ダイハツ欧州から撤退

ダイハツが2013年1月を持ってヨーロッパ市場から撤退するという。このニュース、驚くと同時に、現在の日本のメーカーの状況を明確にさせてくれた。TOPで何回か書いている通り、今やダイハツ以外のメーカーもヨーロッパ市場で大苦戦している。トヨタやホンダですら打つ手無しの状況。加えて見込み薄い。

このままヨーロッパ市場でクルマを売り続けていても、好転する材料が無い、という状況。なぜか? 日本車
に共通することながら、ヨーロッパで最も大切なアイテムであるディーゼルエンジンは並の性能しかない。走行性能だって並。価格競争力を見ても、急速に品質を高めてきた現代自動車など韓国勢に勝てない。

なかでも手強いのがVW傘下のチェコのシュコダやスペインのセアトだ。いずれもVWやアウディの1世代前のシャシを使っており性能的に相当のレベル。それでいて日本車より安価。信頼性という点でホンのわずかに届かないものの、ヨーロッパの人ってトラブルを厭わない。というか、壊れて当然だと考えている。

Dセグメントに属するアヴェンシスやアコードなどが好例です。セアトの『エクシオ』はアウディA4の兄弟車ということもあり、比較したら押される評価項目ばかり。シュコダの『オクタビア』も、驚くほど良い。マイナーチェンジした最新型なんか高級感まである。ディーゼルエンジンンは2タイプから選べるのだった。

カローラやシビックの属するCセグメントも完全に押されてしまっており、しかもこのクラス、ハイブリッドが通用せず。やっぱしディーゼルなのだ。トヨタもホンダも、本音を言えばダイハツのように撤退したいんじゃなかろうか。何とか商売になっているヴィッツやフィットのAセグメントだって時間の問題か?

トヨタはWRCにカムバックして存在感を
出そうと動き出した。そもそもトヨタのイメージはラリーで築き上げたもの(ちなみにホンダはF1です)。トヨタの場合、WRCを止めてF1を開始したのは
ヨーロッパ市場に於いちゃ明らかなる失敗。量販車のイメージを高めたいならラリーしかありません。

それならホンダはF1にカムバックした
らいいかとなれば、今やそんな時代じゃない。ホンダがF1をやってもヨーロッパの小型車は売れないと思う。もしやるなら、ミニやトヨタと同じくAセグメン
トでWRCに出るべきだ。とりあえず市販車に近い『R2』あたりから入ってもよかろう。いずれにしろこのままだとジリ貧です。

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11 Responses to “ダイハツ欧州から撤退”

  1. かず より:

    カンパニーカーで、
    アベンシスがちょっと売れてもなかなか商売的にはつらいですね。
    売りになる個性や特徴も目立って無いし、無かったら困る存在でも無いし。
    まだトヨタは極限領域での使用時の信頼性に、救われますが。
    北極点到達した世界初の車はハイラックスだったような。
    高級でダメなら、得意分野をダントツで抜きん出つつ付加価値を深め、揺るがない基礎の再構築を性急にすべきかもしれませんね。
    車好きでない人に乗ってもらって、車好きにしてやろうという気概ぐらい、有っても良いかもしれません。

  2. 真鍋清 より:

