ZEV法無くなったら日本の電動化技術も進化止まる?

残念なことながら技術は「規制」や「競争」が無いと進化しない。いや、競争も規制という枠組みをクリアしてから始まる。最も解りやすいの、加州のスモッグ対策から生まれたマスキー法です。この法規で自動車の排気ガス対策は大きく進化し、現在に至る。マスキー法無ければ、自動車メーカーは巨額のコスト掛かる排気ガス対策など行わなかっただろう。その中そんなもん。

現在日本の自動車メーカーが巨額の開発コストを掛け電動化技術を磨いているのもアメリカZEV法をクリアするためだ。ZEV法では自動車メーカーに対し一定の割合で電動化技術を使ったクルマの販売を義務づけている。2018年のトヨタは約4万クレジットを消化しなければならない。ちなみに1クレジット5千ドル(約55万円)。航続距離320kmのEVを売れば1台4クレジット。

 50-70マイル走るEV:クレジット2点
75-100マイル走るEV:クレジット2.5点
100-200マイル走るEV:クレジット3点
200マイル走るEV/燃料電池車:クレジット4点

考え方を変えれば、電気自動車1台売れば220万円分の違約金を免れる。同じくクラリティPHEVのような80~112km走れるPHVも2クレジット=110万円分に相当します。自動車メーカーにとって320km走れる電気自動車なら220万円。80km走れるPHVだと110万円の価値を持つということ。違約金払うより電動化技術を開発し、量産化によってコストダウンした方が賢い選択だ。

そして今後さらに要求クレジット数は増えていく。というバックボーンあっての電動化技術なのだった。トランプ大統領が「ZEV法はや~めた!」と言った途端、自動車メーカーは割高な電動化車両を開発する意味を失う。さらに電動化技術を育てるための補助金だって無くなることを意味します。米国ならクラリティPHEV買うと7000ドルの補助出るが、無しに!

アメリカという国家からすれば、補助金分の税金を節約可能。ホントにトランプ大統領は大ナタをふるうのか? 一番解りやすいのがテスラ。テスラはトヨタやホンダに大量のクレジットを販売し利ざやを稼いでいた。本業が赤字でもクレジット販売で儲けてきたワケ。ZEV法無くなればテスラに入ってくるボーナスも消える。当然の如く一段と厳しい経営状況になります。

イーロンマスクの動向を見ていれば、ZEV法の廃案に向けた進捗状況が解る、ということです。--とはいえ我が国は電動化技術の進化を止めちゃダメだと思う。もう一歩でガソリン車よりエネルギーコストまで含めた総コストを節約出来るようになります。アメリカだって30年後は間違いなく電動化技術の時代になる。踏ん張れるメーカーが30年後も生き残ると思う。

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