最高速496.22km/h。ニュル6分59秒157。モーター出力3000馬力。もうどうでもいい?

今までクルマ好きからすれば「最高速」や「加速タイム」や「ニュルのタイム」を追求することが「素晴らしいこと」とされてきた。GT-Rだってニュル最速を目指したからドラマになったと思う。けれどEVのスーパーカー『YANGWANG U9 Xtreme』(BYD)が、なんと最高速度496.22km/hを記録。ブガッティ『シロン』が持っていた490.48km/hを破った。

写真/BYD

同じ車両でニュルブルクリンク北コースでも6分59秒157というタイムを叩き出し、単に直線番長ではなく、サーキット性能でも世界最速級を証明してみせたのだから恐れ入る。しかも世界30台限定ながら売るそうな。まず注目したいのは最高速。従来のEVは加速こそ速いけれど、冷却(モーターと電池、インバータ)の問題で300km/hを超えるあたりから苦しくなるケースが多かった。

U9 Xtremeは量産型として世界初の1200V超高電圧プラットフォームを搭載しモーターを4基搭載。合計3000PS超を発生。ピーク出力を長時間維持できる冷却系を備えている。しかもニュルのタイムが6分59秒。7分を切るのはガソリンのトップレベルでも難しい領域だ。今回車重を公表していないものの、電池は重いLFP。2トンを切ることは考えられない。2.5トン近い?

写真/BYD

となると問題は500km/hに耐えるタイヤと重い車体を止めるブレーキが必要。リリースによれば『佳通タイヤ』と共同開発した超高強度アラミド繊維を使う専用セミスリックを履き、ブレーキにはチタン合金キャリパーを使ったカーボンセラミックという。こうした技術の積み上げが、直線だけでなくコーナリングやブレーキングでも「世界レベルの速さ」を実現している。

面白いのは車両制御に最新のe⁴プラットフォームやDiSus-Xシステムを使い、車体の姿勢制御をほぼ電子制御で最適化していること。昔ならドライバーの知見が要求される領域を、ソフトウェアが補ってくれる。つまり人間が制御しきれない領域に足を踏み入れているわけだ。航空機で採用されている「人間だとコントロール出来ない領域」をカバーするフライバイワイヤです。

ここまで読んでどう思うだろうか? 私は「もうどうでもいいな!」です。もはや愛すべき”ジドウシャ”じゃない。なんか最高速も加速もニュルもどうでもよくなってきました。実際「だからどうなのよ」です。ここまでくると論議する気にもならない。単なる機械&技術オタクの世界だ。確かに凄いとは思う。ミライースを日本の山道で走らせている方が楽しい。

同じように300km/hを超えるようなクルマや、高価なスーパースポーツも華やかさや存在意義を失った気がする。性能で負けたらオシマイですから。むしろ「扱える範囲の性能で楽しめる」クルマが大切になってくると思う。何度も書くけれど私からすれば64馬力のミライースや180馬力のクリオ・ラリー5です。クルマの速さ比べはモータースポーツが王道かと。

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