ボルトが論争のタネに

以前も「電気自動車じゃなくてハイブリッドだったのね!」と紹介したGMのシボレー・ボルトながら、アメリカではメディア
とGMの間で一騒動起きているようだ。すなわちGM側は「走行距離を伸ばすために発電機を搭載する電気自動車である」と主張しているのに対し、メディアから「そうじゃないだろ」という声が多数出ているのだった。
 
上海でボルトの試乗会を行っているけれど、そこでもGMは「ハイブリッドじゃない」とアピール。鮎でも雑魚でも何でも飲み込む鵜のようなヒトは「ハイブリッドじゃないですね」と信じたそうだ。100歩譲って年内に発売するボルトについて言えば、最初からハイブリッド走行するプログラムになっていないと思う。じゃないと電気自動車にならぬ。
 
でも構造的には明らかにハイブリッドであり、バッテリー搭載量をプリウス程度に減らしても成立するようになっている。よく特許取れたな、と感心するくらいコンセプトがプリウスと似ているのだ。逆にボルトを電気自動車として認定してくれるのなら、トヨタもプリウスにバッテリーをたくさん搭載すれば簡単に電気
自動車となってしまう。
 
トヨタはアメリカのZEV規制をクリアするため新たな電気自動車を開発中なのであり(現時点ではプラグイン・プリウスだと認定されないという解釈)、ボルトが電気自動車ならトヨタにとって有り難い話だったりする。もしGMの主張が認められなかった場合、GMは新たに電気自動車を開発しなければならず、こらもう時間的に厳しい。
 
したがってGMにとっちゃ「ZEV認定」を受ける2012年まで(来年秋です)、ボルトが電気自動車じゃないと困るワケ。そこからバッテリー搭載量を減らしハイブリッド車として大々的に展開する計画だったんだと思う。一昔前ならメディアを押さえ込むことくらい簡単にできたろうが、今やそこまでのチカラを失ってしまった。最大の誤算か?

追記 今やボルト研究家になるつつある米国在住のG35Xさんの情報によれば、CARBはボルトを『ZEV』どころか
『ULEV』認定としたそうだ。これだと高速道路の優先レーンを走れず。エンジン走行時の排気ガス汚染度が高いのだろう。ちなみにプリウスはワンランク上
の『PZEV』。電気自動車だというGMの主張は‥‥。

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10 Responses to “ボルトが論争のタネに”

  1. MG より:

    ボルトの一件で明らかになったのは
    ・GMメルセデスBMWの共同開発2ステージHVは、見込みがないこと。
    ・トヨタ方式のプラネタリーHVがハイブリッドの本命であることでしょう。
    トヨタは自動車のシマノを目指せばいい。ドル円が\70になってもやっていくにはそれしかない。

  2. 針谷 光一 より:

    実態は黒でも自己に不利と判断したならば、何が何でも白と言い通すのが、それが彼らの流儀です。これは、世界中の国々の普通の認識です。彼らはそうは簡単にアイム・ソーリーとは言いません。なぜ彼らがそう行動するか?それらが全て自己・自国の利益だからです。世界中の大半はそれが当たり前の方々(国々)です。
    さて、我が祖国。日本。悲しいかぎりです。いつまでもアイム・ソーリーを言い続ける政治家。賢いだけではダメだ!という事はそろそろ日本人もわかってきたかと感じます。

  3. MG より:

    GMは、ボルトの構造を明らかにしたくなかったが、米国での特許申請が受理され公告されてしまったので、弁明的な言い訳してるところ。
    ここでトヨタがどう出るかだが、GMの特許に異議はのべられないでしょうね。ここでまた米国を敵にしたらもう米国で商売できなくなる。

  4. tm256 より:

    無理が通れば道理が引っ込む等と言いますが、GMの「ボルトはEVだ」ってのは正にそれですなぁ。
    米国政府としてもGMの再上場という目標があるので、加州のZEV規制はともかく無理やり乗り切るしかないんでしょうね。
    個人的には、GM起死回生のウルトラCとして電池交換型EVインフラのベタープレイスと提携するなんてシナリオもあるのではと思ってます。(でも、そうすると、主導権はGMじゃなくBetter Placeに握られそうですが)。

  5. G35X より:

    米国カリフォルニア大気資源局(CARB)はVOLTをULEV(超低排気車)と認定し、プリウスやシビックハイブリッドより劣るランク付けをしました。EV走行を計算に入れない有害排気物測定方法に異論が出ると思いますが、ULEVだとフリーウェーの優先レーンを走ることができず、ロスアンゼルスやシリコンバレーでは販売上不利になります。

  6. MG より:

    ボルト好燃費の訳、実はハイブリッドだったではっきりしたが、もうひとつのレンジ拡張EVたるスズキスイフトEV、こちら40Lちょっとの燃料タンクで走行距離1100kmという好燃費には????
    そもそもシリーズHVはそんな燃費無理です。スイフトのような構造で1100kmも走れるなら、プリウスなんて登場しなかったし、どこの自動車会社だってスイフトEVと同じ車とっくに発売してるでしょう。
    鈴木修社長が発売まで2-3年かかるかもと言ってるところに大きな秘密がありそう。GM以上のとんでもないことになるはず。

  7. ぱんだねこ より:

    ボルトを2011年に中国でも売るそうですが、漢字で書くとやっぱり「電圧!!」になってしまうんですかね。
    コンピュータが電脳、ストリートファイターが街頭覇王と書くのですから。

  8. さね より:

    なんだかなあ… 魅力ある自動車ならどうでもいいような気がします。 けど規制やらなんやらで電気自動車じゃなきゃ意味ないてゆうなら、結局電気自動車はまだまだ先の話になりそうな気が? 車に罪ないんだし、また人間の利権争いやらなんでしょう? 醜いなあ。ボルトを自動車として公平に評価してく方向でお願いします。まあエンジン乗ってるうちは排ガスは必ずでるし、ハイブリッドもガソリン車も燃費よけりゃ同じ、てことを忘れないようにします。

  9. misty より:

    GM自身は以前からSAE論文
    http://www.sae.org/technical/papers/2008-01-0458
    の中でプラグインハイブリッド(PHEV)の2つのタイプの定義を示した上で、どちらの定義にも当てはまらない、つまりバッテリ残量が一定量以下になるまではアクセル全開にしようが高負荷になろうがEVであり続ける形態をE-REVと定義し、ボルトはハイブリッド車ではなくE-REVであるとも言っていました。
    以前から言われていた「ボルトは構造的にはシリーズハイブリッド車だ」という話が最近の情報で少し変わってくるだけで、基本的な振る舞いがE-REVであることに変わりはなく、バッテリ残量が少なくなってからの運転効率がエンジンによる直接駆動も可能な構造により改善されたと認識しています。
    ボルトは充電量が25%を切ればエンジン併用走行、30%を超えればEV走行のはずですが、エンジン併用時の効率アップでEV走行に復帰できる状況も増えているでしょう。現時点のインフラでも安心して遠出できEV走行も十分堪能できる車として、日本で乗れる日が待ち遠しいです。

  10. misty より:

    ボルトがULEV?と検索したら、すぐ見つかりました。
    http://www.greencarcongress.com/2010/10/volt-arb-20101020.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+greencarcongress/TrBK+(Green+Car+Congress)
    COの量がSULEVの水準に未達なので、PZEVになる前提条件も満たされていないのですね。販売開始後に改めてATPZEV認定を受けられるレベルに改善したクルマを出すようです・・

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