トヨタの自動運転の考え方、ヒジョウに興味深かったす
トヨタが自動運転の開発を行っている企業の発表説明会に出席した。改めて説明するまでもなく自動運転技術にはIT企業とのコラボレーションが必要。しかし失敗したら大きな痛手になるし大切な人命を預かる自動車産業とIT産業ではコンセプトからして決定的に違う。IT産業、バグのある中途半端な状態で世に出しても、バージョンアップしていけばよい。
ということでトヨタとしちゃ直接IT企業と協業していくのは無理だと考えたのだろう。私は正しいと思う。そんなことから立ち上げたのが『TRI-AD』という組織。トヨタとIT産業の間に入り、開発の橋渡しをしていくというもの。メンバーは優秀なIT業界のエンジニアと優秀なトヨタ開発部の技術者です。
発表の概要はソフト作りやシミュレーションなどごく一般的なものだったが、非常に興味深い内容ありました。IT業界で考える自動運転は、人間の代わりをするステレオタイプの技術であり、いわゆる完全自動運転を目指す。一方、トヨタの考える自動運転は、ドライバーの補助。つまりドライバーのミスをカバーする技術が中心になる。
この技術、似ているようでいて全く違います。おそらくトヨタからすれば自動運転など夢のまた夢なんだと思う。けれど世の中のニーズとして自動運転に取り組まなければならない。そこで考えた妥協案が、IT業界が作り上げる自動運転を、人間だと考えるというもの。つまり人工頭脳も人間と同じくミスをするという前提です。
まとめてみよう。IT業界で考える自動運転君を99.9%くらいの精度に仕上げる。けれど100%は難しい。だったら残りの0.1%を運転補助機能でリカバリーしましょうということです。もう少し掘り下げると、自動運転ロジックだけでなく、運転補助も同時に別のロジックで稼働させておくということ。フェイルセーフのコンセプトですね。
一系統が機能しなくなったら別系統で補うワケ。いやいやトヨタらしいですね、と感心しきり。IT産業で考えた自動運転中もトヨタの運転補助機能が同時に稼働しており、危険を感知したらブレーキ踏むなり安全な場所に停止するなりというIT産業の操作と違う制御がオーバーライドするということかもしれない。
以上、今回の発表会の意訳であり、トヨタのアピールを少し拡大して解釈していることを付け足しておく。その上で私は「世の中には殺人が罪だと言うことを知った上、実行する犯罪者もいる。そういった輩に対する防御をIT業界をどう考えるのか?」と質問してみた。IT産業の犯罪者ってハッカーやマルウェアです。人殺しじゃない。
クルマが走っている実社会にはあおり運転を始め、悪意のある行動も多い。それを聞いてみたら「そのためにシミュレーションをやります」。激しい悪意のあるイタズラや犯罪行為、シミュレーションじゃなかなか難しいと思うのだけれどどうでしょう? クルマの前にワザと飛び出す。急ブレーキ掛けたら後続のトラックが追突する、とかです。
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