日産のeパワー、なんでアメリカに出さないのか? こらもう簡単。高速の燃費悪いから

アメリカではハイブリッドが人気になっている。日産にだってeパワーがあるでしょ、と言う人もいます。なんでeパワーじゃダメなのか? こらもう簡単。高速燃費悪いからだ。アメリカでクルマの運転をしたことある人なら解る通り。高速道路の流れって驚くほど速い。カー&ドライバーというメディアは日本のWLTCのようなEPAモードの他、75マイル燃費を出している。

75マイル=120km/h。制限速度が70~75マイルのため、実際はプラス10マイルくらいで流れてます。いずれにしろ120km/h以上の燃費が重要になってくる。そしてこの速度域、ハイブリッド車の意味なし! ほぼエンジンのパワーだけで走ることになるからだ。参考までに書いておくと、2500ccエンジンのRAV4の120km/h燃費は13.7km/L。RAV4ハイブリッドも13.7km/L。

EPA燃費は我が国のWLTCと違い、極めて実燃費に近い。RAV4のハイブリッドでいえば、総合燃費16,21km/Lとなる。普通エンジンだと11.9km/L。そんなモンですね。アメリカでの使い方で多いのは、都市部だと朝の通勤で渋滞。帰りの時間といえばバラけるため、けっこうな速度。そういう使い方をすると、渋滞とハイアベレージの燃費が両方とも重要になってくる。

RAV4やCR-Vのハイブリッドは120km/h燃費で普通エンジンと同等。そして速度域落ちてくると圧倒的に燃費良くなってくる。アメリカで大量の在庫を抱えたローグ(エクストレイル)の燃費を見ると、120km/hで13.2km/Lと、RAV4やCR-Vと同レベル。こいつをeパワーにしたらどうか? eパワー、直結駆動モード無し。発電機>インバーター>モーターで熱効率を落とす。

トヨタのハイブリッドは高速巡航だと事実上の直結モードだし、ホンダも直結モード付き。エンジンパワーを車軸に使えるまでの伝達効率で言えば95%前後をイメージしてもらえばいいだろう。eパワーはそれぞれの伝達効率(熱効率)を95%としても、86%になってしまう。いや、95%というのは熱損失をあまり考えていない。高速域&大出力領域だとさらに効率落ちると思う。

エクストレイルのeパワーで120km/h巡航したら、普通エンジンより燃費悪くなること間違いなし。速度域上がれば上がるほど燃費悪くなっていく。ということはすぐ周知されるため、誰も買わない。日産だってそいつを認識しているから出さないワケです。解決策は「直結モードを作ればいい」のだけれど、eパワー開発陣に石頭がいて「やらない」とゴネてる。

日産、石頭の技術陣にも足を引っ張られる。

<おすすめ記事>

7 Responses to “日産のeパワー、なんでアメリカに出さないのか? こらもう簡単。高速の燃費悪いから”

  1. トヨタ車ユーザー より:

    なるほど!HEVなんだから排気量が小さくならないのかな(日本は排気量が小さいと税金他有利)と思っていましたが、スバルのストロングHEVが2500㏄の理由がわかりました。フォレスターやそれ以上のモデルでHEVをアメリカで売るなら、高速燃費のためにそのくらいの排気量は必要であると。。。
    でも、日本だって高速道路が120km/h区間があるんですけどね。
    という話を日産は理解せずにVCターボで無理に売っている。電器屋さんとエンジンやさんで仲も悪いんでしょうか。
    あとデスラが(火を噴いても)たくさん電池を積みたがる理由もわかりました。120km/hをBEVで飛ばすならそりゃ電池いりますわね。

  2. HA3W&ZE1 より:

     「日産おしまい・・・」にも少しコメントしましたが、EVとPHEVの共用でコストを削減するなら、直結モードよりもトランスミッションを入れるのが良いのではないでしょうか。(あくまで共用する場合ですが)
     あとは出すと言われている高効率発電専用エンジンがあればなんとかなるのでは。
     エンジニアからすればモーターだけで駆動するのは美ししい設計に感じるのでしょうが、技術が追い付いていない。
     高速巡行でも燃費が落ちないモーターは巻き線の量を動的に切り替えられる(巻き線を減らして磁気抵抗を下げる)必要がありますが、これはまだ研究中の段階ですよね。
     その点トランスミッションは十分に熟成された技術なので日本企業ならどこでもできそうな気がします。すでに3年まえにMotor Fan Vol.169でいろいろな議論がでていました。

  3. アクシオム より:

    2026年に北米で発売を目指しているe-POWERが第三世代になるようなので、その第三世代が高速走行に適する仕様にはするんでしょうね。
    e-POWERに直結モードは、国沢さん以外にも桂さんとか木下さんとかも仰っていることですから、日産でも検討はされているんでしょうね。
    今後、インフィニティや日産のFR系シャーシをベースにしている車種で、ハイブリッドを展開するとしたら、e-POWERの直結モードは必須でしょうね。
    RZ34にも採用されているVR30DDTTのV6エンジンやメルセデスから図面をもらって作り上げた9速ATなどを活かす意味でも、やるんでしょうね。そうすれば大型なFR系を北米市場で生き残らせることにもなるかも。
    ハイブリッドが日本だけしか通用しないと思い込み過ぎたトップの判断ミスですね。

  4. nisinosoraomiyo より:

    e-powerに直結駆動モードが無いのは、過去に開発した
    HVシステムの評判がいまいちだったトラウマかなにか
    があるのではないでしょうか。

  5. SaTo より:

    技術があり、人材もあるはずなのにナゼまたこうなる・・・指揮系統が想像以上に支離滅裂な状態なんでしょうね。

  6. ossan A より:

    個人的にネンピは良いにこしたことはないけど、それよりなにより超絶悲惨なデザインをソッコーでなんとかしないとアカンと考えます
    まずは狂ってるとしか思えないブツブツ&シマシマ顔を瞬時に止めること
    そのうえでかつてのS13のように誰が見てもスタイリッシュと思えるようなデザインの車を出さないともう後がない

  7. ZBT より:

    日産のマトモな(?)ハイブリッド車というと
    100台限定(笑)のティーノ ハイブリッドだけなのか。
    あの安全性に劣るなんちゃってチャイルドシートを組み込みにしたティーノの超限定車しかない・それ以降何も手を打ってこなかったというのだから驚きです。

コメントを残す

このページの先頭へ