アメリカの関税増決まれば日本国内販売で負けるメーカーが必ず出る。それはどこ?

日曜日なのでマジメな内容です。トランプ大統領は自動車の輸入に関税を掛けようとホンキで考えているらしい。まず現状から紹介したいと思う。日本の自動車メーカーで最も輸入比率(アメリカにとっての)はマツダ。アメリカ国内でクルマを作っていないため100%となる。全てのクルマに関税掛かります。次がレクサスで87%。インフィニティ79%。そして日産の56%。

スバルが53%。トヨタ49%。ホンダ40%の順だ。ここまで読んで「ホンダや日産は日本からほとんど輸出していないのではないか?」と思うかもしれない。その通りで、日本からは輸出していないが、メキシコやカナダ工場で生産したクルマをアメリカで生産されたクルマと同じ(NAFTA)扱いにしている。メキシコやカナダ製のクルマも”輸入”としたら、非常に厳しい。

ただアメリカのメーカーだって同じ。一番輸入車比率の低いフォードですら19%を”輸入”。GMのシボレー39%。FCA(旧クライスラー)もダッジの86%が海外工場製。もっと深く掘り込むと、フォードだってメキシコやカナダ製の部品をたくさん使っており無傷じゃ済まないと言われてます。つまり「メキシコとカナダをどうするか?」で大きく状況は変わってくる。

現在、アメリカ企業を見ると猛烈なロビー活動を行っており、2国を関税の対象外にしようと動いている。成功したら日本勢も大きな問題無し。成功しなければ相当厳しい。難しいのはメキシコとカナダの対応差。トランプ大統領を見ているとメキシコに対して厳しいものの、カナダについちゃ優しい感じ。ただカナダから輸入される鉄鋼にもすでに関税掛けており、全く読めない。

しかし! アメリカ人にとって自動車という乗り物は「人生」と言って良いほど大きい存在である。アメリカという国も自動車無しに存在しない、と言い換えてもよかろう。したがって自動車メーカーに厳しいプレッシャーを掛けながら、アメリカの自動車メーカーが値上げしなければならないような方向にゃ向かないと思う。すなわちメキシコとカナダは猶予を与える?

逆に日本やヨーロッパなど陸続きじゃない海外から持ってくるクルマはある程度覚悟しなければならない。当面、マツダとスバル、加えてハイブリッド車やPHVなど環境対応車は、期限を定めアメリカに生産拠点を移すことを約束しなければならないようになるかもしれません。ここまで読んで慧眼の読者諸兄なら全て理解したろう。超激化するのが日本国内販売だ。

例えばトヨタが現在アメリカ輸出している台数を現地生産することになれば、日本の生産ライン余ります。トヨタはすでに手を打っており、東富士工場を閉め東北に集約すると発表した。そして国内販売生産台数を減らさないとも言っている。効率化して生き延びようという戦略だ。対照的にホンダはクラリティやインサイトのように売れないクルマを日本で作るという。???

はたまたアメリカ輸出の多いマツダやスバルは国内工場で作っていた輸出向けが抜けたら、その分を国内で売らないと工場縮小しなければならないという課題をつきつけられる。昨年の日本に於ける新車販売台数は523万台。ここにアメリカに輸出している170万台入ってきたら、魅力あるクルマ作れないメーカーが凹む。昨今の流れを見ると、凹むメーカー、容易に予想出来ますね。

凹むメーカーの経営者が打つ手としては三つ。1)アメリカ市場重視の一本足打法で戦力アップ。2)日本で売れるクルマを積極に開発し日本市場を重視する。3)アメリカだけでなく日本、ヨーロッパ、新興国で売れる車種を開発し、バランスを取るというもの。私はアライアンスを上手に使い3)を狙うべきだろうと思うが、果たしていかに? 今の経営者が5年後を決めると考えます。

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