    これでは日本車も国際商品化を逃したかつての「アメ車」の顛末と同じ道をたどるのか?
    ホンダの1モーター式ハイブリッドは欧州では不評噴噴で、ほぼ実用にならないと言われている。トヨタのTHSにしても極端には違わず、低中速で走らせなければ本領を発揮しない按配でディーゼルに押されている現状だ。
    目下は新しい内燃機関に向けての群雄割拠の戦国時代であり、どれが有力であるかは決定的な回答はまだ見いだせていない。
    ただ、何でもかんでもハイブリッドという風潮は問題があるし、エコファシズムの匂いも隠せないのだ。やはり適材適所ということで、1300cc以下はガソリンエンジン+直噴+燃焼室形状の見直し+アイドリングストップ(そう、マツダのSKYアクティブ!)が中心になっていくと踏んでいる。その上はユーロ6や我が国の新長期規制をクリアするディーゼルターボに注力せねばならないのは確実だ。現に日産エクストレイルのルノー譲りの2.0Lディーゼルなど、CO2量だけでなく低速から高速までのコンスタントなトルク配分で今やオートマとの相性も抜群、何よりあの「お寿司屋さんの匂い」がマフラーからしないそれだけでも「ディーゼル万歳」になるのではなかろうか。
    勿論、ユーロ6をクリアするためのディーゼル触媒のコストの問題、ディーゼルの診断装置の整備の為の手間やコストなど、やるべき課題は山積していよう。日本メーカーのディーゼルへの取り組みも、ガソリンエンジンのSKYアクティブで将来的に有望なところを見せてくれたマツダも、同じアクティブシリーズのディーゼルはユーロ5に適合するのが目一杯でせっかくのタコ足排気や半球形燃焼室(CO、HCの排出が抑えられるという)が生かされていないと見え、ホンネではディーゼルを継子扱いしたり、片手間事業と考えている可能性もなきにしもあらずなのだ。
    この辺り、我が国の排ガス規制を始め各種制度の気が遠くなるほどの見直しや再編成が必要とされるのもまた事実で、現政権はもとより次政権でも変革はまず困難だろう。一方で日本の「お家芸」と見られたハイブリッドが本場欧州では欠点が暴露して主流には成り得ない現実を見るにつけ、今後日本の業界がかつてのアメリカよろしく「世界の孤児」にならない為に従来の制度では死活問題に直面することをいい加減認知せねばなるまい。
    それは日本メーカー側の姿勢にも言えるわけで、ハイブリッド技術を極めるとして、それと組み合わせるエンジンの最適なトルクカーブ・パワーカーブをモーターアシストで補わねば本領を発揮し得ないからには、ホンダが新開発したリチウムイオンハイブリッドのようにアトキンソンサイクルのエンジン(吸入量は排気量分の8割程度で済む)と組み合わせる上、高負荷時はクラッチでエンジン駆動にするなり、二段階過給の技術を本格的に開発するなり課題は山積していよう。そしてディーゼルハイブリッド―。
    ともあれ一筋縄では行かない問題が複合的に累積している、政財界ともに我が国業界の現状と立脚点を見据えて次に繋がる制度を構築していくことが先決としか言えまい。

  3. アミーゴ5号 より:

    トヨタグループとしては、既存技術が活かせる中国やインドに、経営資源を優先して投入するという事だと推察します。
    またドイツ車にのると、例えば日本車が、市販の冷蔵庫とすれば、ドイツ車は業務用冷蔵庫というくらい、違いを感じます。
    クルマの利用環境が、違いすぎるのでしょうね。
    日本メーカーが、アメリカで既存技術で儲けている間に、欧州メーカーは、ディーゼルやダウンサイジングに磨きをかけていたという構図でしょう。
    新興国相手に同じ轍を踏まないようにしなければいけないですし、欧州真っ向勝負のマツダに期待しています。

  4. F-5 より:

    そのヨーロッパ市場で安定した評価を受けているマツダ323、626(今はなんて呼んでいるか知らないけど)が日本では「マイナーな車」「ダサい車」扱いから抜け出せない、と言う市場の違いは何処から来るのでしょう?
    「文化が違うー(笑)」としか言いようが無いですね。

  5. 阪神ファン より:

    トヨタのWRC復活はうれしいです。セリカが懐かしいです。ダイハツも復活してほしいです。過去、排気量の小さい車(シャレード)で活躍して大排気量車に負けない成績を残していたことが素晴らしいです。
    技術力だけでなくブランド力が大事ですよ多くの人はイメージで買う人は多いと思います。
    欧州といえば小型車のイメージがありますが、その市場で小型車中心のダイハツが撤退するのは残念です。

  6. ぱんだねこ より:

    そこそこよいものを数だけ稼ぐ、というアメリカ市場での方法はもう通用しない事が明らかになってきましたね。
    セアト、シュコダはWRCでよく聞くので欧州では有名なのだな、日本に来ないかなと思っておりましたが、逆にこられたら、参った事になるなと思いました。
    ただ、ダイハツはもうトヨタの下で小型車、軽自動車を受け持つだけで、トヨタ車体や関東自動車工業というようなポジションになるのかなと思っております。少なくともトヨタグループで、ブランド力も含めた評価ではスバルより下かな。(ダイハツ関係者の方、すみません)

  7. lucky より:

    いつも、拝見させていただいてます。
    ダイハツ残念です。トヨタと商品のダブりでしょうか?
    ヨーロッパ各国のガソリンに対する税規制と、保護主義的な各国の対応は、飽きれるばかりです。
    ユーロ圏内に生産工場を持つ日本メーカーは、生産してるので、撤退は無さそうですよ。
    FTA,TPPなど、日本はメリットが有るかわかりません、何しろ海外生産が七割もあり、地産地消が理想であり、その国に貢献してると思ってます。日産は除きます。

