戦争に負けた夏。自動車戦争でも負ける場面が見えてきました。少なくとも中国市場の敗戦は間近か?

中国から出てくる数字を見ていると、もはや開戦直後の大負け戦となったミッドウェー海戦というより、壊滅的なダメージを受け以後まともに戦うことも出来なくなったフィリピン沖海戦(アメリカ呼称だとレイテ沖海戦)を思わせる。フィリピン沖海戦、投入した空母4隻全て失った。戦艦も武蔵を筆頭に3隻沈没。13隻投入した重巡のうち、6隻失う。日本海軍は事実上終わった。

シルフィeパワー

中国の7月に於ける販売状況を見ると、今まで頑張っていたトヨタすら昨年同月比15.4%減(今年1月~7月までの累計だと4.9%減に止まる)。日産は中国に於ける大人気車であるシルフィにeパワーを投入し、さらに6月から中国での売れ筋になっているSUVのエクストレイルにも日産にとって伝家の宝刀となるeパワーに搭載したモデルを販売したのに同33.6%減となってしまった。

日産今年1月~7月の数字は2022年の25.7%の減少という状況。一番売れているシルフィと、一番売れるだろうと思われていたエクストレイルに燃費の良いeパワーを加えての大幅ダウン。おそらく今後しばらく打つ手無いと思う。もっと言えば次の一手も、おそらく価格競争力無いと考えられる電気自動車です。最近実感するのだけれど中国の電気自動車に勝つのは攻め方を変える必要ある。

ホンダどうか? すでに電気自動車を販売しているものの、ほとんど勝負になっていない。7月の数字は同32.8%減。3分の1を失ったということになる。1月~7月の台数も日産と大差ない23.8%。ホンダは日産以上にハイブリッド車を積極投入しているが、数字からすれば成功していると思えない。しかも2022年度すら中国市場は収支トントン。今年の数字を見ると赤字間違いなし!

ホンダは2024年に電気自動車の新工場を立ち上げるなど、それなりの手は打っている。ただそこで作る電気自動車の売れ行きが伸び悩むようだと厳しい。というのも日本の自動車メーカーには中国政府半分出資のパートナー(広州汽車と東風汽車)がおり、赤字になることを望まない。売れ行き低迷=ホンダの開発能力の失策になるため、何らか保証を求めてくることだろう。

株式の信用売買と同じく調子良いときは半分の出資リスクで事業展開出来るが、調子悪くなった時のリスクは倍になる。このまま低迷するようだと損切りしなくちゃならない。工場を居抜きで中国政府出資のパートナーに売却するということになる。中国政府も自らの手に工場が落ちてくるのをニヤニヤ見てると思う。戦争で言えば条件付きでの降伏ということです。これ、日産も同じ。

なんでこうなったのか? 夏休みだし台風が来るのでネットでいいから第二次世界大戦を振り返ってみたらどうか? 戦略で言えば「ミッドウェイ海戦」「レイテ沖海戦」「ガダルカナル」「インパール作戦」。技術(武器)だと「斜め銃」「誉」「ハ40」等々。気分がくさくさしたら「中島飛行機 層流翼」「マグネトロン」あたりを検索して頂きたく。

負けが始まっていても好調だと思っているあたりも今の日本とカブります

<おすすめ記事>

9 Responses to “戦争に負けた夏。自動車戦争でも負ける場面が見えてきました。少なくとも中国市場の敗戦は間近か?”

  1. トヨタ車ユーザー より:

    日本はアメリカをまねてアメリカ式で自動車を世界に売ってきました。だから、大勢の西側諸国相手に何とかなってきました。
    しかし、中国はそのアメリカ式が通用しない。相手は露骨にルールを変えてきます。それでは得意のエンジン車・HEV車で「本当の敵はカーボンだ」と正論を解いても、BEVにしかナンバーを出さないとか偏った優遇処置をするなら難しいです。いったん車そのものは中国から引くまたは現地に任せて、唯一の売りである「絶対に燃えない」などの信頼性を売りに路線変更するのもアリかなと思います。

