ホンダe、社内の応援団無し! 少しばかり可哀想なクルマの物語です

先日、ホンダeをじっくり見た。驚くべきことにホンダはこのクルマのため、専用のプラットフォームを作っている! 初代インサイトやS660と同じくらいの本気度といってもいいだろう。MIRAIですらSAIの基本骨格を可能な限り使ったことを考えたら超贅沢です! クルマ作りの狙いは「ホンダらしい電気自動車を作ることと、欧州燃費規制に対応すること」の2つだという。

外観イメージは初代シビック

将来のホンダを考えると電気自動車は大切です。しかし! ホンダ上層部にホンダeの熱烈な支持者がいないようなのだ。普通、こういった新しいジャンルのクルマを出すときは、必ず社内の応援団がいます。古くは初代プリウス。なんせ奥田社長自ら応援団長になってましたね。会社全体で「ECO」を打ち出したほど。ハイブリッドについてる葉っぱのマーク、その時からだ。

リアシートの居住性は+2と言ったイメージ

リーフの場合、志賀さんが前面に出て様々なアピールを行った。それまではメディアの前にあまり出てこない人だったけれど、リーフの時は意欲的で、電気自動車の夢をメディアに語っている。MIRAIだって豊田章男社長が環境問題の大きな解決策の一つとして注力し、これまた全社を挙げて応援してます。このくらいの意気込みがないと新しい技術は定着しない。

車内エンタメは素晴らしい!

ホンダeはどうか? どうもホンダ社内に熱心な電気自動車推進者(環境問題を語る人、と言い換えても良い)がいないようなのだ。とりあえず欧州CEFE対応のため電気自動車が必要だぞ、ということになり「それならホンダらしい電気自動車を作ろう」。けれど社内誰も興味無いものだから担当者が自分の好みで作りたいと主張。当時の経営陣は「よくわからんが必要なクルマなら」とOK出した。

凄くハンドル切れるため小回り性能抜群

話を聞いているとそんな感じです。そして自分の信念で誰の言うことも聞かずホンダeを作った人は(コレが出来ちゃうのがホンダの面白いところ)、何とスズキに転職しちゃった! 今の経営陣は、誰も自分の責任だと思っていないから熱心じゃないということなんだろう。残ったのは社内から暖かい目で評価されていると思えない開発チームと、巨額の投資だ。

バッテリーはパナソニック

唯一「なんとかしなくちゃ!」と思っているのは、興味深いことに広報部門。新しいモビリティに於ける電気自動車のポジションが重要だと言うことを認識しているんだろう。けっこう真剣にホンダeを理解して貰おうとしている。果たしてうまくいくか? 国沢光宏はどうよ? と聞かれたら、こんな時の答えは決まってます。「生まれてきたものは大切に育てましょう!」。

実はMIRAIもリーフも開発段階じゃ「難しい」と厳しく書いてきたけれど、誕生してからは勝手に応援団になっている。いずれも育てようとカンバって居る人達いるから応援しがいがあります。上手くすれば、次の世代の地盤を作ってくれることと思う。残念ながらアウトランダーPHEVは育てようという人が居なくなっちゃったためいかんともしがたいです。

作り手が「育てること」を諦めちゃうと、S660やスカイアクティブXのように全く話題にあがらなくなる。けれど育てようと頑張っている間は伸びる可能性ある。ホンダeの”魅力”を前面に出せば日本市場で1000台くらい売れるだろう。買ってくれた顧客が大いに満足し「電気自動車はシティコミューターに最適」というホンダeのコンセプトの正しさ&話題性をアピール出来れば100点だ。

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