スエズ運河の座礁、開通の見込み経たず。物流の遅れは最短で2週間に

スエズ運河の座礁事故による物流の遅れが拡大してしまった。私も第1報で「2日後の25日開通する」というスエズ運河管理会社からの発表を紹介したけれど、実は動いたといってもホンの少し。相変わらず船尾も船首も浅瀬に乗り上げたままだという。さらにその後も相変わらず開通のスケジュールを短めに発表していたのである。けれど状況ははるかに悪いようだ。

球状艦首が完全に護岸に突き刺さっている/写真 スエズ運河

最初から開通まで1週間以上掛かると発表していたら、少なくとも物流の遅滞は10日間で済んだことだろう。荷物を積んで出港したフネや、スエズ運河を通過する航路を目指していたフネも、南アフリカの喜望峰回りに切り替えればいい。日数は7~10日間程度余分にかかるものの、確実に着く。問題はスエズ運河を通るべく、紅海や地中海に入ってしまったケース。

2日後の開通と言うことで、大半のフネはUターンして喜望峰を目指すより待った方がいいと判断。すでに物資や石油を満載した開通待ちのフネが溜まっているという。これらのフネ、喜望峰を回るにしても燃料を補給しなければならず、そう簡単にリルートすることも出来ない。開通待ちをしてる200隻については最短で2週間程度の到着遅延になることだろう。

欧州サイドで困窮しているのが原油。欧州で輸入している原油の多くはスエズ運河を使う(日本は関係なし)。日本サイドで困窮するのが欧州への輸出だ。自動車業界も例外じゃ無く、どうやら少なからぬ自動車運搬船と部品を搭載したフネが開通待ちをしているという。2週間遅延するとなれば、工場を止めなければならない事態も出てくるから深刻です。

写真/スエズ運河

日本時間26日の朝4時の段階で、スエズ運河管理会社は8隻のタグを使って引き出す方法は断念。現在、座礁した部分の掘り下げを行っているが、それだと1週間レベルじゃ終わらない。燃料やバラスト水を抜いて15mほどある喫水を少なくする方法も考えてるようだけれど、満載状態のためそもそもバラスト水は少ない。燃料抜くのもそれなりの準備をしなくちゃならない。

客観的に見ていると10日やそこらで何とかなるような雰囲気無し。とっとと喜望峰回りにすべきだと思うが、前述の通り燃料を補給しなければならないなど、そう簡単じゃない。これから出港するフネは喜望峰回りを選ぶだろうから10日間程度の遅滞で済むことだろう。現在開通待ちしているフネに乗っている荷物を受けとるのには時間が掛かると覚悟すべき。

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