」というコンセプトを導入するべきだと思う。そもそもクルマの頭上に重いコンクリート板があること事態、大きな問題かと。昨年の地震で落ちなかったのが不思議なくらい。
最悪の原因は「地盤が動いていた」。過去、大きな地震に遭遇してきた我が国ながら、トンネルが活断層で壊れたという経験を持っていない。複雑な地盤にトンネルを掘れる技術を持つようになって110年しか経ってないのだ。奇しくも日本最初の長大トンネルが1902年竣工となる現在JRの『笹子トンネル』。
東日本大地震の際、湾岸に埋められた首都高などのトンネルはコンニャクのように揺れたという。幸い、トンネルの外側の地盤も豆腐のように軟弱。コンニャクで豆腐に勝てた。けれど笹子トンネルのように強固な地盤だとコンクリートの構造物じゃ勝てない。違う観点からの安全確保策が必要だと思う。
中央道の不通は短い期間じゃ済まない可能性も出てきた。単純な原因であれば片側のトンネルを使って交互通行にすればいいが、上りと下りの2本のトンネルは同じ構造。全ての点検を終えないと怖くて走れないです。下を見て3ヶ月。長ければ半年くらいの不通を想定しておくべきだと考えます。
事故で亡くなられた方の御冥福をお祈りします。
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昨日、土浦から富士山麓の精進湖に出掛ける途中、大月〜勝沼 上下線 災害の為 通行止めと表示が出ていて、事故ではなく災害なんて、何があったんだろう。。と思っていたら、トンネル内の崩落事故と知って驚きました。
原因は様々な要因が重なりに重なって起きたんだと思いますが、東日本大震災とそれ以降の異常な回数の余震、地震の増加も原因のひとつのような気がします。
3月11日の震災直後に富士山周辺で強い地震もありましたし。
震動や揺れ、湧水やトンネル内の湿度、排気ガス等によって、経年劣化が耐えきれない状況まで進んでいたのかもしれません。
今後、様々な建造物や道路関連の設備で経年劣化プラス震災でのダメージなどで同様の崩落や破損落下がありえる気がします。
コンクリート壁での換気設備だけでなく、トンネル内のジェット機のエンジンのような大型ファンだとしてもボルトの劣化や震動ダメージの蓄積により落ちる可能性はあると思いますし、トンネルや橋脚だけでなく案内標識や防音壁等あらゆるものに注意、メンテナンスが必要だと思います。
被害に遭われたかたのご冥福を御祈り致します。
危ないのは、原発だけではないということを思い知らされた事故です。
戦後、日本経済を支えてきたものとして原子力発電と高速道路が上げられます。これらは、敗戦から日本が復興して行く段階で同じ年代で作られて40年、50年と使用され続けています。
コンクリートの耐用年数を考えると、そろそろ限界といったところでしょうか。なので、これまで通り目視や音だけの安全確認では不十分だと思います。
当面は、天板のたわみを検知するセンサーを数十メートル間隔で取り付けて、センサーの異常を感知したらすぐに通行止めにできるようにしてはどうかと思います。
そして、根本的にやり直さないといけないのは改修工事です。同じ構造をもつトンネルは、そのままにしておくと同じ崩落事故が必ず発生します。
そもそも、換気口のために1枚1.2トンものコンクリートを吊り下げる必要があるのでしょうか?どんなに頑丈な車でも5mの高さから落下した乗用車1台分の重さのコンクリートが直撃したら、完全に潰れてしまいます。
これをハニカム構造の軽量合板にすれば、重さは10分の1以下になると思います。更に落下防止のワイヤーを取り付けて仮にボルトが抜けてもワイヤーで支えられるようにしてはどうかと思います。
これから、考えなければならないことは、こうして日本経済を支えてきた構造物を保守、改修することです。その為の予算を新規で造るもの以上にとらないと今回のような事故が今後連鎖的に発生し、運の悪い人々が犠牲になってしまいます。
政治家に求められていることは、予算の削減だけでなく必要なところには十分に予算をとることだと思います。
今回の事故は、コンクリートの経年劣化と振動によるアンカーのゆるみが直接の原因だと思います。
しかし、根本的には設計の問題でしょう。
アンカーボルトの引き抜き強度はアンカーの直径と埋め込み深さで計算できます。必要な耐力に一定の安全率を見込んで埋め込み深さを計算すれば、一応設計上問題ないこととなります。
しかし、今回の場合は長時間にわたって引き抜きの力をかけられた状態で振動が不規則に伝わり、なおかつ30年以上の時間経過です。
通常、コンクリートの設計では圧縮強度のみを期待し、引っ張りについては0で計算するのですが、アンカーの場合は一定の引っ張り応力にも耐えることが前提になっています。
コンクリートは時間の経過とともに乾燥収縮によるひび割れができ、空気中の二酸化炭素と反応して中性化し、また骨材の種類や環境によっては別の要因で強度も弱まります。
たった13センチのアンカー埋め込みでは、周りのコンクリートの強度が低下するにしたがって、計算上の安全率がどんどん下がり、いずれ1を下回って今回のような事故が起きるのでしょう。
私だったら、怖くてこんな設計はしません。
岩盤までアンカーを打ち込むか、トンネル本体のコンクリート打設のときに、内部の鉄筋に連結するか、J型に加工して埋め込みます。
たぶん、コストと工期の問題で一番安易な工法を採用したのでしょう。
その後の点検方法にも???です。直接利益を生まない分野のコストカットの現れでしょう。コンクリートの技術者なら、普通は気がつくレベルのことです。