「関税を25%掛ける! 値上げオレが許さん!」とトランプ大統領。ただ日本は案外耐えられると思う
トランプ大統領が「4月2日から全ての輸入車に対し25%の関税を掛ける」と言い切り、大騒ぎになっている。フェラーリは早くも「10%の値上げをする!」と表明。以前も書いた通りGMやフォード、ステランティスだって海外生産のクルマをアメリカで販売している。つまりアメリカでの自動車価格が関税により値上がりする、ということです。
フェラーリの対応を知ったトランプさん激怒! 「関税を理由に値上げしたらどうなるか解ってるだろうな!」と言い出した。ここまでくるとさすがに「付き合ってらんね!」という人や企業も出てくるだろう。おそらくフェラーリは引かない。欧州やメキシコ、カナダから輸入の場合、25%の関税を掛けられたら、おそらく15%くらい値上げしないと損をすると思う。
我が国は少し余裕ある。2022年まで1ドル=110円くらい。そこから40%近く円の価値が下がっている。製造コスト200万円とすれば、2022年は2万2千ドル貰えばよかった。同じ製造コストのまま2万2千ドル貰えば、1ドル=150円だと330万円。大儲けです! 2万2千ドルの25%関税は5500ドル。これを日本側で処理すると1万6500ドルで輸出することになる。
1ドル=150円だと約250万円。製造コストは200万円だったので、全く問題なし。円ドルレートさえ円安基調なら、25%の関税を掛けられたって利益を上げられる。様子見していればいい、ということです。おそらく2024年くらいまでに発売されたクルマの原価計算は1ドル=110円以上を想定していたと思う。1ドル=100円になっても大丈夫、ということ。
盤石なのはトヨタだ。アメリカの販売台数約240万台。このうち、半分以上をアメリカの工場で生産している。問題なし。日本から50万台ほど輸出しているが、前述の通り25%の関税を掛けられ、現地での値上げ禁止されても十分な利益を確保出来る。4月2日から25%関税を掛けられるという最悪の事態になってもカナダとメキシコ工場分をどうするか、というだけで済む。
トヨタの次に有利なのはスバル。輸出は日本からのみ。利益率こそ下がるものの、円が125円くらいまでなら利益を上げられるだろう。同じく日本からの輸出多いマツダながら、円安の時に価格設定したラージは利益率低く25%関税を掛けられたら厳しい。マツダの場合、メキシコ工場で生産しているモデルもあるため、けっこうなインパクトになりそう。
意外に厳しいのがカナダとメキシコに工場を持つホンダだったりする。ホンダという企業、今やGMやフォードと同じような収益構造なのだった。25%関税に耐えられるバッファ無し。カナダへの巨額投資もトランプ大統領にとっちゃ導火線になる。日産はメキシコ工場が厳しい。日本からの輸出も2024年度は円ドル想定レートが149円。これまたバッファ無し!
とはいえトランプ大統領が4月2日から全輸入車に対し25%関税を掛けるかどうかは3月29日現在で不明。実際、ヒョンデなどに「関税を掛けない」と言ってる。ウソはつかないだろう。4月2日まで水面下で様々な駆け引きが行われると考えます。そしてメーカー別の関税率になると予想する。じゃないと一番厳しいのが自国のGMやフォードであり、迷惑掛かるのアメリカ人です。
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