ホンダジェットの成功とワクにはまったホンダが対照的でステキ!
「ワクにはまってしまった」と言われるホンダの中で、唯一「ホンダらしいですね!」という状況にあるのがホンダジェットである。5月28日から開催されたジュネーヴ・ビジネス航空ショーに於いて、早くも航続距離を400kmも伸ばした(17%増加し2660kmに)性能向上版の『ホンダジェット・エリート』を発表したのだった。只でさえクラストップだった性能を、さらに上げている。
加えてすでに85機程度納機されている中、決定的な問題点や課題は報告されていない。航空機の場合、自動車よりはるかに正直な申告が要求される。これだけ多くの機体が様々な用途に使われているオーナーの元で運用されているのだから、不具合出ればとっくに大きな話題になっていることだろう。なんたって公明正大かつ狭い世界なのだった。文字通り順風満帆といった感じ。
苦戦中の三菱MRJと好対照である。MRJは当初2013年初号機を納機する予定で開発&受注活動していたが、様々な理由により延期/遅延を繰り返す。直近では2020年半ばとなっているため、すでに7年の遅れ。こらもう商業機として考えたら決定的である。2013年なら世界最高性能の機体だったけれど、今や燃費に代表される経済性でライバルに飲み込まれてしまうからだ。
しかも航空機の場合、500機程度作らないとペイしない。ライバル機が多く実績の少ないMRJは、良い機体だったけれど売れなかったYS-11と同じ運命を辿ることだろう。こうなると不思議なのが、どうしてヒコウキ作りの長い歴史を持つ三菱は新規参入のホンダよりアカンのか、という点にある。ジックリ見るとMRJとホンダジェットのマネージメントは正反対なのだった。
もっと言えば、MRJは「ワクにはまったホンダ」にそっくり。ホンダジェットが「21世紀の成功する図式の日本スタイル」だと思う。どこが違うのか? MRJもワクにハマったホンダも、モリカケで揺れる政府や日大のアメフト問題とよ~く似ている。忖度と保身ですね。皆さん実力者の発言に異論あってもダンマリを決め込み、アカンと思ったって言いたいことを主張できず、忖度しちゃう。
ホンダジェットの経営/指揮系統を見たら、藤野さんの個人会社の如し。強力なTOPダウンである上、藤野さんが航空機ビジネスをよ~く解っているんだと考える。ホンダをワクにはめる大きな要因になってる『A要件』(聞けば驚くほど古くっさい社内規格)もホンダジェットには存在しない。片やMRJを見ると、モンクを言う人ばかり。船頭多くて、というヤツです。
ホンダジェットはさらに伸びると思う。今回、航続距離だけでなく、騒音の減少策や、ゴーアラウンド(着陸断念時の再上昇)の自動操縦機能など電子制御の強化を行ったが、遠からずエンジンのパワーアップなどもしてくる。ちなみに他のメディアの記事では航続距離を400km伸ばしたロジックが全く紹介されていないけれど、燃料タンクの大型化によるもの。
ただ燃料タンクの大型化=重量増。本来なら最初から大型燃料タンクを付ければよかったじゃないの、と思うかもしれない。どっこい。そう簡単じゃない。運用の結果、重量増が性能に影響を与えないと解ってきたのだろう。ホンダジェットの巡航燃費は4,1km/L程度。けっこう燃費良い。200馬力エンジン搭載した8m級モーターボートの巡航燃費、おおよそ1km/Lだ。
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