  8. ゲイン より:

    私が欧州に住んでいるならプリウスじゃなくてゴルフTDIに乗ると思います。アウトバーンとかありますしまだ運転を楽しめる環境だと思うからです。
    だだ市場としての魅力といえばどうでしょうか?欧州ってオートマ比率とや故障に関すると考え方も違いますし、欧州車に乗ってみるとこれ日本車で再現するとえらくコスト高ですから私は欧州のマーケットに魅力は感じないですね。
    だいたい欧州って雇用の問題とか環境の問題とか高度に取り組んでいるでいるイメージですので同じぐらいの性能なら海外メーカーの車買わないんじゃないでしょうか。
    ダイハツのブランドイメージが欧州でどれ程のものか不明ですが、欧州で車を売らないと新興国市場の販売に苦戦するものなのでしょうか?重要なのはトータルでどれだけの収益を上げられるかじゃないでしょうか?韓国企業の勢いは凄いもんだと思いますが、世界的な自動車市場の拡大みると日本企業の収益自体はそんなに下がらないと思います。

  9. 真鍋清 より:

    羽をもがれた鳥。歴史的に見てダイハツを形容するのにこれほどふさわしい表現はなかろう。
    日本最古の発動機=エンジンメーカーにして小型化技術の鉄人たる同社は古くは軽オート三輪のミゼットをはじめ、1960年代にはイタリアンデザイン(ヴィニアーレ)のコンパーノベルリーナやコンパーノスパイダーなど傑作車を生み出すも1970年代に入りトヨタの支配が強まるにつれて鳴かず飛ばずになるも初代シャレード(3気筒1L横置き)で1Lカーの可能性を開拓し、商業的にもかなり成功し、小メーカーの矜持を守ったばかりか世界最小の1.0Lディーゼルを開発し、1983年登場の二代目シャレードに搭載して時速130km/h突破の奇跡的性能で一躍名を上げた―この辺りがダイハツの黄金時代だろう。
    その後軽自動車・大衆車ともにディーゼルからツインカムターボまで小型エンジンの様々な限界に挑戦し、どれも一定以上の出来で「小型車メーカーの星」として名を上げた末に1989年、Cセグメントの本格的3ボックスセダンに初のオール自社開発製品=アプローズ(1600cc)をリリースした途端待ち受けていたのは…..ガソリン漏れと引火のリコール、朝日新聞がそれを大々的に宣伝し、続いて同新聞社が大広告主と仰ぐかの「トヨタ」の豊田章一郎社長が会長を務めていた「自動車工業会」がダイハツ側を突き上げ、同年のモーターショーへのアプローズの出品中止を強制した―この時点でダイハツの今日に至る運命は決定づけられたといって良かろう。
    ここまでの顛末を見るに、では何であのトヨタがダイハツにシャレードなりアプローズなりの自社開発を認めたのかという疑問が出ると思うが、小生として勘ぐらせてもらうに、前者初代シャレードの時代にはトヨタ自身、平凡なFR(後輪駆動)レイアウトのカローラやスターレットをメインに生産していた時代であり、彼らの目には3気筒1000cc/FFのシャレードなどあまりに革新的すぎて奇異なほど、自社製品の市場を侵害することはないと考えて許可を出したのでは?と取れなくもないのだ。一方、1980年代末のアプローズ(カローラクラス)やシャレードツインカムターボに関してはトヨタ本体がバブルの進行と共にハイソカー(ウー、懐かしく甘美な響き!)を中心に各クラスで磐石の売上・利益を上げており、傘下のダイハツに勝手に動かれたぐらいでは自社のシェアに何の影響もないと判断したからに違いなかろう。
    そうは言ってもトヨタとしては長い目で見てダイハツ側に対するコントロールを本格化したいと考えていたのは確かだ、そこで「好機到来」とばかりに1990年代を目前に控え、ダイハツ支配強化の口実に「アプローズの引火」を大々的に利用した…..以外には考えられないのだ。
    勿論ダイハツへのトヨタの出資比率は日増しに増え、1996年に株主総会での議決権を行使できる33.4%の株を買い占めたのを機に、ダイハツを普通小型車の分野から撤退させて軽自動車専業、もしくはそれ+αの立場に閉じ込めようと強く決意したことは明らかだ。現に1998年登場の1Lカー・ストーリアも当時トヨタがダイハツに依頼して開発中だった4気筒の1.0-1.3LのSZ系エンジンを搭載しない上、トヨタブランドの姉妹車デュエット(現パッソにつながる)をOEMの関係に持つという条件付きでの開発だったことからもそれは裏付けられる。
