トランプ大統領、ホンキで自動車関税上げを行うかも!
トランプ大統領が自分のツイッターで「ヨーロッパからの輸入車に対し20%の関税を掛ける」と表明した。これを受け、自動車産業は大波乱となっている。もちろん関税を上げるまで時間的な猶予あれば対応も可能ながら、直近の情報だと11月下旬に決定し2019年のなるべく早いタイミングで実行すると言われてます。ほぼ無傷で対応出来るのは、ホンダと日産だけ。
トヨタはアメリカで生産している台数こそ多いけれど、後述の通り状況はドイツ勢と似ている。アメリカ工場で生産したクルマを輸出しているのだった。一方、ハイブリッド車の一部やPHVは日本から持って行っており、こういった車種に関していえば関税アップをモロに被ってしまう。施行されたらアメリカで販売する車種のラインナップを変更しなければならない。
決定的なのは輸入比率の多いマツダとスバル。特に厳しいのがマツダで、2021年にアメリカ工場の稼働を開始するまでは全てのマツダ車は輸入車になる(メキシコ工場から持ってくる車両もアウト)。加えて稼働しても年産15万台。マツダのアメリカに於ける販売台数は連続して前年実績を下回るジリ貧状態とはいえ29万台。半分程度にしかならない。スバルも2019年は30%が輸入車。
マツダ&スバルは今後のことを考えれば「アメリカで売るクルマはアメリカで作る」という選択をしなければならなくなるが、そうなると日本国内の工場の稼働率は大きく下がり収益悪化をもたらす。かといって両社共に日本市場を半分諦めた戦略をとってきたため、簡単には対応出来ないだろう。スバルの場合、軽自動車で日本市場の規模を維持しようとしたホンダと対照的だ。
ドイツ勢も大きく揺れている。基本的にドイツ車はアメリカへの輸出比率が高い。また、アメリカに工場進出しているメーカーも、生産したクルマをアメリカ国内だけで売り切ることなど出来ない。特にベンツやBMW高額車はアメリカを生産拠点にしてます。例えば日本で販売しているベンツのSUVだってアメリカ工場製である。BMWもX3からX7までアメリカ工場製。
ここまで読んで「関税を掛けるのはアメリカへの輸入であり、アメリカ工場から輸出するのは問題無いでしょ」と思うかも知れない。その通りなのだが、状況はそんなに甘くない。アメリカが関税を掛ければ、相手国も報復的な関税を掛けてくる。アメリカで生産したクルマを輸出するときに関税掛けられるワケ。アメリカへの輸入も輸出両方が制限される状況になるから大騒ぎだ。
ここは政治で何とか関税上げの時期を延ばしてもらうしかなかろう。3年あれば業績に大きな影響を与えないで対応出来る可能性大。それが無理なら自動車産業は安倍政権を「いらね!」と見切るに違いない。
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