トヨタ、電気自動車用電池を”ほぼ”自前で生産。購入していたらエンジン分の利益を失います

大手メディアってよっくワカランです。7300億円を投じて日本とアメリカの40ギガワットの電池工場を作ることをトヨタの大決断みたいに報じた。この件、とっくに解っていたこと。少なくとも昨年「2030年代に350万台の電気自動車を売る」と発表した時点で工場立地から規模まで概要を決めていたことだろう。そもそも今決めて2024年の稼働なんて出来るワケない。

経済系のメディアは投資金額を全面に出すけれど、7300億円という金額は自動車産業からすれば常識的なもの。F1参戦に年間600億円。新型車の開発に最低500億円掛かる業界ですから。ちなみに40ギガワットで電気自動車60万台に相当する。350万台の電気自動車なら250ギガワット。中国市場向けなどは中華電池を購入するとしても、トータルで200万ギガワット程度必要だ。

自前で200ギガワットだと合計4兆円規模の投資になる。これは2030年までであり、2040年には700万台規模を電気自動車にしなければならないため、さらに4兆円規模の投資が必要。ただ電池工場を作れば利益を上げられる。電池を外部から買うことを考えたら100万倍良い選択だ。少なくともスバルやマツダなどは外部から調達するしかないだろうから、エンジン分の収益を失う。

ホンダは半々くらいの投資でリスクヘッジするようだけれど、これだとエイヤっで言うとエンジンを失った分の半分しか利益を残せない。日産と三菱自動車はどういったルートから調達するか概要を発表していないものの、今のところ全量を購入する動き。それなりの投資をしないと電池部門の収益を失うことになる。直近の1年で各社の戦略が見えてくると思う。

その上での問題は、1)競争力のある電気自動車を作れるかという点と、2)3元系リチウム電池でいいのか、を挙げておく。1)はbZ4Xレベルの電気自動車ではとうてい勝負出来ない。2)もトヨタも中国で販売する電気自動車には安価で長寿命のリン酸系リチウムを搭載するようだけれど、今回発表した工場で作るのは寿命短い3元系リチウムのようだ。今や世界の流れはリン酸鉄リチウムだと思う。

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2 Responses to “トヨタ、電気自動車用電池を”ほぼ”自前で生産。購入していたらエンジン分の利益を失います”

  1. CX-60 より:

    写真に出ているように、トヨタもEV出しますと宣言した時に、生産台数も話題になり電池の調達についても考慮しているとありました。
    つまり今回の電池工場と投資の件は既報なのですが、あおることに意味があるのか新しいニュースのように繰り返し報じます。経済・投資・市場は生き物と言われていますが、ただ自分であおって一喜一憂しているだけなんじゃないかと思います。
    ただ、電池を自分で作るとなるとその開発も自前でやることになるから、また違った苦労があるでしょうね。エンジンメーカーが化学工場を建てて開発に乗り込むわけですから。
    専業で開発しているメーカー(BYD,CATL)から買う方が一見簡単に見えて、半導体調達と同じようなことになりはしないかと、日産他外部調達を選びそうな会社はどう考えているのでしょう。。。

  2. S321Vにネオチューンしたい より:

    トヨタの電池って、三元系もしくはパナソニックが相棒だとするとNCAという認識であってますかね。

    BYDなど中華勢がみな、コストと安全性に優れるLFPほぼ一択で世界中を席巻しつつあるなか、いくら世界一レベルのトヨタでも懸念が残ります。

    トヨタの電池がベータマックスとかレーザーディスク、PDPのようにならなければ、という私の懸念が杞憂に終われば良いのですが…

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