    もう一つ怖いのは中国は「売れ線」がコロコロ変わることです。宏光EVが最近パタリと売れなくなったと聞きました。日本の研究機関はこれをばらして「これくらい作れないとダメだ」とやっておりましたが、その間にBYDが躍進してきた。宏光EVはヨーロッパには出すらしいですが、こちらからすれば敵がコロコロ変わるように見え(テスラ?→宏光EV?→BYD?)翻弄されてしまいます。

    テインのビジネスモデルを各社研究して中国と戦う方法を考える、そしてパクられそうになったら引く、これしかないと思います。

  2. 令和のヘイゾウ より:

    各自動車メーカーに中国ビジネス担当部署があり、中国ビジネス担当の役員もいます。その人たちが、自社が有利になる希望的観測に基づいた市場戦略を作成していたのでしょう。今後も同じやり方を続けると、旧日本軍と同じ道を歩むことになります。

  3. z151 サンバー愛好者 より:

    トヨタは早くも撤退戦を行なっているという噂を聞いたことがあります。
    中国の期間工員を契約期間中であるにも関わらず、延長しない旨&削減を実行したとか。

    https://news.yahoo.co.jp/articles/5b073b8cc871f57e430636f51acfcc4b3a08afbf

    工場自体を畳むという話ではないし、成績が回復したら元に戻す可能性もありますが、生産能力の調整はすぐ対応したいレベルだったのかも。

    「半導体不足」って呪文のように、また工業製品の納期遅れの言い訳に伝家の宝刀のように云われていましたが。
    いざ半導体不足が解消すると、需要の方が落ち着いて「繁忙期」から「調整期」に入ったんじゃないかと我々の業界では云われています。

    中国では国内のEVメーカーも相当数倒産しているというニュースもあり、戦後間もない日本でも星の数ほどあった自動車・バイクメーカーが淘汰や合併を経て今のような形になっていった過程を見ているのかもしれないなと思うことがあります。
    想像では遊園地のオモチャレベルの「ダメだコリャ」な会社や、技術力・設計力・生産力を無視して立ち上げた会社がクラウドファンディングで資金集めだけして実生産できなかった例とか。
    お役人に対する「作法」に失敗して政治的に潰された例とかもあるのかも。
    アメリカでもその昔映画化されていた(私は本でも読みましたが)タッカーみたいな例もありますし。
    成績が悪化しているのは日本メーカーに限らないでしょうが、日本メーカーも顕著に影響が出ているのは間違いなさそう。
    そしてBYDや吉利のように「こりゃ(日本車が)敵わん!」みたいなクルマを作り始めたところもある訳で。
    私だって「いいね!」だったら普通に手を出しそう。
    今はあまり遠出しないし、充電環境さえ整えばEVだってアリなんじゃないかと思います。

  4. yakusyo より:

    中国ビジネスの潮時が来たようですね。
    中国は外国からの投資で経済発展という甘い汁を吸って成長してきた。自動車産業もそれに参加した。でも、撤退時が来た。どのメーカーが一番損失が少なく撤退できるか?
    中国撤退で潰れるメーカーが出ない事を祈る。

  5. 反日非国民 より:

    「反中嫌韓」を唱えていれば、実際の勝ち負けは無視出来る。
    「鬼畜米英」を唱えていれば、実際の勝ち負けは無視出来た。

  6. 反日非国民 より:

    負け犬や 転戦撤退 何とでも
    言い訳出来ます 最大市場

  7. 10年前には ティアナを 1ヶ月 2万台 近く 売っていたのに 今は 台数 出てるのは シルフィ だけ。 いくら ルノーとの 交渉 があっても 足の引っ張り合いをやっても 、中国もちゃんとウォッチしているのが 社長でしょ。 日産は新車開発力がだいぶ 落ちている。

  8. 小井土雄一 より:

    自動車市場は、自動車先進国であれば、だいたい地元メーカーが強い傾向にあります。中国メーカーも実力をつけ、そういう時期になりつつあるのでしょう。今後は、これまでのようなシェアをとることは無理でしょうから、根本的に取り組み方を変えるしかないと思います。

  9. 国内ミドルサイズSUVのラインナップ拡充してほしい より:

    儲けがない中国市場に何時までもしがみついていても技術を盗まれるだけだと思う。
    早期に撤退したスズキは別の市場に活路を見いだしたし撤退時期の見極めは重要では。

コメントを残す

このページの先頭へ