トランプ大統領の狙いは関税じゃなくアメリカへの投資&雇用をもらたす工場移転。日本厳しい

トランプ大統領は輸入品に対し関税を掛けると主張している。真の狙いは関税による税収増ではない。自動車でいえば、そんなことしたら日本車だけでなくGMやフォードもアメリカ国内で販売される価格が上がってしまう。GMなどの反応を見るとトランプ大統領の本当の狙いを看破しており、メキシコやカナダからアメリカに工場を戻す準備を始めているようだ。

工場建設には巨額な投資が伴う  写真/ホンダ

実際、関税を掛けただけだとアメリカ人のためにはならない。政府が儲かるだけ。一方、アメリカに工場を持ってこれたらアメリカ国内に対する巨額の投資になるだけでなく、雇用まで確保出来る。自動車という商品は高額。裾野が広い。工場もロボットが増えており、ワーカーの質(職人芸みたいな技術は不要)だって要求されない。自動車メーカーは25%関税を払うよりマシ。

しかも前述の通り自動車の生産技術は大幅に向上しており、レーバーコストが多少高くても生産コストに影響を与えなくなっている。日本の自動車メーカーの場合、日本の工場の生産コストの方がレーバーコストで有利なタイの工場より低い。日本に対し1980年代の貿易不均衡の時のように25%関税をちらつかせながらアメリカへの工場投資を迫ってくる可能性が最も高い。

生産は機械化が進む 写真/トヨタ

どうなるか? 日本からアメリカに輸出されている台数は150万台ほど。軽自動車を除く国内生産台数が650万台くらいなので、日本の工場の規模は4分の3になってしまう。スバルを見ると国内で57万台生産し30万台をアメリカに輸出している。今の流れなら24万台規模の工場をアメリカに作らなければならず、当然ながら24万台分の工場と雇用(部品産業も)を失う。

スバルからすれば「いつかはそうなる」と考えていたことだろう。すでにホンダは「現地で売るクルマは現地で生産する」を実践している。工場移転のタイミングが来ただけ。スバルの将来や経営の安定化を考えたら、むしろアメリカに工場を作るべきだ。ここで大きな問題になってくるのが、1980年代に大きな騒ぎになった「産業の空洞化」だ。アメリカの雇用が増える分、日本は減る。

群馬県の税収は決定的な減少になると思う。工場からの税収だけでなく働いている人や、働いている人が生活するために使うお金から入ってくる税金だって減る。日本全体で見ると自動車産業から入ってくる税収は20%くらい減ると考えていいんじゃなかろうか。つまり自動車の問題じゃなく、日本の問題になる。そいつを政府がどう認識するか、だ。まぁ守らないワな。

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