    同じクルマをトヨタとダイハツの両者で売ったらそりゃトヨタのほうが売上で圧勝することは誰が見ても明らかだ、∴トヨタは製造元たるダイハツはともかく、ダイハツ販社の利益を阻害しようという露骨な策略だったことが伺えよう。
    その後ダイハツは普通小型車の自社ブランドでの製造販売をトヨタによってきつく制限され、実質的に軽自動車専業と化していったことは否めない、そしてダイハツは自らの金城湯池である軽四輪部門で持てる力を大いに発揮するかに見えた、今世紀に入って以来、トヨタの子会社になった辺りを境に開発資金が潤沢に入るようになり、同社の軽自動車の品質が飛躍的に向上したのもさることながら前方排気からインテリジェント触媒(エンジンの熱で浄化機能が高まる)、各種安全装置まで技術的にも小型化時代をリードするに足る独創的技術が続々開発された。ここ三世代ぐらいのムーヴやミラを見るに、下手な小型車を否定するほどに完成度が高い軽四輪となっており、トヨタの子会社化も決して悪いことばかりではないと考えていたのだ。ところが此処へ来て、トヨタから派遣された通称「落下傘部隊」がダイハツ軽の開発・設計にちょっかいを出し、トヨタ流コストダウンを強要するようになった、その結果ミラココアなど悪しきトヨタ流フニャ足と安普請な作りが際立ち、ベースとなったミラやムーヴ等より大幅に後退している有様なのだ。
    この一連のストーリーを見るに、「トヨタ帝国」としては「属領ダイハツ公国」に対する支配の形態として、ダイハツ側の様々な技術やそのノウハウがいかに合理的なものであろうと自社(トヨタ)の市場や利益を侵害すると考えれば遠慮容赦なしに抹殺するというものといっても大げさではないように思える。となると、近年のダイハツ側の軽自動車開発への開発資金提供、自由度の増加も結局は「甘い罠」―トヨタのコントロールを強める一プロセスとしての―に過ぎなかったのではと考えられてならないのだ。
    かくも「トヨタに羽をもがれた鳥」である不憫なダイハツは、今後アジア専用のローカルブランドとして生きて行くのだろうか?トヨタ本体がいかに欧州で苦戦しているからと言って、ダイハツの持てる力を(トヨタの資金援助の下に)フルに発揮すれば、今頃1.0L以内のクリーンディーゼルやフィアット500も真っ青の0.8-0.9Lの軽量2気筒ガソリンターボを開発し、世界的にエコ路線の最先端を走っていたであろうと考えるにガラパゴス化の病根は政府だけでなく、大メーカー各社の経営戦略にも及ぶ根深いものであることを伺わせるのである。
    せめてはトヨタ自身が開発中の2気筒800cc過給/同ハイブリッドにダイハツの息がかかっていることに仄かな期待を抱くしかないのだろうか。

  10. やす より:

    規制と「関税」が一番の問題では?
    EUと韓国がFTA結んでから、日本のシェアがそのままヒュンダイにいったかんじ。他の要因はほとんど関係ない。
    性能ならプリウス、価格ならダイハツは40万〜50万で車を出せるし。規制と関税を政府と一緒になんとかせな一企業でなんとかできる市場じゃない

  11. 欧州行商人 より:

    はじめまして。
    私はここ20年、日本製品を海外に売る仕事をしております(メーカー)。
    昔から本を買ったり記事を読ませて頂いている国沢様にお手紙できるなんで、なんていう世の中でしょう。
    さて、ダイハツの欧州撤退、スズキの北米撤退は、やはりここ3年の超円高が大きく関係していると思います。
    私の元勤務先も、1ドル=118円->80円台の円高も原因で倒産し、数百名の社員も失業しましたが、他の外的要因もあるでしょうが、一挙に手取り価格が30%も減少したら企業としては生きていけません。手取り30%減=赤字、というのが普通です。日本経済と雇用のためにも、今度の政権では、為替の適正化に努力して頂きたく期待しております。

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